アグテック(AgTech)

自宅を農家にする室内農業のGardynが約10億円を調達

 

水耕栽培キットを開発するGardynがシリーズAで1000万ドル(約10億円)を調達した。

Gardynは室内の狭いスペースでも30の植物を栽培できる水耕栽培キットを開発している。

出典:Gardyn

本体はコンパクトな垂直型で、わずか0.1畳のスペースで30の植物を栽培できる。

インテリアとして置いても見栄えするこのシステムは、植物を栽培した経験がない人でもゼロから栽培を楽しめるようになっている。

AIが不在時にも植物を「管理」

Gardynの水耕栽培システムは、365日、自宅で食べる野菜を自宅で栽培するために開発された。

システムが自動的に水や栄養が循環させて、KelbyというAI搭載アプリが植物の成長をモニタリングする。

出典:Gardyn

水が必要なときや、収穫するタイミングになると、アプリを通じてユーザーに知らせてくれる。

といっても、ユーザーが都度、水を植物にやる必要はない。

本体には水タンクがついており、水タンクがいっぱいの状態であれば、(育てる植物の数によるが)数日から2,3週間はシステムが水を循環させて、植物に水を届けてくれる。

出典:Gardyn

旅行で数日不在にするときも安心できる。

毎回植物を枯らしてしまう人には、Kelbyは強力なアシスタントになる。

現在作れる植物は、リーフ野菜のほか、ハーブ、イチゴ、トマト、ハラペーニョ、花など。

栽培できる種類は随時追加されており、自分で種を用意して育てることもできる。

出典:Gardyn

複数のセンサーによって水、温度、湿度などリアルタイムの情報がアプリKelbyに伝わる。本体には高解像度カメラが搭載されており、成長具合をライブで確認することもできる。

自宅が農家になる近未来

新型コロナウイルスの発生で、農家から直接野菜を買う動きは加速した。

サプライチェーンの遮断を経験した社会では、野菜を地域で生産する意識が以前に増して強くなっている。

Revolのように「地元の野菜は地元で作る」ことを理念とする温室農業企業もある。

今後は生産の場を自宅に移す、「自宅が農家になる」動きが強まっていくことは間違いない。

出典:Gardyn

現に、Gardynは2020年を通じて「前月比2桁成長」を経験した。香港を拠点に水耕栽培キットを開発するAsparaも売上が急上昇したことを報告している。

現在は誰もが室内で水耕栽培により野菜を育てることは主流になっていないが、これには水耕栽培キットの価格も関係している。

水耕栽培キットは大多数の人にはまだ「高い買い物」になる。

Gardynも例外でなく、現行価格は799ドル(約8万4千円)。

創業者のRouxel氏もこの点を意識している。

同氏は「経済的に裕福な人だけが買えるものにするつもりはありません。誰もがこれを買える方法を見つけ出すことが重要です」と語り、広く一般市民に商品を提供したいと考えている。

出典:Gardyn

Gardynの水耕栽培キットには「信じられない需要」があるとし、今回調達した資金で、北アメリカでの展開を加速する予定。現在は米国でのみ販売している。

Rouxel氏は昨年、Spoon誌のインタビューに次のように語っている。

「当社がやりたいのは、食へのアクセス方法を早急に変えるソリューションを開発することです」

「今後2年で、今の栽培方法が完全に破壊されるのを確信しています」

Gardynの水耕栽培システムは、現在はまだ誰もが手の届く価格ではないが、コストダウンに成功すれば、365日、自宅で野菜を栽培できる商品を求める人の数は間違いなく増える。

今回の資金調達は、ルクセンブルクに本社を構えるドイツのJAB Holding Companyが主導した。これまでの調達総額は1500万ドル(約15.8億円)となる。

 

参考記事

Gardyn Raises $10M for Its Consumer-Grade Indoor Farm System

 

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