代替プロテイン

植物性刺身を開発するOcean Hugger Foodsが復活|タイ企業Nove Foodsと提携して今年後半に海外展開へ

 

コロナウイルスにより一時は操業停止に追い込まれた植物性代替魚企業Ocean Hugger Foodsが復活する。

Ocean Hugger Foodsの100%ヴィーガンな代替刺身はホールフーズやレストランで提供されるなど、注目を集めていたが、コロナウイルスにより販路を断たれ、2020年6月に操業停止を公表していた。

同社はこのほど、タイの食品メーカーNove Foodsと提携して合弁会社Ocean Huggerを立ち上げ、再起することを発表した。

野菜を原料にしたユニークな代替寿司(マグロ・ウナギ)

2016年にニューヨークで生まれたOcean Hugger Foodsは、植物性代替食品の中でも、比較的ニッチな領域であるシーフードに、ユニークな原料を使って参入したスタートアップ企業。

植物性タンパク質で主流である大豆、えんどう豆、小麦などを使う企業が多い中、同社は野菜のなかでもトマトナスを使用する。

出典:Ocean Hugger Foods

最初の商品「Ahimi」は赤身マグロの代替食品で、トマト、グルテンフリーの醤油、砂糖、水、ごま油の5つの原料で作られている。

2つ目の商品「Unami」はうなぎの代替食品で、ナス、グルテンフリーの醤油、みりん、砂糖、こめ油、藻類オイル、こんにゃく粉の原料を使用している。

どちらも野菜から作られたとは思えないそっくりな外観をしている。

実際に食べた人は、「Ahimi」をトッピングにしたサラダを「知らずに食べたら、きっとわからないと思う」とコメントしている。

コロナで操業停止に

Ocean Hugger Foodsは2017年にホールフーズに導入され、急速にシェアを拡大していた。

2020年までにアメリカ、カナダ、イギリス、カリブ海のレストランで販売されていたが、コロナウイルスの発生で、大打撃を受ける。

レストランに販路を依存する食品会社の中には、デリバリーに切り替えたり、D2Cサイトを開設したりして事業を継続した企業もあるが、Ocean Hugger Foodsのように店内で新鮮な状態で食べることを前提にしている食品には、デリバリー、D2Cの選択肢はなかった

出典:Ocean Hugger Foods

ホールフーズや他の小売店に導入後も、同社の商品はすべて寿司屋で提供されていた。

感染が拡大する中、真っ先に敬遠されたのは生の食品であることは想像に難くない。コロナの影響を受け、大手寿司チェーン店が廃業に追い込まれると、Ocean Hugger Foodsも重要顧客を失った

「唯一の選択肢は操業停止でした」

とCEOのDavid Benzaquen氏は振り返る。

2021年後半に海外進出へ

出典:Ocean Hugger Foods

このほど、Ocean Hugger Foodsはタイを拠点とするNove Foodsとの提携によって今年後半にも再起する。

Nove Foodsはタイの大手食品メーカーNRインスタント・プロデュース(NRF)の完全子会社で、代替タンパク質の生産で世界をリードする企業になることを理念としている。

NRFはタイ証券取引所に上場しており、持続可能な方法で生産された食品を30カ国に輸出している。

2社によって設立される合弁会社Ocean Huggerは今年後半にも小売・外食産業を通じて海外展開する予定。順番はまだ未定だが、アメリカのほかにヨーロッパ・アジアへ進出することを明かしている。

代替魚が秘める可能性

代替魚にはこれまでの養殖業に終止符を打てる可能性がある。

養殖では、養殖魚の過密な飼育環境に伴う病気の予防、成長促進を目的として抗生物質が使用される。こうした抗生物質が残留した食品を人が摂取すると、耐性菌(抗生物質が効かなくなった細菌)を生み出す可能性が懸念されている。

さらに、魚に残留するマイクロプラスチック水銀による影響過剰漁獲問題も見過ごせない。

過剰漁獲により、2048年までに魚はいなくなるともいわれている

乱獲により絶滅危惧種に指定されているクロマグロなどの魚がいなくなった場合、食物連鎖が崩れ、生態系への影響が危惧される。

出典:Ocean Hugger Foods

こうした養殖魚に不随する問題を一挙に解決できるのが、代替魚だ。

代替肉市場と比べると、代替魚のシェアはまだ小さく、植物性タンパク質全体のわずか1%に過ぎないが、これは関心の薄さではない。

Changing Tastesのレポートによると、アメリカ人の5人に1人は、肉の代わりに魚を食べたいと考えているという。

空白がまだ存在する代替シーフード市場

Benzaquen氏は植物性代替肉に取り組む企業の数と比べて、植物性水産物に取り組む企業は全体として非常に少ないことを指摘する。

特に「複数の国で販売している企業はない」と語り、植物性シーフード市場は多くの企業にまだ開かれた状態だと語っている。

実際は、細く刻まれた代替ツナを開発するGood Catchのように、アメリカ、カナダ、ヨーロッパに進出している企業もあるが、調べた限りでは、魚の代替切り身では海外展開している事例は他にはない

植物性代替魚に取り組む企業の大半が、1国でのみ販売、またはこれから販売しようとしているフェーズにある。

New Wave FoodsHookedのように、ようやく市場に出し始めているところが多く、ビヨンド・ミート、インポッシブルフーズのように「代替肉といえばこの2社」という状況にはまだ至っていない。

出典:Ocean Hugger Foods

代替肉のような状態には程遠いものの、先行者優位を獲得するために植物性シーフードに参入する企業は増えている。

代替エビを開発するNew Wave Foodsは今年になって約18億円を調達。同社はタイソンフーズからも出資を受けており、エビに続き、ロブスター、カニ、ホタテも開発する予定。

スウェーデン企業Hookedはこの春にスウェーデンのレストランで代替ツナを販売する。

藻類やえんどう豆を使ったマグロの切り身に特化して開発するKuleanaもいる。

Ocean Huggerの復活によって、トマト、ナスをベースにしたユニークな代替魚が日本にもやってくることを期待したい。

 

参考記事

Back in business: Ocean Hugger gears up for global plant-based seafood launch after forging JV with Nove Foods

Ocean Hugger Will Re-enter the Plant-Based Seafood Space Via a Partnership With Nove Foods

Ocean Hugger Foods is Back and Stronger Than Ever With New Partnership

 

関連記事

 

アイキャッチ画像の出典:Ocean Hugger Foods

 

 

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