代替プロテイン

エリンギ由来のジャーキーを作るハワイ発のMoku Foods

 

ハワイを拠点とするスタートアップ企業Moku Foods植物性ジャーキーを発売した。

原料はキノコの中でも、もともと肉のような食感のあるエリンギを使う。

自宅のキッチンで始めたジャーキーの開発

Moku Foodsの創業者Matt Feldman氏がビジネスアイディアを思いついたのは、ポータベロ・マッシュルームという大きなマッシュルームを大量に買い込み、自宅でオリジナルなジャーキーを作ったのがきっかけだった。

自宅のキッチンで作った「ジャーキー」を家族や友人に食べてもらったところ反響があり、改良をつづけた。

そしてトップシェフであり、アメリカ企業イート・ジャストで以前商品開発を担当していたThomas Bowman氏の協力を得て、肉のような食感のある商品に仕上がった。

出典:Moku Foods

Moku Foodsのエリンギ由来のジャーキーは本物の牛肉ジャーキーのような噛み応えを再現するために、複数回、調理されて作られている。

オリジナル、ハワイアン・照り焼き、スウィート・スパイシーの3つの味があり、現在、Mokuの公式サイトのほか海外アマゾンで販売されている(この記事の執筆時点でアマゾンでは在庫切れになっている)。

ジャーキーにはエリンギのほかに、トマト、パイナップル、ひよこ豆、メープルシロップ、ココナッツなどを使用している。

大豆、グルテンといったアレルゲンを含まず、ヴィーガンで、GMOフリーな商品となる。商品1袋あたり、タンパク質を4g、食物繊維を7g含む。

「ジャーキーを作るのが目的ではありません」

公式サイトによると、Mokuのジャーキー1袋で、12平方フィートの土地、約405Lの水を節約でき、約5kgの二酸化炭素排出量を出さずにすむ

Moku Foodsは最近、初のラウンドで出資を受けた。

詳細な調達額は非公開とされるが、Forbesによると100万ドル(約1億円)以上の出資を受けている。

このラウンドにはSiddhi CapitalVanterra CapitalKBW VenturesMana VenturesBarrel Venturesが参加した。

創業者Matt Feldman氏 出典:Moku Foods

プラントベース食品に参入した理由について、Feldman氏は次のように語っている。

「僕たちはジャーキーを作るのが目的ではありません。健康で、持続可能な未来のために、毎日の生活の中で軽食を選ぶところから、一歩を踏み出してほしいのです。Mokuなら、食事にプラントベース食品を取り込むのが簡単です。小さな変化の積み重ねです」。

 

マッシュルームを使ってジャーキーを作る取り組みはほかにもある。

アメリカのEat The Changeもマッシュルームを使ってジャーキーを開発している。

共同創業者の1人は、ビヨンド・ミートの会長を務めるセツ・ゴールドマン氏。USDAオーガニック認証を受けたマッシュルームを使用しており、今年1月から全米の小売で販売されている。

オレゴンを拠点とするPan’s Jerkyは昨年、Shark Tankの番組に登場してマーク・キューバン氏から30万ドルの出資を受けることに成功し、再び注目を集めた。

出典:Moku Foods

現在、Mokuのジャーキーは公式サイトとアマゾンで販売されているが、まもなく低所得層をターゲットにした会員制のオンラインスーパーThrive Marketで販売される。

Feldman氏は、フォーブスが選ぶ、世界に多大な影響を与える30歳未満の30人30 UNDER 30 2021」に選ばれている。

Mokuにとって、植物性ジャーキーは最初の商品にすぎず、他の商品も開発していくとしている。

 

参考記事

Moku: Hawaii-Based Vegan Brand Launches Mushroom Jerky Line Backed By Thrive & Casper Founders

Moku Foods Makes Jerky from King Oyster Mushrooms

アイキャッチ画像の出典:Moku Foods

 

オススメ記事

 

関連記事

  1. 2020年の代替タンパク質投資額は31億ドルとGFIが報告、過去…
  2. デンマーク議会、炭素税・植物性食品・森林拡大を推進する協定に合意…
  3. 南米を代表するチリのフードテック企業NotCo、シェイク・シャッ…
  4. ナイジェリア初の植物肉企業VeggieVictoryに世界の投資…
  5. 「発酵」で免疫力のある代替母乳の開発に挑むアメリカ企業Helai…
  6. ネスレはコルビオンと提携して植物由来食品用の素材を微細藻類から探…
  7. 培養肉企業のパイオニア、モサミートがオランダに培養肉工場を開設
  8. 酵母から脂肪を開発するCultivated Bioscience…

おすすめ記事

中国の培養肉業界の今をクローズアップ-2021年11月-【政策/企業の開発動向/投資動向/法規制】

今年、中国の培養肉企業2社に対し資金調達が実施された。この記事では、中国…

代替タンパク質を「ニッチ」から「定番」に:業界リーダーが語る普及戦略|欧州セミナーレポート

Foovo(佐藤)撮影プラントベース食品(植物由来食品)が一般消費者の「新しい常識」として根付く…

分子農業スタートアップMiruku創業者に聞く「ベニバナによる乳製品生産の再構築」

植物を「ミニ工場」として特定成分を作る分子農業が注目されている。代替タン…

細胞由来のウナギ、マグロ、タイを開発するUmami Meatsが約2.7億円を調達

写真はイメージ画像ウナギ、マグロなどの培養シーフードを開発するシンガポー…

Steamboxの蒸気で温められるランチボックスで職場の電子レンジが不要になる?

会社、学校で温かいお弁当を食べようと思ったら、選択肢は3つくらいしかない。デリバ…

DouxMatokが砂糖の使用量を半分に減らしたIncredo Spreadsの販売を開始

イスラエルのスタートアップDouxMatokが開発した、少ない量でも甘さの変わら…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoセミナー開催のお知らせ

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(01/18 14:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(01/18 00:10時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(01/18 03:58時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(01/17 20:26時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(01/18 12:39時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(01/17 23:23時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP