植物ベースの代替魚開発に取り組むNew Wave Foodsが、シリーズAラウンドで1800万ドル(約18億円)を資金調達した。
今回のラウンドには、New Enterprise Associates、Evolution VC Partnersなどが参加した。
調達した資金は、量産、販売・マーケティングの拡大、チーム拡充、新しい製品開発にあてるとしている。
100%ヴィーガンな代替エビを開発したNew Wave Foods
New Wave Foodsは海藻と植物を原料に代替エビを開発するニューヨークを拠点とするスタートアップ企業。
2015年から代替水産物の開発に取り組み始め、昨年は、代替エビの全国販売に向けて準備を進めてきた。New Wave Foodsは、まずレストランなど外食産業へ代替エビを提供することを考えており、今月後半にも卸売業者へ最初の出荷をする予定。
今年第1四半期には飲食店のメニューに表示されるという。
同社が開発するエビは、海藻・植物を原料とする。
グルテン、大豆、小麦などのアレルギーになる素材は使わず、遺伝子組換え原料も含んでいない。100%ヴィーガンな代替エビだ。
アメリカのエビ消費の8割が外食産業
ウルフ氏は植物ベースのエビには「絶好のチャンス」があると考えている。
「2015年に会社を設立したとき、ビヨンドミートやインポッシブルフーズは市場で大きな注目を集めていましたが、水産物に目を向けるプレーヤーはいませんでした。これは大きなチャンスでした」(CTOのミシェル・ウルフ氏)
同社によると、アメリカでは年間15億ポンドのエビが消費されており、その80%はレストランなど外食で消費されている。
エビ、カニなどの甲殻類はアメリカで最も消費される水産物とされる。
ウルフ氏によると、アメリカのエビの90%が東南アジアの海岸近くのエビ養殖場から輸入されている。
エビの生産には持続可能でないという問題がある。消費される8割のエビを代替エビに置き換えることができれば、環境に対する負担が減る。
エビ養殖がもたらすマングローブの破壊
エビ養殖のために、多くのマングローブが伐採されてエビ養殖場にされている。
国立環境研究所の報告によると、タイでは過去20~30年でマングローブの半分近くがエビ養殖場になっている。
マングローブは海からの風や波から陸地を守り、陸からは土砂や汚染が海へ流れ出るのを防ぐ緩衝場の役割を持つ。マングローブが減ると、台風の高波が直に影響を及ぼしたり、海水が内陸まで広く押し寄せたりして、生活・農作業に悪影響を及ぼす。
また、多様な生態系が暮らす場所でもあるため、マングローブの減少は、直接的・間接的に地球の生態系に長期的な影響をもたらす。
国によっては、病気を予防するための抗生物質を使用するエビ養殖場もあり、残留する抗生物質も問題とされる。
New Wave Foodsは「味・食感で本物のエビとほぼ区別できない」製品を提供して、エビの養殖や乱獲に伴う環境問題の解決を目指している。
年末までに味付けしたタイプをリリース予定
New Wave Foodsはレストランなど飲食店のメニューに使われる形で提供される。
価格については「若干高く感じるかもしれませんが、お客さんは最終的にメインディッシュや料理全体を注文します。ですから、食事をするお店に期待する価格に見合うものになるでしょう」と語っている。
FOODDIVEの報道によると、最初の商品はプレーンな代替エビだが、年末までにパン粉をまぶした揚げ物、ソースで味付けしたバージョンを市場に出す予定だという。
今回調達した資金で、ロブスター、カニ、ホタテも開発するとしている。
同社によると、チェーン店も含め、アメリカのいくつかのレストランが同社の代替エビの導入に関心を寄せている。
New Wave Foodsはタイソンフーズからも非公開の出資を受けており、クランチベースによるとこれまでに調達した資金は総額2030万ドル(約21億円)となる。
ウルフ氏は次のように語り、意気込みを見せる。
「当社にとって、2021年はエビの年。エビに全力コミットします」(ウルフ氏)
参考記事
New Wave Foods nets $18M and plans foodservice launch in Q1
New Wave Foods Raises $18M for Plant-Based Seafood
Shrimp alternative company ‘snaps’ into foodservice
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アイキャッチ画像の出典:New Wave Foods