アグテック

省スペースで野菜30個を栽培できるGardyn|スマートでコンパクトな屋内農場

 

コロナウイルス感染拡大により食のサプライチェーンが影響を受け、感染防止のために自宅で料理する人が増えるなか、家庭での水耕栽培は1つのトレンドになりつつある。

自宅で野菜を作れるなら、外出する必要も、感染を心配する必要だってない。

しかし、家庭菜園のネックとなるのが、

・栽培経験がない

・栽培するスペースがない

この2つだろう。

これをあっさり解決する商品が登場した。

 

Gardynのコンパクトでスマートな屋内農場

出典:Gardyn

Gardynの屋内農場は事前知識がなくても30の植物を栽培できる画期的な水耕栽培キットだ。しかも、必要とするスペースはわずか0.05坪。

外観は縦長で、まるで観葉植物のように見える。

Gardynシステムは縦長のタワーと、KelbyというAIアプリの2つで構成される。

出典:Gardyn

ユーザーは種が入った容器を差し込むだけ。システムが自動的に水を循環させて、植物に栄養を与える。Kelbyが植物の成長をモニタリングして、給水や収穫のタイミングをユーザーに知らせる。

Gardynのシステムは、DWC(ディープウォーターカルチャー)とエアロポニックスのいいとこどりをした手法を使う(Gardynはこれを”Hybriponic”と呼んでいる)。

DWCは根が培養液に十分に浸されるため広いスペースを必要とする。エアロポニックスは外でやるにはよいが、室内の場合は光源が必要となる。

そこでGardynは両者のエッセンスを抽出して、わずか2平方フィート(約0.185㎡)で30個の植物をつくれるシステムを開発した。

ほかにハードウェアを用意する必要はない。作れる植物は、リーフ野菜のほか、果物、トマト、花など。今後はイチゴも追加予定だ。

出典:Gardyn

複数のセンサーによって水、温度、湿度などリアルタイムの情報がKelby(アプリ)に伝わる。高解像度カメラが搭載されており、成長具合をライブで確認することもできる。

出典:Gardyn

気になるGardynの価格はベーシックモデルで799ドル(約8万4千円)。栽培に必要なものはすべてついている。最も高いプランは1485ドル(約15万円)で2年間のメンバーシップ付き。毎月新しい植物が配達され、配達される植物を好みでアレンジすることもできる。

創業者のRouxelがGardynを届けたいのは一般市民であって、富裕層をターゲットにしているのではない。現在は誰にも手の届く価格帯ではないが、投資によってコストカットを実現する技術改良が可能になれば、より手の届く価格になるだろう。

Rouxelが目指すのは「食へのアクセスに変革を起こすこと」。Gardynは、食を消費者により身近なものにする有効なソリューションとなる。

 

家庭用屋内農場に進出する競合他社

家庭向けの屋内農場には他社も進出している。

レストランなどに屋内農場を提供しているFarmshelfは今年、初となる家庭用の水耕栽培棚をリリースした。Rise Gardensはインテリアや収納棚にもなる屋内農場を提供している。

出典:Rise Gardens

国内では場所を取らない横型の水耕栽培キットfoopが入荷待ち状態になっている。

Gardynの購入は公式サイトから。購入は残念ながらアメリカ国内のみとなっている。

https://youtu.be/Eb0gXECFnGQ

参考記事

Gardyn Aims to Make At-Home Vertical Farming Small, Simple, and Stylish

Farmshelf Unveils Its First Consumer-facing Vertical Farming Unit

This Indoor Garden System Is the Perfect Solution for Gardeners of All Levels

 

関連記事

  1. 米Mozza Foods、大豆による植物分子農業で味・品質に妥協…
  2. Apeel Sciencesが約31億円を資金調達、小規模農家の…
  3. 植物工場のスプレッドが40億円を調達、代替肉・いちごの新規事業を…
  4. 家庭生ゴミを鶏の飼料に変える米Millが開発したキッチンデバイス…
  5. 米InnerPlantが自らSOSを出す植物 InnerToma…
  6. 米Apeel Sciencesがアボカドの熟度を即座に把握する新…
  7. カナダのTerra Bioindustries、使用済み穀物由来…
  8. 農業データ収集ソフトのArableが約20億円を資金調達

おすすめ記事

Mirai Foodsが厚さ1.5cm以上の培養テンダーロインステーキ肉の作製を発表

スイスの培養肉企業Mirai Foodsは今月、厚さ1.5cm以上の培養テンダー…

3Dプリント肉のSavorEatがアメリカの大学への試験導入でソデクソと提携

3Dプリンターを活用して植物肉を開発するイスラエル企業セイバーイート(Savor…

植物性チーズを開発するスウェーデン企業Stockeld Dreamery、今年前半に初商品の発売へ

植物性チーズのシェアは大きくないが、代替チーズに取り組む企業は増えつつある。…

モサミートはいかにしてFBSを使わずに培養牛肉を生産したのか?研究者が論文を発表

オランダの培養肉スタートアップ企業モサミートは今月13日、ウシ胎児血清(FBS)…

Evo Foodsとギンコ・バイオワークス、アニマルフリーな卵タンパク質の開発で提携

海外では動物に頼らずに食品成分を作る手法として、精密発酵が人気の手法になりつつあ…

ソーラーフーズが約13億円を調達、来年前半に商用工場Factory 01を稼働

二酸化炭素と微生物を活用して代替タンパク質ソレインを開発するソーラーフーズ(So…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/11 13:50時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/11 23:20時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/12 03:02時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/11 19:42時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(10/11 12:03時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(10/11 22:38時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP