ゲノム編集

誰もが食べられるグルテンを開発するUkko、食品アレルギーにパラダイムシフトを起こす

 

Beyond Celiacによると、1800万人のアメリカ人がグルテンアレルギーを持っているとされる。

また、アメリカでは13人に1人の子供が何らかの食品アレルギーをもっている。

食品アレルギーの対策は、徹底的に原因となる食品を避けるしかない。

こうした食品アレルギーにパラダイムシフトを起こそうとするのがUkkoだ。

Ukkoはイスラエルを拠点にするスタートアップ企業で、Anat Binur氏とYanay Ofran氏によって設立された。

グルテンアレルギーピーナッツアレルギーの根本解決策を提供しようとしているが、アレルギーフリーの食品は作らない。

AI合成生物学を駆使し、アレルギーの「起爆装置」を除去する。

AIを活用して「誰もが食べられる」グルテンを開発

Ukkoは現在、アレルギーを起こしにくい「新しいグルテン」を開発している。

UkkoはAIを活用して、タンパク質を構成要素ごとに解析、グルテンのタンパク質のどの部分が免疫反応を引き起こしているか割り出した

次いで、クリスパーキャスナインというゲノム編集技術を使って、アレルギーの原因となる部位を切り取る

こうして、グルテンの良い部分はそのまま残し、問題となる部位だけを除去した「新しいグルテン」ができあがる。

「新しいグルテン」は、アレルギーを引き起こす悪い部分だけが取り除かれ、本来の機能性、味、健康に良い特性は保たれている

Ukkoのように食品で問題となるタンパク質を編集する試みは初めての事例ではなく、オランダのヴァーヘニンゲン大学研究所が2019年に最初にこのコンセプトを発表している。

同大学の研究では、遺伝子ファミリーの複数の遺伝子をクリスパーキャスナインにより取り除いている。Ukkoによると、ヴァーヘニンゲン大学研究所は遺伝子ファミリー全体を取り除くのに対し、Ukkoはより小範囲をターゲットにしているという。

Ukkoの公開特許

Ukkoの特許明細書によると、コンピューターを活用してグルテンタンパク質でアレルギーの原因となるエピトープ(抗体が結合する抗原のごく一部分のこと)を同定

同定したエピトープのアミノ酸を突然変異させて、脱エピトープ化(不活性化)することで、アレルギーの原因部分を除去する。

ピーナッツアレルギー薬も開発

出典:Ukko

Ukkoのピーナッツアレルギーへのアプローチは、グルテンとは異なり、食べると免疫寛容を促進するような医薬品を開発している。

免疫寛容とは、特定の抗原に対し免疫反応を起こさない状態のことをいう。

 

Ukkoはごく微量のピーナッツを含ませた食品を繰り返し摂取させ、ピーナッツに曝露させる。こうすると、身体のピーナッツに対するアレルギー性が減退していく

このアプローチはすでに他社も採用している。

FDAはピーナッツアレルギー薬として昨年2月に初めてエイミューン社の「Palforzia」を承認した。しかし、Ukkoによると、重度のピーナッツアレルギーをもつ人はごく微量でも摂取できないという。

そこで同社はアレルギー反応を起こすタンパク質をゲノム編集で取り除き、同様のピーナッツアレルギー薬の開発に取り組んでいる。

低アレルギー性のピーナッツタンパク質を使えば、アレルギーを誘発するリスクがさらに低くなり、重度のピーナッツアレルギーの人にも適用できる

グルテンフリー市場は216億ドル

Grand View Researchによると、グルテンフリー市場は2019年の時点で216.1憶ドル規模で、2027年までに年平均成長率9.2%で伸びていくことが見込まれる。 

また、アメリカでは1997年から2008年にかけてピーナッツアレルギーを持つ子供が3倍に増えているという。現在、180万人のアメリカ人小児がピーナッツアレルギーを持つとされる。

アメリカだけでなく、イギリス、カナダ、オーストラリアなどでも同様の増加傾向がみられるという。

つまり、Ukkoの技術はアレルギーに苦しむ人々にとって根本的な解決策となり、また、ビジネスチャンスも大きい

出典:Ukko

Ukkoは先月、シリーズBで4000万ドル(約4億1千万円)を調達した。

このラウンドは、Leaps by Bayerが主導し、Continental Grain Company、PeakBridge Ventures、Skyviews Life Science、Fall Line Capitalなどが参加した。

Ukkoがこれまでに調達した資金は総額4770万ドルになる。

今回調達した資金で、グルテンの開発を加速するほか、ピーナッツアレルギー治療に関する治験を開始するとしている。

Ukkoの技術はピーナッツ・グルテン以外の食品にも応用できる

出典:Ukko

特許明細書によると、Ukkoの技術を使えばグルテン、ピーナッツのほかに、大豆、卵、魚、甲殻類、マメ科植物、ナッツ類、小麦、牛乳、米にも対応できる

食品の栄養や味、特性を変えることなくアレルゲンだけを取り除くUkkoの技術は、アレルギーによる疾患や不便で悩む人々にとって大きな救済となるのは間違いない。

 

参考記事

Ukko Raises $40M to Fight Food Allergies and Develop its Good Gluten

The startup wants to make gluten-free bread tasty-and peanuts less dangerous

Synthetic Biology Partners With AI To Delete Food Allergies

METHODS FOR IDENTIFYING AND DE – EPITOPING ALLERGENIC POLYPEPTIDES (US 2020/0124615 A)

 

アイキャッチ画像の出典:Ukko

 

 

***無料レポートプレゼントのご案内***

無料メールマガジンに登録いただいた方限定で、

国内外の培養肉開発に取り組む企業をまとめたレポートを無料でお配りしております。  

●全66社

●全15ページ

の無料レポートです。

登録は1分で終わりますので、ぜひこの機会にご利用ください。  

メールマガジンにご登録いただくと、

週に1回、フードテックの最新ニュースをお届けしております。

↓↓↓↓↓

メールマガジン登録はこちらから

 

>> <<

関連記事

  1. ベースフードのスタートセットをお試ししてみた感想⇒継続決定【口コ…
  2. 主食のイノベーションに挑む日本企業ベースフード、目指すのは「健康…
  3. アボカドの芽の凍結保存に初めて成功|オーストラリアのクイーンズラ…
  4. ミツバチを使わない「本物のハチミツ」を開発する米MeliBio
  5. インドNymbleの料理ロボットJulia(ジュリア)がSKS2…
  6. チリのフードテックNotCoが約89億円の資金調達に成功、米国進…
  7. 香港IXON社が肉を2年間常温保存できるASAP技術を開発
  8. キッチンOSのサイドシェフ|買出しレシピサービスでウォルマートと…

おすすめ記事

ユニリーバ、植物性の代替肉・代替乳製品の年間売上目標を約1200億円に

このニュースのポイント●ユニリーバが植物由来食品…

Aleph Farmsと三菱商事が日本での培養肉導入に向けて協業

イスラエルの培養肉スタートアップAleph Farms(アレフファームズ)と三菱…

米国IPOを目指すMeat-Techが3Dプリンターで10mmの牛脂肪構造の作製に成功

このニュースのポイント Meat-Tech 3…

動物を使わないチーズを作るChange Foodsが約9100万円を資金調達、生乳市場の破壊へ乗り出す

このニュースのポイント ●Change Foodsがプレシードで約9…

まだ食べられる食品を定期宅配するImperfect Foodsが約99億円を調達

アメリカ農務省(USDA)によると、アメリカでは供給される食料の30-40%が廃…

スペイン政府がBioTech Foodsの主導する培養肉プロジェクトに約6億5千万円を出資

スペインの培養肉スタートアップBioTech Foodsはスペイン政府から520…

フードテックを理解するのに役立つ書籍

 

 

 

情報を論理的に読み解く方法を学べる書籍

【運営者おすすめ】

 

▼今ならKindle unlimitedで無料で読めます▼

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業66社をまとめたレポート(全15ページ)を無料でお配りしております。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

PAGE TOP