代替プロテイン

ダノンが精密発酵への取り組みを強化、ミシュランら3社とフランスでプラットフォーム構築へ

 

ダノンが精密発酵への取り組みを強化する。

今月12日、ダノンは、Michelin(ミシュラン)、米バイオテックスタートアップのDMC Biotechnologies、銀行のCrédit Agricole Centre Franceと協力し、精密発酵プロセスの開発を大規模に強化するための最先端のバイオテック・オープン・プラットフォーム(Biotech Open Platform/以下、プラットフォーム)をフランスに構築することで合意した

精密発酵の開発を加速するためのプラットフォーム

出典:Danone

精密発酵は、細菌、酵母、真菌などの微生物を使用して、産業で使用されるタンパク質、酵素、他の分子を生成する技術で、近年は食品領域でも持続可能なソリューションとして世界的に研究が進んでいる。精密発酵は農業・食品・材料分野のイノベーションに特に適しているとされ、基礎研究はかなり進歩したものの、規模を拡大する必要性が指摘されている。

今回発表されたプラットフォームは、研究室ですでに試験されている製品やプロセスのスケールアップを可能にすることで、精密発酵の開発を加速することを目指している。

まず2025年までに、仏クレルモン=フェランにあるミシュランの持続可能素材センターCenter for Sustainable Materials)にバイオリアクターや精製設備など、実証規模の最初の生産ラインを設置する。その後、数年以内に第2の生産ラインなど追加設備の導入を予定している。

同センターは、ミシュランがクレルモン=フェランで実施する官民プロジェクト、パルク・カタルーにある4センターの1つとなる

出典:Danone CEO Antoine de Saint-Affrique氏 LinkedIn

プレスリリースによると、第1段階では1600万ユーロ(約26億8000万円)が投じられる。クレルモン・オーヴェルニュ大学Greentech、欧州地域開発基金(ERDF)傘下のオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏クレルモン・オーヴェルニュ・メトロポールなど公的機関・民間機関からも支援を受けているという。

ダノンで最高経営責任者(CEO)を務めるAntoine de Saint-Affrique氏は、「ダノンは常に未来の食への投資を重視しており、このパートナーシップはこの歩みにおける次のステップです。パートナーと共に、食品業界のイノベーション、ヘルスベネフィット、脱炭素化を加速する最先端の発酵技術を開発することを楽しみにしています」と述べている。

ダノンは2021年後半から精密発酵に注目

出典:Danone

Foovoの調査では、ダノンが精密発酵による食品開発に公の場で言及したのは2021年後半のこと。ダノン主任研究員Takoua Debeche博士が、精密発酵や細胞農業による乳製品開発の情報をフォローしていることをFoodNavigator主催のウェビナーで言及した

Debeche博士は当時、特にチーズの伸びに必要なカゼインで精密発酵の可能性に着目するコメントをしていた

ダノンは乳タンパク質の1つ、ホエイを開発するImagindairyに出資しているが、精密発酵カゼインの企業も出資対象に検討している可能性も考えられる。ダノンは細胞農業で母乳成分を開発するWilkにも出資しており、今後の動向に注目だ。

 

参考記事

Danone, DMC, Michelin and Crédit Agricole Centre France join forces to create a cutting-edge biotechnology platform

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:出典:Danone CEO Antoine de Saint-Affrique氏 LinkedIn

 

関連記事

  1. MeaTechの子会社Peace of Meat、培養肉の実証プ…
  2. 魚の培養脂肪を開発するインパクファット|日本人研究者がシンガポー…
  3. エリンギ由来のジャーキーを作るハワイ発のMoku Foods
  4. トッピングが選べるソフトクリーム自販機iCream、今後はアニマ…
  5. 大手食肉加工のJBS、ブラジルで培養タンパク質の研究施設建設を開…
  6. Big Idea Venturesの第3コホートに参加する15社…
  7. 【世界初】The EVERY Companyが動物由来の卵と同等…
  8. オランダの培養肉企業Meatableが培地の共同開発でDSMと提…

おすすめ記事

精密発酵で着色料を開発するMichromaが約8.4億円を調達

精密発酵により持続可能な天然着色料を開発するMichromaは今月、シードラウン…

捨てるはずのコーヒーかすでキノコ栽培|ヘルシンキノコが提案する気軽なサステナブルへの第一歩

コーヒー愛好家として、日々発生するコーヒーかすを有効活用できればと考えていた。…

機械学習でタンパク質収量を増やす英Eden Bioが約1.6億円を調達、精密発酵の課題解決へ

機械学習を使用してタンパク質収量を増加させるイギリスのバイオテック企業Eden …

アニマルフリーなチーズを作るChange Foodsが約2.3憶円のシード資金を調達

精密発酵でアニマルフリーなチーズを開発するChange Foodsが、シードラウ…

原材料と市場投入で見る代替チョコレート・代替カカオの現在地|18社の動向を俯瞰【Foovo独自レポート】

昨年、西アフリカでは干ばつや病害の影響でカカオ豆の収穫量が大幅に減少し、世界的な…

鮮度延長コンテナを開発した米RipeLocker、エクアドル進出に向けて物流業者AgroIdeasと提携

農産物や花の鮮度期間を延長する独自コンテナを開発した米RipeLockerは先月…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoセミナー開催のお知らせ

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(01/20 14:29時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(01/20 00:11時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(01/20 04:00時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(01/20 20:27時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(01/20 12:40時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(01/19 23:25時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP