キッチンOSの主力スタートアップサイドシェフ(SideChef)とウォルマートとのコラボが始まった。
サイドシェフのアプリで、レシピ検索からウォルマートでの食材調達までのシームレスな対応が可能になる。
サイドシェフはこれまで、レシピの検索から食材購入までをノンストップで可能とするサービスをAmazonフレッシュと提携していた。
今後は、ウォルマートでも同様のサービスを利用できるようになる。
キッチンOSとは
サイドシェフはキッチンOS主力スタートアップの1つ。
キッチンOSとは、レシピ検索から食材の発注、調理時の火力・温度・時間調節などをシームレスでつなぐ概念のこと。たとえば、アプリからオーブンの温度や加熱時間を調節できるようになる。
キッチンOSによって、「買い物」「レシピ」「調理」というバラバラだった行動を一連の流れとして連動できるようになる。
キッチンOSのプレーヤーの中でも、注目を集めるのがレシピを開発する企業である。家電メーカーではアクセスしがたい、好み、アレルギー、よく使う食材などのパーソナルデータを保有するという強みがあるからだ。
キッチンOSの主力プレーヤーの1つがサイドシェフ。
オンラインゲーム業界出身の創業者ケビン・ユーが、自分のように料理が全くできない男性のために立ち上げたスタートアップだ。料理中にアプリを操作する度に手を洗わなくていいように、アプリのレシピ画面を音声で操作することも可能だ。
今月から始まるのが、レシピ検索からウォルマートでの食材調達までシームレスに対応するサービス。
サイドシェフのアプリ、ウェブを使用するユーザーはレシピに必要な材料をワンクリックで購入、全米3300店舗のウォルマートからデリバリーまたはピックアップする店舗を選べる。
現在、サイドシェフには買出しまで一括でできるレシピが150個ある。今月後半には1万個に増える見込みだという。レシピに必要な材料を購入できるほか、ユーザーは作る量を変えたり、使用するブランドを替えたりできる。
活発化する買出しレシピサービス
買出しできるレシピサービスは活発化している。
2020年7月にはドイツのサーモミックス(Thermomix)がレシピコミュニティCookidooで買出しできるレシピサービスを開始。8月には買出しレシピサービスを展開するスウェーデンNorthforkが110万ドル(約1億円)を調達している。
Northforkのサービスもウォルマートと連動している。ユーザーのアプリには、最も近いウォルマートが表示されるほか、在庫まで調べてくれる。購入すると、早ければその日に食材が届くという仕組みだ。
買出しまでシームレスで対応するレシピサービスの高まりは、コロナウイルスのパンデミック発生と密接に関係している。2025年までに食料品EC市場は2500億ドル(約26兆円)の売上になり、食料品全体の21.5%のシェアを占めると予想されている。
サイドシェフのように、買出しまで可能なレシピサービスを提供する企業にはまだ発展の余地が十分にありそうだ。
参考記事
SideChef Now Offers Shoppable Recipes Through Walmart
Three Reasons Why We are Excited about Walmart+
Shoppable Recipe Service Northfork Raises $1.1M
SideChef Integrates with Amazon Fresh for Shoppable Recipes