仕事の帰宅途中、スーパーによって食材を購入し、自宅で夕飯の支度をする…
そんな生活が、スマート調理ロボットSuvie 2.0によって一変するかもしれない。
アメリカで生まれたこのスマート調理器具は、電子レンジよりも小さめなカウンタートップ型の調理ロボット。
朝材料をセットして出かけるだけで、帰宅するタイミングに合わせて自動で料理してくれる。冷蔵機能がついているため、肉や魚、冷凍食材も、調理するまで保存できる優れもの。
帰宅してから料理したとしても、わずか25分で大人4人分の料理をこなしてくれる。
オールインワンのスマート調理ロボットSuvie 2.0
Suvie 2.0には蒸す、あぶる、焼く、真空調理、じっくり調理する、ローストといった機能がついている。
専用容器に食材を入れて、Suvie 2.0をセットすると、タンクの水が自動的に循環し、肉や野菜を調理する時間まで冷蔵してくれる。
これなら日中は不在でも、食材がだめになることはない。
セットされた時間になると、温度を正確に調節して調理してくれる。焼きすぎるといった心配はない。
本体には2つの容器があり、異なる調理が可能。
たとえば、1つの容器に野菜、1つの容器に肉をいれておくと、野菜をおだやかに蒸してくれる一方で、肉は温度調節しながら焼き上げてくれる。
食事の時間になったら、肉をさっと焦がしてくれたり、野菜を急速に温めてくれたりする。
事前にスケジュールしておけばすべてSuvie 2.0がやってくれる。外出先でも、アプリで仕上がり時間を設定できる。
急な残業で帰宅が遅くなっても、アプリで時間を変更すれば帰宅後すぐに暖かい料理を食べられるし、すでに調理をスタートしていたら、到着するまで食事を温めておくことができる。
冷凍食材の調理もすべて自動
冷凍食材を調理するのもお手軽になる。
容器に冷凍食材をいれて、Suvie 2.0にセットすると、温水を自動で循環させて材料を急速解凍してくれる。
解凍が完了すると、Suvie 2.0は自動で焼く、蒸すなど必要な工程をスタートする。
専用ミールキットならさらにお手軽に
Suvieはスマート調理器だけでなく、専用のミールキットも用意している。
ミールキットの配達方法は、フレックスプラン、ウィークリープラン、プロテインプランの3つから個人の好みに合わせて選べる。ミールキットは全部で60種類以上。
専用ミールキットが届いたら、専用用紙のラベルをSuvie 2.0にスキャンして、材料をセットするだけ。
たとえば、ウィークリープランを選ぶと、調味料も含め材料が週毎に届く。1食あたりは平均12ドル。
いちばん人気のフレックスプランの場合は、自分で野菜などを追加してもよい。1食あたりは平均10ドル。
お米を炊く・パスタを茹でるのもSuvie 2.0にお任せ
Suvie 2.0のほかにペンネやパスタを茹でるためのStarch Cookerも用意されている。
第1世代のSuvie 1.0では一体化されていたが、第2世代ではStarch Cookerをオプションとした。
Starch Cookerは米を炊く、パスタを茹でる、豆を煮るなどといったデンプン質の食材を調理する専用調理器。
Starch Cookerをセットで購入すると、ペンネを茹でたり、お米を炊いたりもすべてSuvie 2.0がやってくれる。
準備にかかる平均時間は2分ほど。
さらに、Starch Cookerにオプション容器「Pour Over Coffee Caraffe」をつけると、コーヒーメーカーとしても使用できる。水を入れて、温度、時間をセットするだけで、コーヒーを飲みたいタイミングでコーヒーを入れてくれる。
現在、公式サイトでは割引価格で予約注文を受け付けている(2021年2月現在)。
Suvie 2.0+Starch Cookerのセット価格は699ドル。
Suvie 2.0は単体800ドルのところを、半年以内に専用ミールキットを2箱注文する条件で399ドルで販売されている。
注文するとSuvieは12週間~14週間で届くが、残念ながら発送対象エリアは米国のみとなっている。
Suvieは2015年に設立されたアメリカのスタートアップ企業。
これまでにクラウドファンディングで72万5700ドル(約7600万円)を調達しているほか、シードラウンドで1100万ドル(約11億円)を調達している。
この資金は第2世代のSuvie 2.0にあてられ、ミールサービスの拡充にも使われるという。
スマート調理ロボットは「自動車運転のように重要」
Suvieの共同創業者は、Robin Liss氏とKevin Incorvia氏。
Liss氏は家電レビューサイトReviewed.comの創業者であり元CEO。Reviewed.comのもとになるサービスを13歳で始めたという起業家だ。
Incorvia氏は元アップルのエンジニアで、Reviewed.comではアプリケーションの設計や開発を担当していた。
1日不在でも食材を冷蔵保存し、アプリでリモート操作できるようにするには、冷却技術が必要だった。
さまざまな冷却方法を検討した結果、コンプレッサーを使用することを決定。
コンプレッサーは冷蔵庫の心臓部分で冷やすために欠かせないもの。
問題は、Suvieのようなカウンタートップ型の調理器に入るような大きさのコンプレッサーが見つからないことだった。
最終的に、大手家電メーカーと強力して、Suvie用のカスタマイズされたコンプレッサーを製造した。ただし、Suvieのコンプレッサーは、冷蔵庫のように冷媒を使用しない。
冷蔵庫では冷媒が液体・気体と状態を変化することで、冷気を出したり熱を出したりするが、Suvieは冷却するために「水」を循環させる独自の手法を採用した。
海外ではSuvieのようなスマート調理ロボットが増えており、当メディアでもこれまでにいくつか紹介してきた。
そのなかにはアプリと連動して焼き加減を調節してくれるHestan Cueや、Oliverのように鍋は1つだけだが、材料を投入するタイミングを制御しながら料理してくれる調理ロボットもある。
料理に楽しみを感じる人からすると、SuvieやOliverなどのスマート調理ロボットは、自分から作る楽しさを奪う1つの脅威にうつるかもしれない。
しかし、スマートフォンが当たり前になった今、海外では調理器具をコントロールしたり、レシピと連動したりするツールとして、スマートフォンを料理に組み入れるトレンドがすでにある。
Suvieのような時間と手間を節約できるスマート調理ロボットは、子供がたくさんいる人、忙しい会社員だけでなく、高齢で一人暮らしの人にもニーズがあるだろう。
特に、人口減少により介護スタッフなどの労働力人口の減少を避けられない日本では、Suvieのような調理ロボットが果たす役割は大きい。
Liss氏はスマート調理器具の可能性について次のように述べている。
「自動運転車と同じくらい重要な分野だと思っています」
参考記事
Suvie Debuts Second Generation Countertop ‘Cooking Robot’
The Founder of Reviewed.com Wants To Reinvent Cooking With This Robot Cooking Appliance
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アイキャッチ画像の出典:Suvie