代替プロテイン

【現地レポ】Quornのマイコプロテインを食べてみた@シンガポール

 

栄養を含んだ培地で糸状菌を培養して増やしたバイオマスをマイコプロテインという。「プロテイン」とあるが、バイオマスには食物繊維、ビタミン、ミネラルなど、タンパク質以外にも栄養が豊富に含まれるため、マイコプロテイン=タンパク質というわけではない。

最も有名なマイコプロテインはイギリス発のブランドQuorn Foodsだ。

QuornのマイコプロテインはFusarium venenatumフザリウム・ベネナタムという糸状菌を使用している。1985年に最初の製品がイギリスで発売され、これまでに20ヵ国で販売されているが、Foovoの認識では日本にはまだ導入されていない

スーパーでマイコプロテインが当たり前に販売される国の1つがシンガポールだ。Quornは2016年にシンガポールに事務所を開設し、2017年にシンガポールに上陸した。

今年7月、シンガポールでQuornのマイコプロテインを使用した製品を食べることができたので、その感想をお届けする。

Quornのマイコプロテインを食べてみた@シンガポール

Foovo(佐藤)撮影 2024年7月下旬

スーパーには複数のQuorn製品が陳列されていたが、今回試したのはチキンナゲット「CRISPY NUGGETS」。300gで12.9シンガポールドル(約1400円)。

製品の39%にマイコプロテインを使用している。他の成分は、卵白、小麦、乳タンパク質など。Quornの製品すべてがビーガンに対応しているわけではなく、「CRISPY NUGGETS」のように卵白が使用されている製品もある。

Foovo(佐藤)撮影

「CRISPY NUGGETS」はオーブンで15分加熱すればできあがり。

Foovo(佐藤)撮影 2024年7月下旬

Foovo(佐藤)撮影 2024年7月下旬

GOOD Meatの培養肉を食べた時にも書いたが、私は渡航前からしばらく味覚障害に悩まされていたため、味はわからなかった。食感は問題なく、マクドナルドのナゲットと遜色ない印象。

見た目もこの通りで、マイコプロテインはここまでよくできているのかと驚いた。断面からも繊維感がわかるかと思う。

Foovo(佐藤)撮影 2024年7月下旬

驚いたのは子供の反応だった。シンガポールでQuornのナゲットを食べた時は「おいしい」という感想だけだった。帰国後、宅配でピザと共に(本物の鶏肉を使用した)ナゲットを注文したところ、こちらから聞いたわけでもないのに、「シンガポールで食べた(マイコプロテインを使用した)ナゲットの方がおいしい」と言ったのだ。

Quornのパテなど他の製品は食べていないが、ナゲットは本物よりも勝るというのが子どもの感想だった。

シンガポールで当たり前の選択肢であるマイコプロテイン

Foovo(佐藤)撮影 2024年7月下旬 シンガポールのスーパーマーケットFair Price

今回Quornの製品を買ったスーパーは、シンガポールで多く展開しているFair Priceというチェーン店。訪れたのは、Scotts通りにあるFairPrice Finest Scotts Square

Impossible FoodsByond Meatなど著名な代替肉ブランドと共に冷凍コーナーに陳列されていた。

Foovo(佐藤)撮影 2024年7月下旬

Foovo(佐藤)撮影 2024年7月下旬

2024年4月にシンガポールへ行った時に、CS Freshというスーパーマーケットで取った写真がこちら▼

Foovo(佐藤)撮影 2024年4月中旬

CS Freshなど他のスーパーチェーンでも冷凍コーナーにこれらの製品が陳列されているので、シンガポールではマイコプロテインは市民にとってすぐ購入できる製品ということがわかる。

次回こそは味のわかる状態で他の製品も試してみたいと思う。

Quornのマイコプロテインを日本で購入できたらと思っている人は多いのではないかと思う。しかし公式サイトには、「現時点では他の国へ展開予定はない(We have no plans to expand to other countries at this time.)」と書かれており、日本のスーパーに導入される可能性は当面は低いと思われる。

 

関連記事

アイキャッチ画像はFoovo(佐藤)撮影

 

関連記事

  1. 米Bond Pet Foods、精密発酵由来の動物タンパク質2ト…
  2. イスラエルの培養肉企業MeaTechが世界で初めてNasdaq市…
  3. Mycorenaが菌類由来の代替脂肪「Mycolein」の発売を…
  4. インポッシブルフーズの脅威になるか?スピルリナ由来のヘムを開発し…
  5. Jellatechが約5億円のシード資金を調達、細胞由来コラーゲ…
  6. 大豆を使ってチーズを開発するNobell Foodsが約82億円…
  7. ブラジル企業Cellva Ingredients、培養豚脂肪に続…
  8. ビヨンドミートが日本市場進出へ|U.S.M.Hと独占販売契約を締…

おすすめ記事

世界初!アレフ・ファームズが3Dプリンターで培養リブロース肉を開発

イスラエルのアレフ・ファームズ(Aleph Farms)が培養リブロース肉の3D…

二酸化炭素を使用して代替脂肪を開発するスウェーデンのGreen-On|食料生産から農業と耕作地を取り除くPower-to-food技術

今年1月に発表された「Fat Revolution is coming(脂肪革命…

ドイツのFormo、欧州投資銀行から約56億円を調達-麹菌由来チーズと精密発酵カゼインの強化へ

微生物発酵による代替チーズを開発するドイツ企業Formoは、欧州投資銀行(Eur…

精密発酵で乳タンパク質を開発するBon Vivantが約24億円を調達、2025年の米国進出を目指す

画像はイメージ精密発酵で乳タンパク質を開発するフランス企業Bon Vivantが今月、シードラウ…

砂糖削減テックのIncredoが約42億円を調達、商用化を加速

砂糖削減ソリューションを提供するイスラエル企業DouxMatokは今月、シリーズ…

ドイツ企業Nosh.Bioがマイコプロテインを工業生産する自社施設を発表

ドイツのマイコプロテイン企業Nosh.bioは今月、ドイツ・ドレスデン近郊にある…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(03/20 14:50時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(03/21 00:35時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(03/21 04:28時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(03/20 20:47時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(03/21 12:58時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(03/20 23:48時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP