6つの豆をベースに植物性の代替魚を開発する米Good Catchがシンガポールに進出した。
今月より、Good Catchの代替魚を使った料理がシンガポールのレストランで提供される。Good Catchはアメリカのスタートアップ企業Gathered Foodsによるブランドで、これまでカナダ、ヨーロッパに進出していたが、アジア進出はこれが初となる。
6つの豆タンパク質で食感を再現
Good Catch は、えんどう豆、大豆、ひよこ豆、レンズ豆、そら豆、白いんげん豆の6つの豆タンパク質を独自の比率でブレンドすることで、水産物そっくりな食感を再現する。魚の有用な成分であるDHAやオメガ3脂肪酸には、海藻から抽出した藻類オイルを使用。
シーフードらしい食感と有用成分を備えた同社製品には、ツナ、フィッシュパテ、クラブケーキなどがある。
Good Catchは今年4月には、シリーズBで2640万ドル(約29億円)を調達した。これまでの調達総額は7710万ドル(約86億円)となる。
今回のシンガポール進出について、親会社Gathered Foodsの共同創業者Chad Sarno氏は次のようにコメントしている。
「シーフードを食べることに関する環境問題を意識する人が増えています。シンガポールの人々のシーフードへの愛着、洗練された味覚、シンガポールの多種多様な料理の選択肢を考えると、植物ベースのシーフードの選択肢を発売できることを嬉しく思います」
シンガポールでGood Catchの製品を提供するのは、グランド・ハイアット・シンガポールとPrivéのレストラン、Love Handles、Good Food Peopleなど一部のレストラン。
Good Catchは、一部のレストランで導入してから、小売への展開を狙う。これはインポッシブルフーズなどほかのフードテック企業が採用したものと同じ戦略となる。
代替シーフードが求められる背景
世界の魚資源の80%以上が「完全に利用または乱獲されている」と推定されるが、シーフードに対する需要は増えており、このままでは2048年までに魚がいなくなると言われている。
乱獲により絶滅危惧種に指定されるクロマグロなどの魚がいなくなった場合、食物連鎖が崩れ、生態系に間接的な影響が及ぶ。たとえば、魚の減少は、サンゴ礁の天敵である海藻の増加をもたらし、結果的にサンゴ礁の衰退につながる。
海洋生物の25%~30%がサンゴ礁に生息すると言われており、サンゴ礁の衰退、破滅は海洋生態系に計り知れない影響をもたらす。
代替シーフードで最初にシリーズBへ進出
海洋生態系の保全のために、世界中で代替シーフードの開発が進んでいる。Good Catchはその中でも最も海外進出した企業といえる。
代替シーフードに取り組む企業で、シリーズBラウンドに進んだ最初の企業でもある。
2020年に植物性・細胞培養による代替シーフード企業に集まった投資額は8000万ドルと、2019年の4倍を記録した。代替肉、代替乳製品に続く注目のカテゴリーとなっており、細胞培養による代替シーフードも早ければ年内に販売される段階まで来ている。
最近では、植物ベース、細胞培養だけでなく、微生物発酵により代替シーフードの開発を手掛けるAqua Cultured Foodsが登場するなど、代替シーフード領域に参入するプレーヤーの多様化が進んでいる。
参考記事
Good Catch Makes Its Vegan Seafood Asian Debut In Singapore
関連記事
アイキャッチ画像の出典:Good Catch