「第5回フードテックWeek」が2024年11月20日から3日間、幕張メッセで開催されている。
第5回目となるフードテックの展示会では、どのような取り組みが紹介されていたのか?展示会で見聞きしたものの中から、Foovoのテーマに合うユニークな取り組みを紹介する。
綿あめの新時代・屋台も自動化へ
祭りで人気の綿あめを半自動で製造する「ユニコーンフェザー卓上タイプ」。中国メーカーが開発したこの製造機は、スティックをセットして、スタートボタンを押すと、綿菓子を製造してくれるもの。製造後の洗浄も自動で行ってくれる。ザラメをフルに充填すると、約80個の綿あめを作れる。
担当者によると、この卓上タイプは1台45万円。原価50円の綿あめ1個を500円で販売した場合、1日に200個売れば9万円の利益がでる。展示されていたのは卓上型だけだが、全自動タイプの自販機タイプもあるようだ。
ドリンクのアート革命:サントリー「Lidris」が描く新たな飲食体験
ドリンクにイラストや文字を浮かべられる新感覚ドリンクを展示するのはサントリーホールディングスのブース。
Lidrisという装置のノズルから、自然由来の原料を使用したインクがドリンク中に注入され、指定されたデザインを生成する。デザインは1時間以上保持できるという。
これまでにTheLab.CAFE Lab.グランフロント大阪店など一部で試験導入している。CES2023ではInnovation Awardsを受賞した。現在は実証実験中で、2025年にローンチを目指しているという。
コーヒーかすが食品と化粧品に大変身
未利用資源を有効利用して、服や紙などにアップサイクル製品を製造しても、利用後にゴミとして廃棄されたら二酸化炭素が発生してしまう。ソーイは、すべてを消費できる形にアップサイクルすることに焦点をあて、アップサイクル×廃棄物ゼロを同時に達成する「UP 0 TECH」を提唱。
コーヒーかすをペースト状にし、麹を利用した液中発酵により食べられる原料「NEO COFFEE」を開発した。麹による発酵プロセスでは二酸化炭素は排出されないという。発酵後、殺菌工程を経て「NEO COFFEE」ができあがる。
ソーイは、これをもとにしたキャラメルソース、クッキー、板状スイーツの「COLEHA」などを製造し、B2B供給している。食品用途以外でも、コーヒーかすをアップサイクルしたハンド&ボディクリームも販売している。
これまでにない社食用・調理ロボット「DEKITATE-GO」
炒め調理ロボット、惣菜ロボットなどを開発してきたTechMagicは、新サービスとして社食用の自動調理ロボット「DEKITATE-GO」を展示。これは、ユーザーが専用ミールキットをロボットに投下して、その場で熱々の料理が提供されるというもの。オフィスビルや学生寮、タワマンなどへの設置を想定している。
ミールキットを鍋に入れて、タブレットの指示通りに操作すると、わずか数分でナポリタンやチャーハンができあがる。展示会で2種類を試食したところ、大変よくできていた。洗浄はわずか30秒で、鍋の焦げつきなども取り除いてくれる。
現在、実証として江東区青海にあるTechMagic本社ビルの5階に2台導入されている。平日ならば誰でも入館し、最先端の調理ロボット「DEKITATE-GO」による食事を体験できるという(有料)。
TechMagicは最近、コンパクトに改良した「I-Robo2」を大阪王将に導入した。大阪王将では初代バージョンの「I-Robo」導入により、FLコスト(食材費+人材費)が10%以上改善したという。
発酵技術が生む新たな味わい・「発酵蒸留サワー」
ファーメンステーションは、食品・飲料市場参入の第一弾として宝酒造と共同開発した「発酵蒸留サワー」を展示。これは、宝酒造の焼酎に加え、柑橘の果皮をファーメンステーション独自の発酵アップサイクル技術で生成したアルコール「果皮発酵スピリッツ」を使用したもの。今年9月10日より全国発売され、スーパーなどで販売されている。
ファーメンステーションは宝酒造以外にも、ニチレイフーズ、ANA、日本ゼトックなどと共同開発している。
3Dプリンターで作る「食感」体験・Byte Bitesの挑戦
Byte Bitesはフード用3Dプリンターを用いた商品開発を支援している。企業との試作品開発や、店舗で生じる食品残渣を活用したデザートづくりなど、フード用3Dプリンターの導入を支援。2022年には東急ハンズ新宿店で、食感をデザインしたチョコレートを販売した。
内部構造のパターンや密度を調整できる3Dプリンターを活用することで、異なる食感を実現するなど、食感デザインを探求している。宇宙食や介護食など、食感体験が単調になりやすい分野での応用にも取り組んでいる。
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アイキャッチ画像はFoovo佐藤撮影