Foovo Deep

米IngredientWerksがトウモロコシでウシのミオグロビン生産に成功

 

アメリカの分子農業スタートアップIngredientWerksは7月、ウシのミオグロビンを高発現するトウモロコシを生産したことを発表した。

プレスリリースによると、IngredientWerksはトウモロコシを活用することで、カーボンニュートラルな方法でヘムを工業規模で生産できるとしている。

ミオグロビンは牛の筋肉に含まれるヘムタンパク質であり、植物肉に肉特有の風味をもたらす不可欠な成分として使用されている。

アメリカのインポッシブルフーズも、自社の植物肉を本物に近づけるために動物由来のヘムに似た大豆レグヘモグロビンを開発し、自社の製品に使用している。インポッシブルフーズは遺伝子組み換え微生物を活用する精密発酵技術を使用しているのに対し、IngredientWerksは植物をヘムの生産工場として活用する分子農業技術を使用している。

トウモロコシでウシのミオグロビンを生産

IngredientWerksが開発した「Meaty Corn」 出典:IngredientWerks

IngredientWerksは今年、トウモロコシ1グラムあたり10mgを「はるかに超える」ミオグロビンを発現するトウモロコシを生産した。これは初期目標を上回る成果だったようだ。

この発現レベルについて同社は、「前例のない低コストのヘム生産」を可能にするものだと述べている。また、トウモロコシを使った分子農業によりウシのミオグロビン発現に成功した事例はこれが初だという。

AgFunderの報道によると、IngredientWerksのアプローチは、設備投資と運用コストが低く、既存のインフラを利用できるため、精密発酵の数分の1のコストで拡張できるという。

既存技術より低コストが見込める生産アプローチにより、IngredientWerksは世界で10億ドルの市場機会があると見込むヘム市場へ進出しようとしている。

トウモロコシを使う利点

出典:IngredientWerks

IngredientWerksは、Novus Internationalの子会社Agrividaからスピンオフされ、2022年に設立された。同社は15 年以上にわたる植物の形質転換、組換えタンパク質の培養などの知見を活用して、カスタマイズされた高価値のタンパク質原料を開発している。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:IngredientWerks

 

関連記事

  1. 米Ayana Bio、植物細胞培養でカカオなどの生理活性物質の開…
  2. AngelList初のローリングファンド、Sustainable…
  3. 英培養肉企業Higher Steaksが約43億円を調達、社名を…
  4. ビヨンドミートが代替ミルクにも参入か?ビヨンドミルクの商標を出願…
  5. 中国発の培養肉企業CellXが資金調達、2021年に試作品発表へ…
  6. 微細藻類ナンノクロロプシスで油脂生産──ファイトリピッド・テクノ…
  7. 米Atlantic Fish Co、世界初の培養ブラックシーバス…
  8. イスラエルの培養肉企業Believer Meats、アブダビでの…

おすすめ記事

仏Gourmey、培養肉の生産コストを1kgあたり約1200円と第三者機関が評価

2025年6月9日:更新培養フォアグラを開発するフランス企業Gourmeyは先月、コンサルテ…

スイス初の培養肉企業Mirai Foodsが初の資金調達、培養肉の市販化を目指す

スイスの培養肉企業Mirai Foodsが初となるシードラウンドで210万スイス…

オランダのUpstream Foods、植物シーフード向上のためサーモンの培養脂肪を開発

細胞由来・植物由来の代替肉や代替魚の開発が世界的に進む中、本物ならではの風味を補…

菌糸体由来肉のMeati Foodsが全米で販売開始、Sprouts Farmers Market全店舗に導入

菌糸体由来の代替肉を開発する米Meati Foodsは、アメリカのスーパーマーケ…

米Meati Foods、菌糸体由来の朝食向け代替肉をスーパーマーケットで発売

菌糸体由来の代替肉を展開する米Meati Foodsは、同社初となる朝食用製品「…

米AQUA Cultured Foodsが代替シーフードでGRAS自己認証を取得

 追記(2024年8月8日、15日)Aquaはこれまで菌類由来の代替シーフードを…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/24 16:17時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/25 02:57時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/25 06:30時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/24 22:19時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/24 14:18時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/25 01:36時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP