このニュースのポイント
●Bowlton Kitchensは料理・在庫管理を自動で行うフードロボットを開発
●1時間に300の料理を調理可能
●コストはこれまでの1/3に削減可能
●2019年のプレシードで11万5000ドルを調達
米カリフォルニア発のBowlton Kitchensは、調理時間がこれまでの1/2に、コストが1/3になるフードロボットを開発した。
1時間に300の料理が可能な料理ロボットで、作れる料理は、サラダ、スープ、スパゲッティなど。
これはシェフ13人が働くのに等しい作業量だという。
具体的な調理時間は、
サラダ1皿は1分、
スープは2分、
火を使う料理は3分
目的は、忙しい時間帯の食事・デリバリーを支援することだという。
1時間に300の料理を自動で作れるだけではなく、トッピングを選べるのが特徴だ。
顧客は好みに応じたトッピングを選び、メニューを自由にカスタマイズできる。
材料はセントラルキッチンで用意され、クラウドキッチン、ファーストフード、自販機、移動販売車などに搬入される。
専用ソフトによる在庫管理システム
Bowlton Kitchensは料理を自動化するだけでなく、在庫管理もすべて自動化している。
これにより、
・必要な材料の注文
・期限切れ材料の廃棄
・期限切れ間近の材料のディスカウント
が可能となる。
画像のように、期限切れの材料が入った容器は自動的に運ばれ、廃棄される仕組み。
さらに、専用アプリでキッチンのワークフローを管理し、リアルタイム分析をする。
自社システムやデリバリープラットフォームとの統合もできるという。
容器にいれられた材料は、7日間保存できる。
マップ包装(modified atmosphere packaging、ガス置換包装技術)を採用することで、長く鮮度を保持している。
マップ包装は、容器内の空気をその食品の保存に適したガスに置換し、包装する方法をいう。
ガスには、酸化を防ぎ、色や香りを自然な状態に保つ窒素ガスや、色や鮮度を保つ酸素ガス、細菌やカビの繁殖を抑制する炭酸ガスが使われる。
こうしたマップ包装が施された容器は、ロボット本体に6000個収容される。
これは料理800皿分に相当するボリュームだ。
ソフト・ハード面を統合することで、調理時間をこれまでの1/2に、コストを1/3にまで節減できるようになる。
同社によると、下記のとおり各項目で約1/2~1/3の節減を実現している。
導入前 | 導入後 | |
労働コスト | 28% → | 9% |
使用スペース | 10% → | 5% |
食品廃棄コスト | 3% → |
1% |
Bowlton Kitchensは2019年に設立したスタートアップ。
これまでにプレシードラウンドで11万5000ドル(約1200万円)を調達しているが、出資者は公開されていない。
確認した限り、海外メディアではまだ取り上げられておらず、詳細についてはBowlton Kitchensに問い合わせている。追加情報がわかり次第、追記する予定だ。
他社のフードロボット
Bowlton Kitchensのようにフードロボットに取り組む企業として、カナダのYPCテクノロジーズがいる。
トヨタグループのファンドから出資を受けている同社は、介護施設、病院を想定した料理ロボットを開発している。
1時間に100の料理を作れる点では、Bowlton Kitchensと似ているが、自動化率、トッピングのアレンジ、在庫管理の点ではBowlton Kitchensはより効率性を追求していると言える。
YPCテクノロジーズは材料の補充など人の介入が必要となるが、Bowlton Kitchensは材料をセットすれば、あとはロボットがすべてを担う。
具体的な導入計画や価格について現在Bowlton Kitchensに問い合わせ中だが、ホームページによると、装置の配達、設置、メンテナンスはすべて同社が担当。ソフトウェアとハードウェアのアップデートは無料だという。
省スペース、コンタクトレス、自動化はいずれもwithコロナの社会で特に必要とされるものだ。Bowlton Kitchensのフードロボットはこれらすべてを満たしている。
Bowlton Kitchensの今後に注目したい。
参考情報