Foovo Deep

タイソンフーズが出資するFuture Meatが培養鶏肉のコストダウンに成功、2022年に市販化へ

 

イスラエルの代替肉企業Future Meatは、自社の培養鶏肉の生産コストを1/4ポンド(約113g)あたり7.5ドル(約780円)まで削減したことを発表した。

プレスリリースの中で、2021年前半にパイロット工場の稼働を開始し、1年半以内に商品を市場投入する予定であることも明らかにした。

同社はこれにあわせてコンバーティブル・ノートで2675万ドル(約28億円)を調達。この資金で、生産のスケールアップ、研究開発を加速するとしている。

世界初の培養肉バーガー登場から8年後の快挙

世界で初めて登場した培養肉ハンバーガーといえば、マーク・ポスト教授がバーガーを持つこの写真が有名だ。

約3500万円するバーガーを発表するマーク・ポスト教授 出典:Mosa Meat

写真に写るハンバーガーパテは2013年当時、約3500万円した。

この時から、世界中の培養肉企業が「高コスト」という培養肉開発の課題に向けて取り組み始めた。

動物を殺さず、一片の組織から採取した細胞を成長させて動物肉よりクリーンな肉を作れるようになっても、これまでの肉と同価格、あるいは少し高いくらいでなければ、消費者は手に取らない。

従来の肉と同価格の培養肉を提供することは、創業当初からのFuture Meatの使命だった。

そしてついに、3年かけて1000分の1のコストダウン、7年かけて28000分の1のコストダウンに成功した。

植物肉と培養肉のハイブリッド肉

Future Meatは培養肉を市場に早く投入するために、他社と異なる戦略をとる。

他社の多くが植物肉か培養肉のいずれかを作るのに対し、同社は植物性タンパク質と細胞ベースの鶏肉をブレンドしたハイブリッド商品を開発する。

ハイブリッドにする理由は、100%培養肉を開発するよりも市場投入しやすいからだ。

出典:Future Meat

植物性タンパク質と細胞ベース肉の割合は公開されていないが、従来の鶏肉と同じ見た目、口当たり、匂い、味がするという。

植物性タンパク質の原料には、大豆、えんどう豆、きのこなどを使用。植物性タンパク質は培養肉より食感・栄養面で優れているという。

そして、風味香りなど、植物肉では補えない「肉を食べている感覚」を培養肉が補う

まさに、両者のいいとこどりをした代替肉といえる。

Nahmias氏には4人の子供がおり、みな植物肉商品は特に嫌いだというが、Future Meatの肉は食べてくれるという。

培養肉の川上に入り込む「Cultured meat as a Service」

左からMoria Shimoni氏、創業者Yaakov Nahmias氏、CEOのRom Kshuk氏 出典:Future Meat

多くの培養肉企業は、自社で生産ラインを構築し、自分たちが作った培養肉を消費者や外食産業に届けようとしている。

Future Meatの最終ゴールは違う。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像の出典:  Future Meat

 

関連記事

  1. 細胞培養によるカキを開発するアメリカ企業Pearlita Foo…
  2. 3Dプリンターで次世代ステーキを作るRedefine Meatが…
  3. ブロックチェーンを活用して透明性の高いサーモン養殖に取り組むKv…
  4. モサミートがEUから助成金を授与、Nutrecoと共同で培地コス…
  5. ほうれん草の葉を使った培養肉用の新しい食用足場|ボストンカレッジ…
  6. マクドナルドが植物肉バーガー「マックプラント」の試験販売をスウェ…
  7. パーフェクトデイの子会社The Urgent Companyがア…
  8. 砂糖削減に取り組むBetter Juice、ドイツにパイロット施…

おすすめ記事

誰もが食べられるグルテンを開発するUkko、食品アレルギーにパラダイムシフトを起こす

Beyond Celiacによると、1800万人のアメリカ人がグルテンアレルギー…

スーパーミート、システムのオープンソース化で培養肉の商用化を加速

イスラエルを拠点とする培養肉企業スーパーミートが商用化に向けて加速している。…

菌類由来の熱安定性に優れたビーガン着色料を開発するMichromaとは

アルゼンチンのMichroma(ミクロマ)は菌類を活用してビーガンな赤色着色料の…

植物の葉緑体を活用して成長因子を開発するBright Biotechが約4億円を調達

分子農業で培養肉用の成長因子を開発する英Bright Biotechはシードラウ…

韓国LOUNGE’LABがロボットアイスクリームショップBrown Banaをソウルにオープン

AI、ロボット、ブロックチェーンを活用する韓国のスタートアップLOUNGE'LA…

UMAMI UNITEDの植物性代替卵「UMAMI EGG」が都内レストランに登場

シンガポール、日本に拠点を構えるUMAMI UNITEDが開発した植物性の代替卵…

精密発酵レポート予約注文受付中

培養魚企業レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(06/09 18:06時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(06/09 21:46時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(06/09 15:17時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(06/09 08:26時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(06/09 17:47時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP