精密発酵で乳タンパク質を開発した代表企業であるパーフェクトデイ(Perfect Day)が甘味タンパク質を開発している。
Foovoの調査で、同社が甘味タンパク質のブラゼインを開発し、アメリカ食品医薬品局(FDA)にGRAS通知を提出済みで、現在FDAの回答待ちであることが判明した。
今回はFDAの情報、過去の言及、特許情報から同社の開発動向をまとめた。参入が相次ぐブラゼインの開発競争にパーフェクトデイも参入する。
アメリカで精密発酵食品を販売するステップ
アメリカでは、食品会社は精密発酵による原料についてGRAS自己認証を宣言することで、当該原料を販売できるようになる。これは、メーカーがFDAによるGRAS認証を6ヵ月~12ヵ月待ったり、FDAによる食品添加物の承認を6年間待ったりすることなく、企業が安全性を自己確認できるプロセスであり、GRAS自己認証といわれる。
GRAS自己認証の確認には、専門知識を有する外部の専門家委員会による審査を経なければならない。
GRAS自己認証が確認されると当該原料を消費者やメーカーに販売できるようになる。FDAへの通知は任意となるが、GRAS自己認証を宣言していても、要件を満たしていないことが判明した場合、法律違反によりFDAによる執行の対象となる。そのため第2段階のステップとして、GRAS通知を行うことを重視している企業が多い。
FDAへのGRAS通知は1997年に確立されたプロセスとなる。FDAからの安全性のお墨付きを得るためにImpossible Foods、Perfect Day、The EVERY Company、Remilkなど代表的な精密発酵企業はいずれもこのプロセスを実施している。
GRAS通知を行い、FDAから「異議なし(No questions)」のレターを受領すると、FDAによるGRAS認証を取得したことになる。つまり、FDAが安全性を認めたという証明になるわけだ。
冒頭で述べた通り、パーフェクトデイがFDAにGRAS通知を実施済みで、現在回答を待つ段階にあることから、同社はすでに精密発酵ブラゼインについてGRAS自己認証を確認済みで、アメリカで販売できる状況にあることになる。FDAからの回答を待ちつつ、水面下で販売に向けて動いている可能性がある。
パーフェクトデイが代替甘味料市場に進出か
FDAによると、パーフェクトデイは遺伝子組換えKomagataella phaffii(ピキア酵母)を使用して、西アフリカの植物Pentadiplandra brazzeanaに含まれる甘味タンパク質ブラゼインを開発している。
遺伝子組換え微生物を使用してブラゼインを開発する企業は他にもあり、アメリカを拠点とするOobli、Sweegenもそうだ。特にOobliはパーフェクトデイと同じくKomagataella phaffiiを用いた精密発酵ブラゼインですでにFDAのGRAS認証を取得している。
では、特許や過去の言及からパーフェクトデイのブラゼイン開発を分析していく。
Foovo独自調査。各情報の出典は各箇所のリンクを参照。
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アイキャッチ画像の出典:Perfect Day