代替プロテイン

植物食品のゲームチェンジ:Motif FoodWorksが植物性の伸びるチーズと霜降り肉技術の使用権を獲得

 

Motif FoodWorksは植物肉・植物チーズをより本物に近づける技術の独占的使用権を取得したことを発表した。

プラントベース食品で最も重大な2つの課題を解決するもので、この技術により溶けて伸びる植物チーズ植物性霜降り肉の生産が可能となる。

Motif FoodWorksは、合成生物学のユニコーン企業ギンコ・バイオワークス(Gingko Bioworks)のスピンオフベンチャーで、植物肉、植物性乳製品をアップデートさせる原料を開発している。

創業当初から、プラントベース食品を改良する原料を開発することをミッションとしてきた。

このほど、ゲルフ大学の研究者であり、Coasun創業者のAlejandro Marangoni氏とのパートナーシップにより、2つの技術が追加された

出典:Motif FoodWorks

プレスリリースによると、新たな技術は次の2つとなる。

1つは、独自オレオゲル技術による押出し可能な脂肪技術

動物脂肪を再現する独自オレオゲル技術により、植物肉でありながら霜降り肉など本物の脂肪のような食感を作り出すことができる。

オレオゲルとはハイドロゲルの「油バージョン」とも言え、

少量の固体成分がネットワークにより大量の液油を含み、形を保ったものをいう。

 

2つ目は、プロラミン技術

植物由来の原料を使用するプロラミン技術により、植物チーズが動物性チーズのように溶けたり、ぽつぽつ泡が出たり、伸びたりするようになる。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Motif FoodWorks(@motif_foodworks)がシェアした投稿

市場で手に入る植物肉製品は増えてきているが、植物肉をアップデートさせるのに不可欠な動物性脂肪に代わる代替脂肪はまだ市販化されていない

ベルギーの培養脂肪企業Peace of Meatが今年実施した調査によると、植物肉企業の65%以上が既存製品に培養脂肪を組み込むことに関心を示したことが報告されている。

イスラエルのMeaTechなど、培養脂肪のパイロット工場建設を進めている企業もあり、どのプレーヤーの脂肪が先に市販化されるかは不明だが、Motif FoodWorksの脂肪技術がいち早く市場に投入されれば、植物肉企業が導入する可能性がある。

出典:Motif FoodWorks

植物チーズについては、機能はまだ動物性チーズに劣るため、溶けたり、ぽつぽつ泡が出たり、伸びる特性のあるチーズには需要が見込まれる。

Change Foodsのように精密発酵技術によってアニマルフリーでありながら、分子的に本物と同等な乳タンパク質を開発するスタートアップもいるが、まだ市販化されていない。

また、精密発酵で作られる乳タンパク質はアレルギーのある人は摂取できないため、Motif FoodWorksのように植物性でありながら、本物のような特性を備えたチーズにはメリットがある。

出典:Motif FoodWorks

Motif FoodWorksはまだ開発段階にあるが、今年の1月に年内に最初の商品を発売することをFooddiveのインタビューに対し回答している。

Motif FoodWorksはアメリカ、マサチューセッツ州を拠点とするスタートアップで2019年に設立された。

クランチベースによると、これまでに1億1830万ドル(約129億円)を調達している。

 

参考記事

Motif Adds New Tech to Bring That Elusive Stretch to Plant-Based Cheese

Motif FoodWorks gets access to plant-based meat and cheese texture enhancers

Bringing meltiness and marbleization to plant-based cheese and meat

アイキャッチ画像の出典:Motif FoodWorks

 

関連記事

  1. ドイツのThe Cultivated B、EFSAに向けた培養ソ…
  2. 赤い微細藻類で代替肉を「血の滴る肉」に変えるイスラエル企業Yem…
  3. Esco Asterが培養肉の製造承認をシンガポールで取得
  4. スペインNovameatが3Dプリンター製培養肉の試作品を発表
  5. 微生物でタンパク質を作るNature’s Fyndが約46億円を…
  6. GOOD Meatが培養肉生産に無血清培地を使用する認可をシンガ…
  7. 菌糸体で代替ステーキ肉を開発する英Adamo Foodsが約2.…
  8. 【8/9】培養肉動向セミナー開催延期のお知らせ

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

菌類タンパク質の業界団体「菌類タンパク質協会(FPA)」が発足

菌類由来のタンパク質を開発・製造するスタートアップ企業による、新たな業界団体「菌…

Nature’s Fyndの微生物発酵によるタンパク質「Fy」が米国FDAよりGRAS認証を取得

微生物発酵により代替タンパク質を開発するNature’s Fyndが、米国の食品…

米Matrix F.T.が独自マイクロキャリアで作成した培養鶏肉を発表

培養肉用の足場とマイクロキャリアを開発する米Matrix F.T.(旧称Matr…

ImpacFatが世界で初めて培養魚脂肪の試食会を実施

細胞培養により魚の培養脂肪を開発するシンガポール企業ImpacFat(インパクフ…

フードロス削減に取り組むオランダ企業OneThirdが約1億9000万円を調達

フードロス削減に取り組むオランダ企業OneThirdが150万ユーロ(約1億90…

草食動物の腸内細菌で代替タンパク質を開発する米SuperBrewed Food、今年中にビーガンチーズの市販化へ

アメリカ企業SuperBrewed Foodは、今年中に微生物発酵により開発され…

精密発酵レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(09/22 10:05時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/21 19:22時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(09/21 22:53時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(09/21 16:13時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(09/22 09:28時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(09/21 18:47時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP