フードロス

食品ロスに取り組むToo Good To Goが約31億円を調達、米国での進出拡大へ

 

フードロスに取り組むデンマーク企業Too Good To Go2570万ユーロ(約31億円)を調達した。

Too Good To Goは余剰食品に取り組む世界最大のB2Cマーケット。

同社はホテル、レストラン、スーパーマーケットなどと提携し、「まだ食べられるけど、捨てられてしまう食品」をユーザーに割安で販売することで、フードロス解決に取り組んでいる。

出典:Too Good To Go

まず、飲食店やスーパーマーケットなどの外食サービスが、当日に残ってしまったが「まだ食べられる」食品をToo Good To Goのプラットフォームに掲載する。

ユーザーはToo Good To Goのアプリやウェブサイトを閲覧し、近くのお店から商品を購入する。ユーザーは注文後、指定の時刻にお店から商品を回収する仕組みだ。

購入者が受け取る袋は「Magic Bag」と称され、「受け取るまで何が入っているかはわからない」という。ちょっとしたサプライズもかねているようだ。

このように、地元のレストランや食料品と消費者をつなげることで、毎日、10万食以上が廃棄を免れているという。同社のアプリはこれまでに2900万回以上ダウンロードされている。

Too Good To Go が設立されたのは2015年。

現在、ヨーロッパ(イギリス、スペイン、イタリアなど)を含む15カ国に展開している。

2020年9月にはニューヨークとボストンに上陸した。

ヒルトン、カルフール(フランスの世界的なスーパーマーケット)、ティムホートンズ(カナダのドーナツチェーン店)、セブンイレブンリドル(世界に8000店舗を展開するドイツのディスカウントスーパー)、Netto(ドイツのディスカウントスーパー)、モリソンズ(イギリスの大手スーパーマーケット)など、6万を超える企業がToo Good To Goのプラットフォームを活用して、余剰食品を販売している。

出典:Too Good To Go

似たサービスを展開する企業として、カナダのFlashfoodがある。Too Good To Goと似たサービスで、アプリ上に近くの店舗が表示されるので、ユーザーは買いたい商品を注文し、店舗で受け取る仕組み。Flashfoodはカナダ、米国で展開している。

スウェーデン発のKarmaは、Too Good To Goと同様のサービスのほか、農家で余った農作物を、スーパーを介さず農家から毎週デリバリーする『Karma BOX』のサービスを提供している。

この3社がこれまでに調達した総額は、Too Good To Goは4400万ドル、Flashfoodは150万ドル、Karmaは1670万ドルとなる(クランチベース参照)。

The Spoonの報道によると、Too Good To Goは今回調達した資金で米国でのさらなる拡大を目指す予定。

これはアメリカのフードロス政策にも合致する。

アメリカ農務省(USDA)によると、アメリカでは供給される食料の30-40%が廃棄されており、これは1610億ドルの食品に相当するとされる。

アメリカは2030年までに食品廃棄物を半分にするという目標を設定しており、Too Good To Goの米国展開は、この目標達成を促進する効果があるだろう。

参考記事

Copenhagen-based Too Good To Go lands €25.7 million to expand further in the US

Surplus Food Marketplace Too Good to Go Raises $31M to Expand in the U.S.

 

関連記事

  1. Apeel Sciencesが約31億円を資金調達、小規模農家の…
  2. 生鮮食品と花の鮮度を保持するコンテナを開発したRipeLocke…
  3. 個人から企業まで|貼るだけで果物の鮮度を保持するシールを開発した…
  4. 廃棄パンからクラフトビールを作る香港企業Breer、4名の香港大…
  5. Apeel Sciences、鮮度を保てるプラスチックフリーなキ…
  6. Steamboxの蒸気で温められるランチボックスで職場の電子レン…
  7. 青果物の鮮度保持期間を延ばすHazel Technologies…
  8. 廃棄される果物の皮からドライフルーツを製造するRINDが約6.7…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

スロベニア企業Juicy Marblesは世界初の植物性フィレミニヨンステーキを開発

スロベニアのスタートアップ企業Juicy Marblesは100%植物原料ででき…

ショウジョウバエで成長因子を開発し、培養肉のコスト削減に挑むFuture Fields

安価な成長因子を開発するカナダのFuture Fieldsは、これまで技術の詳細…

Steakholder Foodsが3Dプリンティングによる培養霜降り牛肉を発表

イスラエルの培養肉企業Steakholder Foods(旧称MeaTech)は…

精密発酵でアロマを開発するEvodiaBioが約8.6億円を調達

デンマークのスタートアップ企業EvodiaBioは、食品・飲料業界に向けた持続可…

じゃがいもを原料に代替チーズソースを開発したLoca Foodとは

現在、プラントベースの代替チーズの原料は、カシュー、アーモンド、ココナッツ、大豆…

インド発!ドーサ、ロティ、ビリヤニを作るMukunda Foodsの自動調理ロボット

日本でも人気の高いインド料理。このインド料理を自宅で手間をかけずに作れる…

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

精密発酵レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,671円(04/26 12:13時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/26 21:33時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/27 01:03時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/26 18:06時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/26 10:47時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/26 21:03時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP