代替プロテイン

培養母乳を開発するイスラエル企業Bio Milk、2022年にサンプルを発表予定

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1Lの牛乳を生産するには900Lの水が必要とされ、牛乳を生産するために地球のかなりの資源を必要とされる。

さらに、大気中のメタンガスの約37%が牛から吐き出されるメタンガスに起因しているとされ、地球温暖化の原因の1つとなっている。

こうした畜産の現状を変えようとする企業の1つが、イスラエル企業Bio Milkだ。

同社は細胞農業による培養ミルクと培養母乳の開発に取り組むことで、乳産業がもたらす環境への負荷をなくしたいと考えている。

Bio Milkは、牛乳生産プロセスで培った10年間の研究をもとに、Nurit Argov-Argaman氏Maggie Levy氏が2018年に設立した。

同社の培養ミルクは個人の好み、栄養、治療の必要性に応じてパーソナライズできるという。

今年中に培養ミルク、来年には培養母乳のサンプルを発表したいとしている。

細胞農業で培養牛乳・培養母乳を開発するBio Milk

Bio Milkは、複数の家畜の乳を模倣する生産プロセスで特許を取得しており、研究室で牛乳を生産することができる。

まず、牛の乳房にある母乳産生細胞を単離する。細胞はバイオリアクターに移され、同社の特許の1つである、さまざまな成分の混合物にさらされる。これにより、細胞が自分自身を複製するのではなく、牛乳を産生できるという。

Bio Milkのチーム 出典:Bio Milk

培養ミルクを生産する特許を取得しているが、現在は培養母乳の開発に注力している。

BioMilkのCEOであるTomerAizen氏によると、この培養母乳には母親の体から分泌された本物の母乳に含まれる複雑な組成物をすべて含んでおり、「自然が提供するものに限りなく近い母乳の代替品」となるという。

CEOのTomerAizen氏 出典:Bio Milk

同社は、人の母乳を産生する細胞を単離し、バイオリアクターで培養、母乳を産生させる。製造プロセスの一環で、培養母乳に自社が単離したオリゴ糖を添加するという。

オリゴ糖は免疫系の発達をサポートする複合糖質で、母乳にしかみられない。

植物からもオリゴ糖は取れるが、植物のオリゴ糖は異なる化学構造を持ち、母乳が免疫系へもたらすのと同じ影響は期待できない

人の母乳に含まれるオリゴ糖や乳糖は牛乳にも含まれるが、組成が異なる。そのため、遺伝子組換えされた微生物を使って、十分な量の母乳オリゴ糖を人工的に合成しようとする試みもなされているが、複雑なプロセスを経ることになるという。

母乳以外の商品化も視野に

出典:Bio Milk

Bio Milkの培養母乳に添加されるオリゴ糖は、オリゴ糖生産技術に関するLevy教授の研究がベースとなっているという。

Bio Milkのオリゴ糖は母乳に添加することを目的としているが、腸の手術を受けて腸内フローラが損なわれてしまった人々のための製品になる可能性もあるという。

同社は今年中に最初の培養ミルクのサンプルを発表する予定。

培養母乳については、昨年11月の報道では2021年第4四半期までに、タンパク質、糖質、脂質の3つの主要成分を含んだ母乳を研究室で生産するとしていたが、先月の報道では2022年に最初のサンプルを発表したいとしている。

上場に向けた最終段階

主任研究員のNurit Argov-Argaman氏 出典:Bio Milk

Bio Milk は2020年10月、初のラウンドで個人投資家から1200万シェケル(約3億8千万円)の出資を受けた。

現在、上場に向けた最終段階にある。上場すると、700万シェケル(約2億2千万円)の追加資金を受け取るとされる。

人工母乳を開発する他社には、アメリカのBiomilqがいる。

Biomilqはビル・ゲイツのファンドなどから出資を受けており、妊娠中の母親から針生検で乳腺上皮細胞を採取し、培養して人工母乳を作る。こうしてできる母乳は母親にカスタマイズされた母乳となる。

Aizen氏によると、Bio Milkの培養ミルクはBiomilqよりも生産工程が簡便で、安いという。

もう1社、シンガポール発のTurtleTreeも細胞ベースの人工母乳の開発に取り組み、2022年までの市場投入を目指している。消化器系に問題を抱える人への展開も視野にいれている点は、Bio Milkと似た構想をもっている。

 

参考記事

Lab-Cultured Breast Milk:Israeli Startup Races to Do It First

This Israeli Firm Intends to Disrupt Dairy Industry by Creating Milk in Labs

 

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