代替プロテイン

韓国の培養肉企業SeaWith、2030年までに培養ステーキ肉を1kgあたり3ドルへ

 

培養肉を開発する韓国企業Seawithが、新たな目標を発表した。

同社はこれまで2022年終わりまでにレストランで培養肉を販売する計画を発表していたが、このほど、2030年までに培養ステーキ肉の生産コストを1kgあたり3ドルに下げることを目指していることが明らかになった。

SeaWithは韓国、デグ(大邱)を拠点とするスタートアップ企業。

他社の培養肉企業と同じように、SeaWithも動物から採取した細胞に栄養を与えて培養して、動物を殺さずに肉を生産する。

培養肉の開発では培地が不可欠となる。培地は細胞に栄養を与える「サプリメント」のような役割を持つが、当初の培養肉の生産では動物由来のウシ胎児血清(FBS)を使用していたため、コスト高が課題となっていた。

出典:SeaWith

同社は藻類ベースの足場、微細藻類を使った培地を独自に開発している。豊富に入手できる地元の微細藻類を活用し、FBSに代わるアニマルフリーな培地を開発することで、高コストという培養肉生産の課題に取り組んでいる。

「私たちが開発した足場は藻類をベースにしています。成長してステーキになる牛細胞を保持し、栄養素を組織の深部まで浸透させることが可能となり、これによって厚さ1cmの培養肉の切り身を作ることができます。

また、微細藻類から独自の培地を開発しました。微細藻類が豊富であるため、はるかに安いというメリットがあります」。(共同創業者・CTOのHeejae Lee氏)

来月にはシリーズAラウンドで約700万ドルの資金調達を実施する見込みで、調達する資金で、より大きなバイオリアクターを入手して工業化フェーズに到達し、規制クリアを図る。

出典:SeaWith

Seawithは、これまで使用していた培地全体の90%を独自培地に置き換えることに成功しているが、残る10%はまだ従来の培地を使用している。

「現在、10%は従来の増殖培地を使っており、これは大変高コストですので、生産コストが高くなっています。培地の100%を当社の藻類ベースの培地に置き換えることができれば、コストを劇的に下げることができます」(共同創業者・CTOのHeejae Lee氏)

SeaWithは拠点のある韓国市場を最初のターゲットと考えているが、Lee氏は「(韓国は)難しいことを知っているので、韓国以外でアメリカやシンガポールなどの市場にも目を向けています」と語り、最初に参入する潜在的な市場としてシンガポール、アメリカをあげている

「韓国では、私たちが培養肉に関する会議に出席するたびに、従来の食肉業者が非常に暴力的になるなどの課題に直面しています。彼らは培養肉について聞きたくないだけなのです。

培養肉を市場へ投入するためには、これらの従来の市場と折り合いをつける必要があります」(共同創業者・CTOのHeejae Lee氏)

韓国の牛肉価格は、1kgあたり約61ドルと世界で最も高い。SeaWithがターゲットとするアメリカは約24ドル、シンガポールは約20ドルとなる。

同社が2030年までに1kgあたり3ドルまで培養肉の価格を下げることができれば、さまざまな市場に大きな影響を与える可能性がある。

現時点ではSeaWithの培養肉コストはまだ高いため、最初は高級レストランでの提供を目指している

出典:SeaWith

SeaWithによると、細胞培養で作られる培養肉は、必要なエネルギーが畜産の55%ですみ、排出される温室効果ガスは畜産の4%。土地も畜産の1%ですむ。

培養肉が普及すれば、これまでの食肉生産に不可欠であった広大な土地、大量の水、抗生物質が必要でなくなり、温室効果ガスの排出量を減らせるほか、動物に由来する感染症の発生を防ぐことができる。

現在までに培養肉を販売した事例は、アメリカのイート・ジャストのみ。同社は2020年12月にシンガポールで世界に先駆けて培養鶏肉を販売した。

培養肉の販売を承認した国はシンガポールのみとなる。フードテックを成長産業と位置付けるシンガポール市場の先進性に着目し、国内外の企業が生産拠点の建設を進めるなど、シンガポールはフードテックハブの役割を持つ地域となっている。

イギリスをターゲットとしていた培養魚肉プレーヤーの中にも、規制の厳しさを理由に、アメリカ、シンガポールに目を向ける企業がある。このような背景から、SeaWithが韓国より先にシンガポール、アメリカで販売承認を取得する可能性は十分にある。

 

参考記事

Three is the magic number: South Korean’s Seawith targets cultured steak at US$3/kg by 2030

Seawith To Make Cell-Based Steak At $3 Per Kilogram By This Decade

 

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