アップサイクル

アグロルーデンスが開発|米と麹から生まれたマイコプロテイン「Comeat」実食レポート

Foovo佐藤撮影

日本酒づくりで生じる米の残渣を有効利用したい。そんな想いから生まれたのが、米と麹を生かしたマイコプロテイン「Comeat(コミート)」。

開発したのは、2021年に設立された日本企業アグロルーデンスだ。今回、実際に試してみた。

マイコプロテインとは

出典:アグロルーデンス

麹菌など糸状菌を栄養を含む培地で増殖させると、繊維構造のあるバイオマスが生成される。一般にこれがマイコプロテインと呼ばれる。有名な事例では、イギリスのQuornが知られる。

ただし、Foovoの調査では、マイコプロテインの国際的な定義は統一されていない

Quornの主成分をマイコプロテインとする説(Finniganら,2019)、糸状菌により製造される高タンパク質食品をマイコプロテインとする説(Souza Filhoら,2019)、酵母を含めた真菌の培養で得られる成分とする説(Stoffelら,2019)など、論文によっても解釈は異なるのが実情だ。

昨年にはLinderらによる用語整理を提案する文献もあり、それによると「収穫および下流工程後の菌類菌糸体に由来する高タンパク質な製品に限定するべき」だとされている。

そのため、将来的に、現在「マイコプロテイン」とされる原料が、別のカテゴリに再分類される可能性もある。

こうした用語の揺らぎがあるなかでも、世界では多くのスタートアップが登場している。日本でも「マイコプロテイン」として新たな食品原料を開発する企業が複数登場しており、その1社がアグロルーデンスだ。

アグロルーデンスは、麹と米を用いてマイコプロテイン「Comeat」を開発した。

「Comeat」は、糖質を抽出した米タンパク質に麹菌を加え、固体発酵により生成された「肉のような食感と旨味をもつ」原料だとされる。

開発の発端は、カンボジアでの日本酒づくりだった。製造過程で生まれる米の残渣を麹菌で発酵させてみたところ、肉のような食感と旨味を持つ食品が生まれたという

また、米から抽出した糖質は、グルテンフリーのシロップとすることで、食品ロスを出さない食品開発を実現している。

マイコプロテイン「Comeat」を食べてみた

Foovo佐藤撮影

アグロルーデンスは2025年7月10日、「Comeat」を使用した商品を取り扱う公式オンラインショップ「Haccome(ハッコメ)」を正式に開設した。4月のプレオープンを経て、全国販売を開始した

ラインナップには「お米と麹のキーマカレー」、「お米と麹の台湾ミンチ」、「お米と麹のガパオ」、「お米と麹のミートソース」などがある。原材料名は「米発酵品」と記載されている。

筆者は実際にキーマカレー、台湾ミンチ、ガパオの3種類を試食した。

この3種のうち、特に気に入ったのが台湾ミンチガパオだ。キーマカレーは辛味が強く、難しかった。

キーマカレー Foovo佐藤撮影

試食で最も正直で、シビアな評価を下すのは子どもだと思っているが、今回は子どもの評価が特に高かった。特にガパオを気に入り、「また食べたい」というほどである。

こちらが台湾ミンチとガパオ。

台湾ミンチ Foovo佐藤撮影

ガパオ Foovo佐藤撮影

家族(大人)の感想としては、ひき肉よりも粒度が細かいため食感に若干改善の余地は感じられるものの、ご飯に合わせて食べる分には違和感がないという。筆者自身も、肉とは違うことはわかるが、それでも違和感はなく、食事として美味しく食べられた。

ご飯にのせたガパオ Foovo佐藤撮影

食感に感じたわずかな改善の余地が粒度によるものか、素材によるものかは判断できなかったが、公式サイトに写真が掲載されているハンバーグ商品も販売されたら試してみたいと思う。

「Comeat」は“代替肉”というより“ご飯のおかず”として親しみやすいのが魅力だと思う。常温保存できるため、災害用の保存食にもなる。今後のラインナップ拡充にも期待したい。

 

※本記事は、プレスリリースおよび実際の試食をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像はFoovo(佐藤)撮影

 

関連記事

  1. 植物性の代替肉ブランド「ACCRO」を展開する仏Nxtfoodが…
  2. レタスを活用して乳タンパク質を開発するイスラエル企業Pigmen…
  3. 中国ファーストフード大手DicosがStarfieldと提携、植…
  4. 農水省がマイコプロテイン、料理ロボット、代替肉、廃棄野菜活用など…
  5. 代替シーフードのAqua Cultured Foods、スイスの…
  6. イスラエルのChickPがひよこ豆由来のビーガンマヨネーズを開発…
  7. チリのNotCoが米国進出、全米のホールフーズで代替ミルクの販売…
  8. 培養ペットフードのBioCraft Pet Nutrition、…

おすすめ記事

米イート・ジャスト、新しい培養鶏肉製品で再びシンガポール当局の販売許可を取得

アメリカのフードテック企業イート・ジャストが培養肉で再び快挙を成し遂げた。…

菌糸体からステーキ肉を開発するMeati Foodsが約55億円を調達、2022年に商品の販売へ

菌糸体からブロック肉を開発する米Meati Foodsが、シリーズBで5000万…

【セミナーレポート&動画】シェフと再生医療研究者が立ち上げた培養肉企業ダイバースファームが目指すもの

出典:ダイバースファーム社/雲鶴ミシュラン星付きシェフと再生医療の研究者が立ち上げた異色の培養肉…

UMAMI Bioworks、培養魚を使用した猫用おやつ製品の販売で米Friends & Family Pet Foodと提携

シンガポールの培養シーフード企業UMAMI Bioworksは、培養魚を使用した…

米AQUA Cultured Foodsが代替シーフードでGRAS自己認証を取得

 追記(2024年8月8日、15日)Aquaはこれまで菌類由来の代替シーフードを…

雪国まいたけ、新製品「キノコのお肉」を発売|海外で拡大するキノコ由来の代替肉開発

新潟を拠点とするきのこ総合メーカーの雪国まいたけは先月18日、マイタケを使用した…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(01/23 16:35時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(01/23 03:21時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(01/23 06:54時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(01/23 22:38時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(01/23 14:36時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(01/23 02:00時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP