アグテック(AgTech)

量子ドットを活用して温室フィルムを開発するUbiQD、電気を使わず収穫量アップを実現

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このニュースのポイント

 

●UbiQDは量子ドットを活用して電気を使わない温室フィルムUbiGroを開発

●UbiGroは短波長を光合成に適した長波長に変換させ、太陽光を最大限に活用する

●電気代をかけずに収穫量アップを実現

 

 

LEDを使用する温室農業にとって、LEDを使用するのに必要な電気代は大きなコストの1つとされる。

また、LEDは直接光で拡散しないため、林冠(高木の枝葉が茂る部分)の低い部分まで光が浸透していかない。

こうした問題を解決するために、アメリカのアグテックに取り組むスタートアップUbiQDは、量子ドットを埋め込んだ特別な温室フィルムUbiGroを開発した。

温室フィルムUbiGroは量子ドットを活用しており、電気を使わずに透過するUV光を光合成により適した長波長の光へと変換する。また、すべての方向に光を放射するので、植物の深い部分にも光を到達させることができる。

量子ドットとは?

量子ドットとは、直径が2-10ナノメートルの非常に小さい半導体をいう。

粒子のサイズが大きくなるにつれて、照射された光に対し、放出する光の色が青色から赤色へと変化していく特徴を持つ。

粒子の大きさによって発光する波長が変わり、粒子が小さくなるにつれて、波長が長波長側から短波長側へと移動する。

例えば、下のように、大きい粒子は赤い波長の光を放出し、小さい粒子は青い波長の光を放出する。

 

2019年3月のスタンフォード大学の研究により、量子ドットは吸収した光の約99.6%を放射し、最高品質の単結晶の発光に匹敵することが示された。

さらに、量子ドットは高い欠陥耐性を有しており、半導体に匹敵する性能を持つことがわかった。

 

単結晶とはすべての原子・分子が規則正しく同じ方向をむいているもの。

 
身近な例では、ダイヤモンド、サファイヤなどがある。半導体にも使われており、単結晶はわたしたちの身の回りのいたるところで使われている

 

量子ドットは、バイオマーカーから、照明、太陽電池、ディスプレイ、セキュリティタグなど幅広い分野での利用を目的に、研究開発が進んでいる。

電気を使わずに太陽光の利用効率を向上

出典:UbiQD

UbiQDが特許技術を駆使して開発した温室フィルムUbiQDは、光の利用効率を向上させる。

UbiQDは自然光をさまざまな波長に変換できるので、電気を使うことなく、光合成効率を高め、作物の生産を向上することができる。

自然光が温室フィルムUbiGroを透過すると、短波長の光(青色)は長い波長の光(オレンジ・赤色)へと変換される。

出典:UbiQD

光合成の効率は光の波長に依存し、光合成には600-650nmの長波長が良いとされる(下図のオレンジ色の部分)。

出典:UbiQD

UbiGroは青い光をオレンジ色の光へと変換し、太陽光を光合成効率の良い波長に変換させる。さらに、UbiGroはすべての方向に光を放射するので、林冠(高木の枝葉が茂る部分)の深い部分にも光を到達させることができる。

こうして、作物の収穫量が増加する。

UbiGroは温室が栽培する作物や地理的な位置に合わせて、異なる光に変換するようカスタマイズできるという。

収穫量は1.2倍に

温室フィルムUbiGro 出典:UbiQD

UbiGroを導入した温室では、導入していない温室(対照群)と比べ、4-5ヵ月の試験運用で収穫量が20.5%増加した。

栽培したトマトの果実の色、風味、全体的な品質に違いは見られなかったという。

UbiQD によると、UbiGroの使用期間は4年だが、6年まで使用できる可能性があるという。

プレスリリースによると、この2年、顧客や関連機関がUbiGroを試験導入したところ、収穫量が1.1~1.2倍に増え、サイクルは早まり、廃棄量が減り、作物の品質も向上することを何度も認めたという。こうした改善の積み重ねで、コスト削減率がアップし、増収につながった。

出典:UbiQD

UbiQDは今月、シリーズAラウンドで700万ドルの資金調達に成功した。

今月調達した資金は、UbiGroの改良、特定作物や特定のエリアに合わせたフィルムのカスタマイズ、販売拡大にあてほか、新しい製品を開発するとしている。

既存の温室農業の効率化につなげる

UbiQDのビジネスモデルは、温室を販売するのではなく、温室フィルムUbiGroを販売する。

UbiQDの製造する量子ドット 出典:UbiQD

クライアントの中には、数百万平方フィート(1平方フィートは929平方センチメートル)の温室を運営する海外展開している大手企業がいる(企業名は非公開)という。

こうした温室を販売しない温室農業に関わる企業として、ほかにiUNUがいる。

温室ハウス内のレールにAI・カメラ・センサーを搭載したiUNUを取り付けることで、作物の成長状態や成長率をリアルタイムでモニタリングし、農家に必要な情報を届ける

UbiQDiUNUいずれも、既存の温室農家が製品を導入することで、農作業を効率化するツール・システムを開発している点では同じだ。

屋内農業は、単位面積あたりの収穫量が露地栽培に優り、天候の影響を受けにくい。地域社会に近いところに設置すれば、サプライチェーンの短縮につながり、輸送にかけるコストも抑えられる。

新型コロナによってサプライチェーンの遮断を経験した今、温室農業は現代の食糧生産にマッチしており、UbiQDのような温室ツールには大きな発展の余地がある。

創業者・CEOのHunter McDaniel 出典:UbiQD

UbiQDはロサンゼルス、ニューメキシコを拠点とするアグテックスタートアップ。Hunter McDanielによって2014年に設立された。

 

参考記事

UbiQD’s Quantum Dot Tech Is an Electricity Free Lighting Option for Greenhouses

Luminescent Greenhouse Films Improve Crop Yields

UbiQD Announces $7M in Series A Funding to Scale Deployment of Quantum Dot Technology in Agriculture and Energy

量子ドットをわかりやすく解説、農業・ディスプレイ・太陽光発電でどう使われている?

「単結晶」工業技術イノベーション史〜単結晶が変えた私たちの世界(前編)

 

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