アップサイクル

グリラス、国産食用コオロギを使用したプロテインバー等をコンビニで販売開始

 

日本の徳島大学発ベンチャー企業であるグリラスが、国産の食用コオロギを使用した自社ブランドである「C. TRIA(シートリア)」から、グリラス初となる小売店向け商品「C. TRIA プロテインバー」、「C. TRIA クッキー(大判)」の2種を発売した

今月2日からファミリーマートのストアブランドである「ファミマ!!」13店舗にて販売されている。

コオロギの持つ豊富な栄養素を活かしたお菓子

出典:グリラス

今回発売された2種は、1年間自社ブランドを運営して蓄積したノウハウを活かし、低価格化と味の改良を実現したという。また、コオロギの姿を連想させないパッケージとパウダー化したコオロギ原料の使用を継続し、食べるハードルの低減を図っている。

C. TRIA プロテインバー」は、乳タンパクは不使用でありながら1本で15.6gのタンパク質を摂ることができる。また、コオロギ由来の栄養素であるビオチンや葉酸などのビタミン類、鉄や亜鉛などのミネラル類(ビオチン11.7μg 葉酸30μg 鉄分3.46mg 亜鉛1.17mg)等、不足しがちな栄養素を気軽に美味しく摂ることができる商品となっている。

C. TRIA クッキー(大判)」は、マーガリンを使用せずに作られており、1枚で約18gの食品ロスを削減することができるという。

プロテインバーは1本240円(税込)、クッキーは1枚198円(税込)になる。

なぜ「コオロギ」なのか

出典:グリラス

コオロギなどの昆虫は、既存の畜産と比べて1kgのタンパク質の生成に必要な餌や水の量が圧倒的に少ないため、限りある資源の有効活用が可能だとされる。加えて温室効果ガスの排出量も少ないため、環境負荷の低いタンパク源といわれている。

現在世界では、人口増加に伴う飢餓や栄養不良といった食料問題への対応が緊急の課題となっている。

特に動物性タンパク質の不足は顕著であり、その解決策としてFAO(国際連合食糧農業機関)は昆虫食を推奨している。昆虫は環境負荷の低いタンパク源として、世界から注目を浴びている食材といえる。

そうした中でコオロギが注目されている理由として、飼育難易度が低く雑食で、発育期間が1~1.5カ月と他の昆虫に比べ比較的短いながらも、体のサイズは大きく飼育効率が高いことが挙げられる。コオロギは、フードサイクルを実現することができる循環型の食品であり、持続社会に必要となる「サーキュレーターフード」なのだという。

また栄養価が高く昆虫の中でも優れた味わいを備えていることも、食品としてコオロギが注目されている理由である。

グリラスのコオロギ飼育技術

出典:グリラス

従来のコオロギ飼育方法では、手作業が多く効率が悪いため、産業化しにくいという状況であった。グリラスでは大規模生産化に向け、コオロギ自動飼育システムの開発に取り組んでいる。

給水・給餌の工程と収穫時の分別作業を自動化することで、生産工程を大幅に効率化出来る半自動化飼育システムを導入するなど、全自動飼育システムの開発に力を入れている。

また同社では、徳島大学の30年近くにおよぶフタホシコオロギ研究を通じて確立した、ゲノム編集に関するノウハウ、特許技術を継承したことより、目的形質を有するコオロギ品種を作製することが可能となった。これにより、より食用に適した品種や大量生産に適した品種、機能性成分を有した品種などの「高度な品種改良」を推進していくことが可能だ。

増加するコオロギ食参入企業

出典:グリラス

日本国内をみても、コオロギ食品へ参入する企業は大手も含め増えており、小売店大手の無印良品では「コオロギチョコ」や「コオロギせんべい」を販売している。

ベンチャー企業としても多くの企業が参入しており、高崎経済大学発のFUTURENAUTや、早稲田大学発のエコロギー、今回のグリラスなどが誕生している。また他業界からの参入も見られ、化学品の専門商社であるミヤコ化学がコオロギ粉末の二次加工取り組む等、様々な業界から注目を浴びている。

 

参考記事

食用コオロギ国内生産量No.1のグリラスが小売向け商品2種を新開発!コオロギ使用のプロテインバーとクッキーをコンビニで発売

アイキャッチ画像の出典:グリラス

 

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