代替プロテイン

ネスレがマレーシアに植物肉工場を建設&乳製品フリー「ミロ」を発売

 

ネスレ・マレーシアが植物性食品に特化した生産施設をマレーシアに開設した。

東南アジアでは初、アジアでは2つ目の工場となる。

これに合わせて、有名ブランド「ミロ」の乳製品を含まない新バージョンの販売を開始した。

ネスレがマレーシアに植物肉工場を建設

出典:Nestlé

ネスレの新工場は、シャーアラムにある工場の敷地内に設置された。広さは約6000㎡で、年産能力は8000トン。国内外の高まるプラントベース食品の需要にこたえる。

ネスレはこの工場の建設に150万リンギット(約3900万円)を投入した。

この工場ではネスレの植物性食品ブランドであるHarvest Gourmetの生産を既に開始している。

同ブランドには植物性のバーガーパテ、シュニッツェル(ドイツ、オーストリアのカツレツ)、ひき肉などが含まれ、大豆、小麦、ビートルート、人参、ザクロなどを原料に製造される。

これらの商品は外食産業・小売に向けて提供される。

乳製品フリー「ミロ」の登場

出典:Nestlé

マレーシア新工場開設のほか、同社は有名ブランド「ミロ」の乳製品フリータイプをマレーシアで発売した。

新ミロはアーモンドと大豆を原料とする。まずはマレーシアで販売し、アジアに展開していく予定。

これに加え、ネスカフェの乳製品フリータイプの発売も計画している。植物性ネスカフェは、アーモンドラテとオーツ麦ラテの2つが発売される予定。

ネスレは近年植物性食品の販売を強化しており、昨年12月には中国で植物性食品Harvest Gourmetの販売を開始。

天津に構えた植物性食品に特化した工場も12月に稼働を開始し、ハンバーガー、ソーセージ、ナゲット、ひき肉など中国人向けに幅広い植物肉を提供している。

Nestléの植物性ツナ「Vuna」 出典:Nestlé

昨年8月にはヨーロッパで展開する植物性食品ブランドGarden Gourmetに、植物性ツナ「Vuna」を追加したことを発表。

ネスレ初の植物性シーフードのプロジェクトは2019年11月に始まった。9ヵ月の開発期間を経て、「Vuna」はスーパーの陳列棚に登場した。

さらに今年2月には年内にビーガンキットカット「KitKat V」を発売することを発表。現在開発中の「KitKat V」は試験販売されたのち、複数の市場で販売される予定。

ネスレはビーガンキットカットの開発はソーシャルメディアによる需要にこたえたものだとしている。

植物性食品の需要は食のトレンドではなく「社会の変化」

今回のマレーシアにおける新工場開設について、ネスレプロフェショナルの副社長Tahira Shiraz-Longden氏は次のようにコメントしている。

「アジアの消費者の40%以上が、食事で肉をほとんどまたは食べないことを選択しており、植物性食品の需要はもはや食品のトレンドではなく、社会の変化です。

それが個人の健康によるものなのか、より持続可能な地球のためであるかに関わらず、植物性食品に関する知見をこの地域にもたらし、地元の好みに対応できることは当社にとって大変喜ばしいことです」。(Tahira Shiraz-Longden氏、斜線はライター)

 

参考記事

Nestlé Opens Malaysia Plant-Based Factory, Doubles Down On Dairy-Free Foods Across Asia

Nestlé Opens Plant-Based Production Facility in Malaysia to Expand Harvest Gourmet Range

Nestlé Lauches Harvest Gourmet Range to Chinese Market

Nestlé Adds Plant-Based Tuna Alternative to its Garden Gourmet Range

アイキャッチ画像の出典:ネスレ

 

関連記事

  1. 乳業大手フォンテラとDSMが精密発酵スタートアップ設立を発表
  2. 牛を使わずに本物と同等のカゼインを開発するエストニア企業ProP…
  3. ピーナッツから代替肉を作る中国企業HaoFood、2021年に中…
  4. 【現地レポ】シンガポール展示会(Agri-Food Tech E…
  5. ビヨンドミートとペプシコがジョイントベンチャーThe PLANe…
  6. インポッシブルフーズが香港・シンガポールの食料品店で販売を開始、…
  7. Meweryが微細藻類を活用した最初の培養肉プロトタイプを発表
  8. 高級培養肉Orbillion Bioが日本初登壇|Food-Te…

おすすめ記事

代替肉の「テスラ」を目指す上海の代替肉企業YouKuaiが約7.9億円を調達

「10年前にテスラが登場したとき、テスラは車を持つ人すべてをターゲットにはしていませ…

Amazonで圧倒的な高評価を誇る家庭用カクテルロボットのBartesianが約21億円を調達

家庭用カクテルロボットを開発するBartesianがシリーズAラウンドで2000…

韓国の培養肉スタートアップSpace Fらが政府から助成金を獲得

韓国の培養肉スタートアップ企業であるSpace Fは、パートナー企業の4社ととも…

極限環境微生物で代替パーム油を開発するシンガポール企業Biteback Biotechnology|創業者インタビュー

微生物を活用した代替パーム油の開発が活発化している。今年3月には、油脂酵…

【世界初】米Mission Barnsの培養脂肪、FDAの安全性審査をクリア—小売販売に向け、次のステップへ

米Mission Barnsが開発した細胞培養による豚脂肪が、アメリカ食品医薬品…

培養マグロを開発するWanda Fishが約10億円を調達

培養マグロを開発するイスラエル企業Wanda Fishがシードラウンドで700万…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(05/17 15:09時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(05/17 01:00時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(05/17 04:59時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(05/17 21:09時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(05/17 13:14時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(05/17 00:14時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP