代替プロテイン

マクドナルドがアメリカでマックプラントの試験販売を終了

 

マクドナルドは先月、アメリカで植物性バーガー・マックプラントの試験販売を終了した

同社は昨年アメリカの一部店舗で、ビヨンドミートと共同開発したマックプラントの試験販売を開始した。一部の海外メディアが試験販売終了を報道しているが、今後の本格導入の計画や追加の試験についてマクドナルド、ビヨンドミートからの発表はない。

マクドナルドがマックプラントの試験販売を終了

出典:マクドナルド

マクドナルドはアメリカ市場に先立ち、スウェーデン、デンマーク、オランダ、オーストリア、イギリスなど一部の国でマックプラントを導入していた。

2021年11月には、本場アメリカの8店舗でマックプラントの試験販売を実施することを発表。同社はマックプラント販売について当時、「プラントベースパテを使ったバーガーを提供することが、当社レストランのキッチンにどんな影響を及ぼすか把握できます」とコメントしていた。

アメリカでは2019年にバーガーキングがインポッシブルフーズの植物肉パテを全国販売するなど、競合他社の積極的な動きが見られる。イギリスの本格導入に対し、本場アメリカでは本格導入に慎重だったマクドナルドだが、今年1月には提供店舗を6店舗から約600箇所に拡大した。

CNBCの報道によると、マックプラントの売上は期待外れで、予測の最低ラインかそれを下回っていたという。また、複数の現場スタッフから、売れ行きが低調で、全国販売にいたらない可能性が指摘されていたという。

売上減少をうけ、売上予測を引き下げ

出典:ビヨンドミート

ビヨンドミートの第2四半期決算発表によると、2022年第2四半期の純売上高は約1億4700万ドルと前年比1.6%の減少となった。売上総利益は620万ドルの損失で、純損失は9,710万ドルと振るわない結果となった。

創業者兼CEOのイーサン・ブラウン氏は、「2022年第2四半期、インフレ圧力でタンパク質市場が落ち込む中、純売上高では過去2番目に大きな記録を出せました。また、運営・製造の変換コスト削減において、着実な進歩を遂げました」とコメントしている。

決算発表で、ビヨンドミートは年間純売上高の予測を、5億6000万ドル~6億2000万ドルから、4億7000万ドル~5億2000万ドルに下方修正した。また従業員の約4%を一時解雇することで、約800万ドルの節約できると発表している。

ビヨンドミートは2019年にNasdaq上場を実現し、世界的にも代表的な植物肉企業だが、昨今はインフレ、サプライチェーンの混乱、人材確保、金利上昇、景気後退の可能性など複数の影響により苦戦している。

同社は7月に市場にまだほぼ流通していない植物性の代替ステーキ肉の年内発売計画を発表した。マックプラントの本格導入が実現しなかった今、植物ステーキ肉の市場投入が挽回策となるか、注目される。

 

参考記事

Beyond Meat stock falls after conclusion of McDonald’s McPlant test

BEYOND MEAT® REPORTS SECOND QUARTER 2022 FINANCIAL RESULTS

Beyond Meat cuts outlook and employees as sales and earnings disappoint

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:ビヨンドミート

 

関連記事

  1. 上海の培養肉企業CellXがパイロット工場を開設、年内に米・シン…
  2. 英ReNewFood、精密発酵で新たなヘムタンパク質を開発 – …
  3. Umami BioworksとShiok Meatsが合併計画を…
  4. 酵母クリームのCultivated Biosciences、20…
  5. 米Algae Cooking Club、微細藻類由来の食用油を発…
  6. Leaft Foods、葉由来のルビスコタンパク質を使用したドリ…
  7. 細胞培養ソーセージを開発するNew Age Meatsが約28億…
  8. 精密発酵:8ヵ月にわたる企業・政府動向の全記録【Foovo独自調…

おすすめ記事

最短30秒で調理する自律調理ロボットを開発したRoboEatz、1台目をラトビアに設置予定

カナダ、米国、ラトビアに拠点を置くRoboEatzは、自社の調理ロボットを「世界…

英Multus Biotechnologyが約12億円を調達、増殖培地工場の建設へ

イギリスのスタートアップ企業Multus Biotechnologyは、世界初の…

イスラエルのDairyX、精密発酵技術で自己組織化するカゼインミセルの生産方法を開発

2022年に設立されたイスラエルのスタートアップ企業DairyXは今月、精密発酵…

レタスを活用して乳タンパク質を開発するイスラエル企業Pigmentum

植物を使った代替乳製品や、微生物を活用した精密発酵による代替乳製品の開発が進むな…

イスラエルの培養肉Future Meatが世界初の培養肉生産施設をイスラエルに開設

イスラエルの培養肉企業Future Meatが世界初の産業用培養肉生産施設を開設…

微細藻類ナンノクロロプシスで油脂生産──ファイトリピッド・テクノロジーズが2.2億円を調達、瀬戸内に培養施設を建設へ

微細藻類による油脂生産を行うファイトリピッド・テクノロジーズ(Phytolipi…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/10 16:05時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/10 02:29時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/10 06:08時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/09 22:05時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(10/10 14:04時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/10 01:22時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP