3Dプリンター

Oshiのホールカットの植物サーモン、ニューヨークで発売

 

イスラエル企業Oshiが、ニューヨークの高級ビーガン・コーシャレストランColettaで、ホールカットの植物サーモンの発売を発表した

Oshiはニューヨークでの発売について、「ニューヨークで私たちの製品を発売することは大きなマイルストーンであり、お客様からの肯定的な反応にとても驚いています」とリンクトインで述べている。

Oshiの植物サーモンは供給に限りがあり、なくなり次第終了となる。

Oshiは今年6月、年内にアメリカのレストランで発売予定であることを発表していた。今回の発表により、予定通りホールカットの植物サーモンをアメリカで発売したこととなる。

Oshiのホールカットの植物サーモン、ニューヨークで発売

出典:Coletta

Colettaのインスタグラムによると、Oshiの植物サーモン切り身は、パルメザンチーズソースでバルサミコ風味に仕上げ、ローストブロッコリーと共に提供されている。動画から、Oshiの調理された植物サーモンが、本来の鮭のように繊維毎にほぐされる様子がわかる。

Colettaではイスラエル企業Chunck Foodsの代替ステーキ肉も提供されている)。

Oshiは2021年に設立され、今年6月に社名をOshiに変更した。同社は、マメ科植物と藻類抽出物を原料に、繊維構造を再現するために3Dプリンティング技術を用いて植物サーモンを製造している

植物シーフードの温室効果ガス排出量は養殖魚の3分の1

出典:Oshi

世界のサーモン市場は2022年の217億4,770万ドルから2031年には321億1,870万ドルに達すると予想されている。現在、世界で生産されるサーモンの約70%が養殖されたものとなり、今後もサーモンの需要は増加すると予想されているが、サーモン養殖が海洋生態系に及ぼす影響も指摘されている

GFIが発表した最新の代替シーフードレポートによると、植物シーフードの生産に伴う温室効果ガス排出量の中央値は、養殖魚よりも34%低いと報告されている。

GFIは、植物シーフードと培養シーフードは世界的なシーフード消費による気候への影響を軽減し、海洋生態系への被害を軽減できるソリューションになると見ている。特に、植物由来シーフードは短期的な気候目標を達成するために特に重要である可能性があると述べている

Oshiのサーモンは100%植物由来のため、水銀、マイクロプラスチック、ホルモン剤、抗生物質といった問題が不随しない。気候への影響を軽減できるだけでなく、海洋汚染のない代替シーフードの需要は今後、高まっていくと予想される。

代替シーフードの新たなトレンド:ホールカット

出典:Oshi

数年前までは、市販される代替魚製品の大部分はほぐしたタイプの製品だった。最近では、Oshiのように、ホールカットの代替サーモンを開発する企業が増えている。

こうした背景には、味・風味だけでなく本物のようなホールカット製品を食べる体験が重視されていることも関係しているだろう。

Oshiの他にも、カナダのNew School Foodsが調理体験も再現できる生の状態の代替サーモンの切り身を開発したり、オーストリアのRevo Foodsが3Dプリンターで作られた代替サーモンを今年発売したりするなど、消費者にとって代替シーフードのオプションが増えてきている。

 

参考記事

Oshi Linkedin

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Oshi

 

関連記事

  1. Redefine Meatが3Dプリント肉を2021年前半に販売…
  2. Pureture、代替カゼイン使用のプロテインドリンクを米国で年…
  3. 培養肉の法整備を目指す議員連盟が発足、年内に試食実現のための提言…
  4. Yコンビネーターが支援する米培養肉企業Orbillion Bio…
  5. クラフト・ハインツがAIを活用するフードテック企業NotCoと合…
  6. 培養肉アレフ・ファームズ、安価でオープンな増殖培地の開発でWAC…
  7. 培養肉モサミートが培養脂肪用培地の大幅コストダウンに成功
  8. BlueNaluがアジアへの培養魚販売に向けて三菱商事、タイ・ユ…

おすすめ記事

塩生植物からルビスコタンパク質を抽出するThe Leaf Protein Co.が約1.3億万円を調達

2024年6月20日 情報を追記食品メーカー向けにB2B原料として葉由来…

培養肉生産の複雑さを乗り越える(Gelatex-Athanasios Garoufas氏による寄稿文)

本記事は、Gelatex Technologies(エストニア企業)で最高事業開…

植物ミルクをより持続可能に:英MYOMが開発した新タイプのオーツミルク

環境負荷の軽減や健康志向から、国内でもオーツミルク、アーモンドミルク、豆乳などの…

イスラエルのMarineXcell、独自の核初期化技術で細胞培養によるエビ、ロブスター、カニ開発に挑む【創業者インタビュー】

左からYosef Buganim教授、Leonardo Berezowsky氏、Gadi Lipin…

イスラエルのSteakholder Foods、3Dプリンターで生成した世界初の植物性ウナギを発表

3Dプリンターで持続可能な代替肉・代替シーフードを開発するイスラエル企業Stea…

培養魚スタートアップのFinless Foodsが植物性マグロにも参入、2022年までに市販化へ

培養魚を開発するアメリカのFinless Foodsが、植物性代替マグロに参入す…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(07/02 15:26時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/03 01:25時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/03 05:20時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/02 21:28時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/02 13:28時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(07/03 00:32時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP