代替プロテイン

全卵タイプの植物性代替卵を開発するYo Egg、アメリカで小売進出を実現

 

植物性の全卵製品を開発するイスラエル企業Yo Eggが今年3月、アメリカで小売進出を実現した。

全卵の代替卵を開発するYo Egg、アメリカで小売進出を実現

出典:Yo Egg

2021年にイスラエルに設立されたYo Eggは、落とし卵(ポーチドエッグ)、半熟目玉焼き(サニーサイドアップ)など全卵タイプの代替卵を開発している。原料には大豆、ひよこ豆、植物油脂などを使用しており、ビーガンで、コーシャ認証も受けた代替卵となる

AgFunderの報道によると、ロサンゼルスにある一部のスーパーマーケット(Besties Vegan ParadiseRainbow Acres Natural FoodsHanks OrganicFollow Your Heart MarketPlantX-XMarket Veniceなど)の冷凍コーナーに、Yo Eggの「目玉焼き」と「落とし卵」の2製品が導入された。

小売販売に続き今月には、オンライン販売を全米で開始したことをリンクトインで発表

出典:Yo Egg

Yo Eggは昨年2月、ロサンゼルスのレストラン6店舗で代替卵の提供を開始した

公式サイトによるとその後、レストランでの導入も拡大しており、ロサンゼルスのほかにも、ニューヨーク、サンフランシスコ、オレゴン州、フロリダ州、アリゾナ州、テキサス州など全国的な導入を実現している。アメリカ以外ではイスラエルでも販売されている。

AgFunderによると、来年には全国規模で小売に導入する計画とのことから、ウォルマートやホールフーズマーケット、クローガーなど、大手スーパーマーケットに導入されるかが次の注目ポイントとなる。

汎用な食体験を可能にする全卵に着目

出典:Yo Egg

2021年にイスラエルに設立されたYo Eggは、落とし卵、半熟目玉焼きなど全卵の代替卵を上市済みだが、今後はEgg Patty固ゆで卵オランデーズソース(卵黄ベースのソース)の3製品の追加も予定している

落とし卵、半熟目玉焼きの2製品は現在、オンラインストアPlantXでどちらも7.49ドルで販売されている。

代替卵の領域では、緑豆を主成分とした米イート・ジャストJUST Eggが世界的に有名だ(イート・ジャストは培養肉でも有名だ)。一方、まだ非常にニッチな分野だが、Yo Eggのように動物成分を使用せずに全卵の再現に取り組む企業も少しずつだが増えている。

大部分が液体卵や粉末製品に取り組む中、全卵に取り組んだ背景について、CEO(最高経営責任者)であり、以前は培養肉企業Believer Meatsで事業開発部長を務めていたEran Groner氏は、全卵はハンバーガー、タコス、ラーメン、ピザ、サンドイッチなど驚くほど多くの食品に含まれており、液体または粉末形態の植物卵ではこれらの体験をもたらせないことをAgFunderに語っている

出典:Yo Egg

Yo Eggのほかにも、目玉焼きの代替品を開発したシンガポールのFloat Foods、マイコプロテインでゆで卵を開発したシンガポールのOsome Foodsなどが知られる。

フランス企業Le Paponduは冷凍の代替卵をフランス国内のオンラインストアやビーガンストアで販売しているが、全卵タイプの開発にも取り組んでいることに公式サイトで言及している。スイスではミグロスが2021年にビーガンゆで卵を発売した。国内では以前、グリーンカルチャーも植物性ゆで卵のプロトタイプを生成した。

さらには、卵黄・卵白だけでなく殻を持つ代替卵を開発するドイツ企業Neggstも登場している。ニッチながらも、卵製品の汎用性に着目した全卵タイプの代替卵開発は今後さらに活発化していきそうだ。

 

参考記事

Yo Egg moves into US retail with ‘world first’ poached and sunny side up ‘whole’ plant-based eggs

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Yo Egg

 

関連記事

  1. フューチャーミートが世界で初めて培養羊肉を生産、年内に米生産施設…
  2. ファーストフードチェーンChipotleが代替油脂を開発する米Z…
  3. 【原材料別】代替タンパク質スタートアップ企業まとめ21社
  4. ユニリーバ傘下の代替肉ブランドThe Vegetarian Bu…
  5. MycorenaとRevo Foodsが3Dプリント用マイコプロ…
  6. Upside Foodsが業界史上最大の約510億円を調達、年内…
  7. NotCoが約95億円を調達、食品業界向けのAIプラットフォーム…
  8. Farmless、二酸化炭素によるタンパク質生産に向けて約1.8…

おすすめ記事

イギリス政府、代替タンパク質センターNAPICに約28億円を投資|植物性、培養肉、藻類、昆虫まで多様なタンパク質を支援

イギリス政府は先月、植物性タンパク質、培養肉、藻類、昆虫、発酵食品など代替タンパ…

「本物のようにほぐれる」ホールカットの代替タラを開発するアイルランド企業Sea&Believe

アイルランドのスタートアップSea&Believeは、ビーガン向けホール…

ソーラーフーズ、シンガポールでソレインの販売認可を取得

二酸化炭素と微生物を活用して代替タンパク質ソレインを開発するソーラーフーズ(So…

世界初!イート・ジャストが培養肉料理のデリバリーをシンガポールで開始

培養肉を使った世界初の食品デリバリーが始まる。代替卵・培養肉をてがける米…

3Dプリンターを活用した培養肉の自動生産を目指して大阪大学・島津製作所が協業

大阪大学、島津製作所、シグマクシスは「3Dバイオプリント技術の社会実装」に向けた…

Nature’s Fyndが菌類由来の代替肉を米ホールフーズで発売、来年には大規模工場を稼働

微生物発酵により代替肉や代替乳製品を開発するアメリカ企業Nature's Fyn…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(09/15 13:37時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/14 23:06時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,940円(09/15 02:47時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(09/15 19:29時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(09/15 11:51時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(09/14 22:27時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP