代替プロテイン

スロベニア企業Juicy Marblesは世界初の植物性フィレミニヨンステーキを開発

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スロベニアのスタートアップ企業Juicy Marbles100%植物原料でできたフィレミニヨンステーキを開発したことを発表した。

フィレミニヨンはヒレの尾の方の先端に近い部分に相当し、柔らかくて高級な肉とされる。

Juicy Marblesは特許出願中の「Meat-o-matic Reverse Grinder」という独自技術により、植物原料だけを使って、霜降りフィレミニヨンの食感、外観、味を再現することに成功した。

世界初!植物ベースのフィレミニヨンステーキ

出典:Juicy Marbles

現在、市場にある植物性代替肉の多くはひき肉、ソーセージ、薄切り肉が主流で、Juicy Marblesのようにステーキを模倣した商品は多くない

Juicy Marblesによる本物そっくりなフィレミニヨンは、大豆、小麦、ひまわり油を主原料とする。

製造方法の詳細は公開されていないが、植物原料でできた繊維を下から上へ並べて積層させることで筋肉と脂肪からなる「霜降り」を再現しているという。

現在、公式サイトで期間限定で販売されている。販売価格は600gあたり147.5ドル(約16000円)で、大人4人分の量となる。

アメリカの48の州とヨーロッパの消費者に直接出荷される。

出典:Juicy Marbles

植物性フィレミニヨンは100gあたり18.5gのタンパク質、8gの脂肪を含む。

牛肉100gあたりのタンパク質が約17gとされるため、動物肉と同等量のタンパク質を摂ることができる

ひき肉代替品は厚みのある肉と比べ、構造や噛み応えをさほど気にしなくて良いため、難易度はそれほど高くない。

一方、ステーキ肉は本物に似た噛み応え、食感を求められるため、開発の難易度があがる。

ひき肉に取り組むプレーヤーが多い中フィレミニヨンを開発する理由について、世界的な代替肉への移行を実現するためには「多種多様な植物肉が必要」だとJuicy Marblesは回答している。

特に、動物肉に代わる代替品がなければ、動物肉を食べるのをやめられない人もいる。Juicy Marblesはその選択肢を増やしたいと考えている。

出典:Juicy Marbles

本物そっくりのステーキ肉を再現するうえで最大のハードルは、霜降り構造の再現だったという。

詳細は企業秘密だが、細胞を培養するのでも、3Dプリンターを使うのでもなく、独自技術により、霜降り付きのステーキ肉を植物原料だけ使って成し遂げている。

現在は600gあたり約16000円と高価だが、いずれは大量生産して、コストダウンし、最終的には「誰もが手に入れられる最高級の肉を作れるようになる」と語っている。

ステーキ肉に取り組むスタートアップ企業

出典:Juicy Marbles

Juicy Marblesのほかにも、厚みのあるステーキ肉に取り組む企業はある。

スペインのNovaMeatやイスラエルのRedefine Meatは3Dプリンターでステーキ肉を開発している。Meati Foodsは菌糸体を発酵させてステーキ肉を開発している。

植物原料に限定しなければ、イスラエルのアレフファームズMeat-Tech、日本の日清食品もいる。

難易度が高い培養ステーキ肉に取り組む理由として日清食品は、世界の牛肉消費量の9割がブロック肉であることを指摘したうえで、「生活者ニーズの高いステーキ肉に近づけることを最初から照準に据えている」と語っている。

確かにステーキ肉の人気は根強い。

現在の畜産から代替肉を主流とする新しい食料システムへ移行するためには、Juicy Marblesや日清食品のように、製造は難しいがニーズのある製品作りが欠かせない

Juicy Marblesのチーム 出典:Juicy Marbles

現在、農業用地の77%は家畜の飼育に使用されている。

農業用地の大半は動物肉の生産に使われているものの、家畜由来のタンパク質はタンパク質供給全体のわずか約4割弱にすぎない

2050年には世界人口が97億人に達する(現在は77億人)と予想され、人口の増加とともに高まる食料ニーズを解決する手段として、代替肉が求められている。

牛肉1kgを生産するために11kgの穀物が必要となるなど、畜産肉の生産にはその何倍もの穀物を用意する必要があるが、植物性代替肉であれば穀物を直接食品に変換できる

Juicy Marblesによると、大豆を畜産肉の生産に消費するよりも、大豆から直接肉を作る方が使用する大豆の量を97%減らせるという。

出典:UBS

こうした背景もあり、代替肉は注目されている。

統計データからもその傾向をうかがうことができ、植物性代替肉の市場は2018年には46億ドルだったが、2030年には850億ドルにまで成長すると予想されている。

今後は植物肉のカテゴリーでも、ひき肉、ソーセージ、薄切り肉に加え、ステーキ肉の選択肢が増えていくだろう。

Juicy Marblesは食品技術を専門とするTilen Travnik氏、微生物学者のLuka Sincek氏とバイオテクノロジーを専門とするMaj Hrovat氏によって2020年に設立された。

同社は最近、カリフォルニアの有名なアクセラレーターY Combinatorのプログラムを卒業している。

 

参考記事

The Wait Is Over: Plant-based Filet Mignon Steaks Are Here!

Juicy Marbles Debuts World’s First Plant-Based Marbled Filet Mignon Steak

Juicy Marbles Launches a (Very Expensive) Plant-Based Filet Mignon

 

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アイキャッチ画像の出典:Juicy Marbles

 

 

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