ロボット

xRoboticsのピザロボットがピザ店での試験運用を完了、800の予約注文を受注

 

ピザロボットを開発するxRobotics(エックスロボティクス)が、オックスフォードにあるピザ店「Dodo Pizza」でのピザロボットの試験運用を完了したことを発表した。

レストラン裏方に徹するピザロボットを開発するxRobotics

出典:xRobotics

xRoboticsが開発するピザロボット「xPizza One」はレストラン裏方の負担を軽減するための自動ピザロボット。

従業員がピザ生地をトレイに載せると、生地を載せた台が回転しながらロボット内部を移動する。トッピングは従業員はタブレットであらかじめ設定する。

ロボットが内部を移動するにつれて、ソース、トッピングが指定された通りにピザ生地に載せられる。ソース、トッピングが均等になさされるように、生地を載せた台は回転しながら移動する。

オックスフォードにあるピザ店に試験導入されたxPizza Oneは、11種類のトッピングを収容でき、ピザ店のメニューの90%に対応できたという。

1時間に生成されるピザは100枚で、1ヶ月の試験導入で472枚のピザを生成した。

これにより手作業の工数を32時間節約できたという。

公式サイトによると、xPizza One は1時間で最大150枚のピザを生成できる。

予約注文はすでに800

出典:xRobotics

ピザのソースがけ、トッピングは単調な作業であり、ロボットであれば、休憩をはさむことなく連続して1日に何百枚ものピザを生成できる。

さらに、毎回のトッピング量を正確に制御することができるため、人がトッピングする場合のように多かったり少なかったりというブレを防ぐことができる。

サラミを指定された場所から2mm以内に、正確に正しい間隔で配置することもできる。

これにより、毎回同じ品質のピザを提供できるほか、全体的なコスト削減につながる。また単調な作業はロボットに任せて、より付加価値のある作業に人が専念することもできる。

出典:xRobotics

xPizza Oneの場合、完全に自律したロボットではなく、生地を置く、洗浄といったプロセスで人の介入を必要とするが、残りはすべてロボットが担当する。

The Spoon誌の報道によると、ピザチェーン店などからすでに800の予約注文が入っており、今年後半から来年はじめにかけて大量生産を開始するために施設を準備している。

さらに、現行バージョンのxPizza Oneに加え、1時間に300枚生成できるxPizza One Maxも今年リリースする予定

xRoboticsは手頃な価格で高品質なピザロボットで食品業界にイノベーションを起こすことを目的に2019年にサンフラシスコに設立されたスタートアップ。

公式サイトに書かれているとおり、同社はレストラン業界が直面する問題の解決にコミットしている。

ピザロボット事業から撤退したZumeから学べること

出典:xRobotics

コロナウイルスの感染が拡大を続けるなか、人の介在を最大限減らし、感染リスクを減らせるピザロボットは需要が高まっていくと予想されるが、ピザロボットを語るうえで、同じくピザロボットを開発したZumeの失敗を無視することはできない。

2社を比較する限り、xRoboticsはZumeの失敗を分析している。

Zumeがピザロボット事業を撤退した原因として次の3つが指摘されている。

1つは、ロボットが得意とすることを最適化するのではなく、人がピザを作る動作をロボットで再現しようとしたこと

Zumeのロボットアームにはソースを生地に広げるためのスプーン、ブラシなどの道具が搭載されていた。

出典:xRobotics

2つ目は、精密な機械を搭載していたこと。これらの設備は高価なだけでなく、大量のスペースを必要としたため、一般のピザ店には装置を収容できなかった。

3つ目は、従業員の95%の時間を占めるトッピングを自動化していなかったこと。反対に、ピザ生地を置く、ソースを塗るといった、それほど時間のかからない工程を自動化していた。

このように比較すると、Zumeは自動化しなくても良い工程を自動化したのに対し、xRoboticsは従業員にとって手間と時間のかかる工程を自動化していることがわかる。

出典:xRobotics

さらに、xRoboticsはロボットならではの演出に重きを置いておらず、キッチンスタッフの「悩み」にフォーカスし、負担を軽減するよう設計している。

人間が調理したピザを好む人の方が現在はまだ多いかもしれないが、マクドナルドのように一貫性、再現性を忠実に維持するファーストフードが人気を博していることから、ピザも同じ流れに向かう可能性はある。

 

参考記事

xRobotics’ Pizza Assembling Robot Concludes Test with Dodo Pizza

Lessons on automation from our investment in xRobotics, and notes on why Zume failed

Age Of Robo-Pizza, Lukewarm On Arrival, Heats Up

アイキャッチ画像の出典:xRobotics

 

関連記事

  1. リング型カクテルメーカーBarsys 360|自宅のミクソロジー…
  2. ピザ組み立てロボットを開発するPicnicが約17億円を調達
  3. トッピングから焼き上げまで3分で完成するピザ自販機Piestro…
  4. ピザハットのロボットレストランがイスラエルに登場
  5. 韓国LOUNGE’LABがロボットアイスクリームショ…
  6. Basil Streetがピザ自販機をアメリカの国際空港に導入、…
  7. 多才な料理ロボットのカナダYPCテクノロジーズが約1億4千万円を…
  8. 最短30秒で調理する自律調理ロボットを開発したRoboEatz、…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

精密発酵で卵白タンパク質を開発するOnego Bio、米国進出に向けて約61億円を調達

フィンランド・アメリカに拠点を置くOnego Bioは今月、精密発酵による卵白タ…

米パーフェクトデイ、インドで精密発酵タンパク質の認可を取得、インドの工場を買収

精密発酵によるタンパク質開発で世界をリードする米パーフェクトデイが、インドで認可…

植物の葉緑体を活用して成長因子を開発するBright Biotechが約4億円を調達

分子農業で培養肉用の成長因子を開発する英Bright Biotechはシードラウ…

100%スピルリナ由来の代替スモークサーモンを開発するSimpliiGood

スピルリナを活用して代替タンパク質を開発するイスラエル企業SimpliiGood…

Wilkが細胞培養による乳脂肪を使用したヨーグルト開発に成功

細胞培養によりヒト、動物の乳成分を開発するイスラエル企業Wilk(ウィルク)は、…

スイスの小売大手ミグロスがビーガンゆで卵を発売

スイスの小売大手ミグロスが植物性のゆで卵の発売を発表した。ミグロスの子会社ELS…

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(07/26 13:09時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/26 22:36時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/27 02:20時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/26 19:03時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/26 11:34時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(07/26 22:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP