キッチンOS

中国OrionStar(猎户星空)がバリスタロボットRobotic Coffee Masterを発表、コーヒーを皮切りに飲食全体を狙う

中国Cheetah Mobileのロボット部門であるOrionStar(中国語:猎户星空)は、コーヒーをいれるバリスタロボットRobotic Coffee Master(中国語名:智咖大师)を発表した。

北京で行った発表イベントは、中国の老舗漢方製薬メーカー同仁堂の小売店・同仁堂知嘛健康とのコラボという新旧の組み合わせで行われた。

Robotic Coffee Masterは6軸ロボットで、コーヒーをいれる複雑なテクニックをAIで組み込まれている。

出典:OrionStar

コーヒードリッパーに円を描くようにお湯を注ぎ、コーヒードリッパーを裏返して付着した粉を少量のお湯で洗い流して、元の場所に置くー。コーヒーをいれる時間は3分だ。

ぜひ動画をみてほしい。人間のようにきめ細やかな動作は驚きだ。

https://youtu.be/ntMWUMhJNsQ

Robotic Coffee Masterがコーヒー1杯1杯を正確に用意してくれるおかげで、バリスタは新しいドリンクを考えたり、顧客へのアドバイスにつとめたりできる。

バリスタロボットを展開するのはOrionStarだけではない。

次のように、すでに他社がコーヒーロボットを展開している。

Café X 空港の無人カフェ
Truebird キオスクのような無人カフェ
Briggo キオスクのような無人カフェ
Rozum Café オープンタイプのバリスタカフェ
MontyCafe オープンタイプのバリスタカフェ
FIBBEE キオスクのような無人カフェ
Crown Coffee オープンタイプのバリスタカフェ

 

しかし、これまでのコーヒーロボットとRobotic Coffee Masterが大きく異なるのは、

・オープンな環境で活躍できること

・エンタメ要素が強いこと

この2つだ。

これまでのバリスタロボットは、キオスクタイプの閉鎖されたボックスで働くものや、ロボットアームがコーヒーメーカーにコップを設置し、注がれたカップを顧客に提供するものが多い。

出典:Cown Coffee

出典:Truebird

Robotic Coffee Masterはより”バリスタに近い”コーヒーロボットだ。

コーヒードリップを使い、お湯を注ぐ動作からコーヒーをいれるプロセス全てをロボットが再現している。

バリスタの動作すべてをロボットが再現しているのだ。

Robotic Coffee Masterがコーヒーをいれる様子を顧客に見えるようにすれば、レストランやカフェのエンタメ要素になり、集客にもつながるだろう。

 

このほか、バリスタロボットには

・休みなしに働ける

・人を介さないコンタクトレスなサービスが可能

というメリットがある。

アフターコロナによる新しい生活習慣にまさに合致するサービスとなることは間違いない。

出典:36Kr 同仁堂とコラボして行われた発表イベント

 

狙うのは飲食全体

Robotic Coffee Masterは始まりにすぎない。

OrionStarはコーヒーのほかに、お茶、料理、野菜を切る、麺を炒めるなど、さまざまな領域での応用を考えている。

実際に、Robotic Coffee Masterと同時並行でお茶をいれるRobotic Tea Master(中国語名:智茶师傅 ※英語名は未定)を開発している。近い将来にリリースされる予定だという。

出典:OrionStar Robotic Coffee Master(左)とRobotic Tea Master(右 名前は仮)

インターネットサービスを展開するCheetah Mobileは2010年に設立され、2016年にOrionStarを設立した。同社のターゲット市場はアジアだ。

Robotic Coffee Masterの価格は約5万ドル(約520万円)で、すでに200台が販売されている。

https://youtu.be/dOP3SC_B2qk

 

参考記事

OrionStar Launched a New Coffee Robot in China

Robotic Coffee Master from OrionStar and Cheetah Mobile begins serving customers

智咖大师正式发布,联手同仁堂知嘛健康打造中国新国礼

Old and new worlds collide with robot-brewed TCM coffee

 

関連記事

  1. パーソナライズ化された次世代自販機のBolkが約5億円のシード資…
  2. 世界初の家庭用ペットフードメーカーChefPawがCESに登場
  3. ラーメン自販機のYo-Kai Expressが家庭用調理機『Ta…
  4. ピザ自販機のカナダ企業PizzaFornoがアメリカへ進出
  5. ZIKIがロボットキッチンのBowlton Kitchensを買…
  6. Hyper-Robotics、「箱」の中でロボットがピザを作る完…
  7. ピザ組み立てロボットを開発するPicnicが約17億円を調達
  8. 米ColdSnap、常温ポッドから2分で作れるソフトクリームマシ…

精密発酵レポート好評販売中

おすすめ記事

植物性着色料を開発中のイスラエルフードテックPhytolonが約5億円の資金調達に成功

植物由来(プラントベース)の着色料を開発するイスラエルのフードテックスタートアップのPhytolon…

アニマルフリーな乳タンパク質を開発するイスラエルRemilkが約11億円を調達

イスラエルを拠点とするRemilkがシリーズAラウンドで11…

代替卵のイート・ジャストがアフリカ市場へ進出

植物ベースの代替卵を開発するイート・ジャストがアフリカ市場へ進出した。南…

The Every Company、世界初の精密発酵タンパク質を使ったアルコール飲料を発売

精密発酵により卵白タンパク質を製造販売する米The Every Companyは…

Melt&Marble、精密発酵による油脂のプロトタイプを発表

精密発酵によりカスタマイズ可能な動物油脂開発に取り組むスウェーデン企業Melt&…

セイバーイートが植物肉用3Dプリンターをアメリカの大学へ初導入

3Dプリンターで植物肉を開発するイスラエル企業セイバーイート(SavorEat)…

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

精密発酵レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,671円(04/26 12:13時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/26 21:33時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/27 01:03時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/26 18:06時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/26 10:47時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/26 21:03時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP