デリバリー

ホームメイド料理のデリバリーサービスWoodSpoonが約2億円を調達、失業シェフの雇用創出に

 

このニュースのポイント

 

在宅シェフと個人をつなぐデリバリーサービス

●失業したシェフの雇用創出

●シードラウンドで約2億円を調達

●1年で登録ユーザー数8000人を超える

●現在はニューヨーク州で展開

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大によりロックダウンされた都市では、多くの人が自粛し、デリバリーで食事する機会が増えた。

ロックダウンにより仕事を失った人の中には、レストランのシェフがいる。レストランがクローズされてしまっては、働き場所がない。

そんな失業したシェフたちの「在宅ワーク」を可能とするサービスが生まれた

自宅でシェフが作った料理を、個人宅に配達するサービスWoodSpoonだ。

ニューヨークに誕生して1年ほどで、登録ユーザーが8000人を超えるほどになった。

隣の家が「レストラン」に

WoodSpoonはホームシェフと個人をつなげるデリバリーサービスを展開する。

ユーザーは専用アプリから、自分が住むエリアで注文できるメニューを確認する。注文すると、ホームシェフが作った暖かい料理が届く仕組みとなっている。

注文を受けたシェフには、アプリ上のタイマーがどれくらいで料理を完了させないといけないかが表示される。ユーザーは調理や配達の状況を、アプリで確認できる。

配達はWoodSpoonが担当し、料理はホームシェフが担当する。決済はアプリ内で完了し、WoodSpoonが注文ごとに手数料を受け取る仕組み。

シェフはレストランで働けない期間中も、自慢の腕をふるえるわけだ。

ナポリ出身のシェフGiuseppe 彼の料理はブルックリンで注文できる 出典:WoodSpoon

創立から1年ほどで、登録されたシェフ数は100人、ユーザー数は8000人を超えた

キッチンの検査や食事の評価などの調査をクリアしたシェフだけが、アプリに掲載される。

7月の報道によると、半分以上がプロのシェフで、半分弱は上記写真のGiuseppeのような料理愛好家だという。

月間売上は前月比15000ドル(約156万円)を超えるという。シェフの多くはニューヨーク市の著名レストランに勤務していたが、パンデミックにより失業した人たちのようだ。

WoodSpoonはこのほど、シードラウンドで最初の資金調達に成功した。調達した資金は200万ドル(約2億円)。

ラウンドには、アーリーステージに出資するベンチャーキャピタルWorld Trade Ventures、ニューヨークのベンチャーキャピタルSilvertech Venturesが参加した。

今回調達した資金で、ニューヨークやほかの州での展開を拡大していく予定だという。

州ごとに異なる法律が障壁に

ホームメードの料理をデリバリーするサービスは、米国ではまだ広まっていない。この理由は、州ごとの法律にある。

自宅で作った料理の販売については、州によって法律が異なる

WoodSpoonは安全性を確保するため、シェフとの面談、食事の評価、キッチンの検査など、厳格な調査を実施している。

シェフはさらにニューヨークの規制と許可要件を遵守する必要があるが、シェフが作る食品のタイプによって適用される規制は異なる。そのため、多くのシェフは要件を満たすため、自身の商業施設を使っているという。

出典:WoodSpoon

WoodSpoonは2019年に設立されたスタートアップ。

ニューヨークに住むイスラエル出身のOren SaarMerav Kalish Rozengartenが立ち上げた。11月に3人目の共同創業者Lee Reshefがチームに加わった。

現在、WoodSpoonのサービスは、マンハッタン、ブルックリン、ロングアイランドシティ、ホーボーケン、ジャージーシティで利用できる。

今後はクイーンズ、ブロンクスにも拡大される予定だ。

 

参考記事

Homemade Food Delivery Service WoodSpoon Raises $2M

Exclusive: WoodSpoon Dips Into $2M Seed For Hand-crafted Food Marketplace

 

関連記事

  1. スーパー・薬局が自宅までやってくる!Robomartの移動型スー…
  2. アイルランド企業Evoccoは食料品レシートから気候変動への影響…
  3. デリバリー専門のスウェーデンVemblaが約7300万円を資金調…
  4. 漁業者と消費者をダイレクトにつなげるE-Fish、48時間以内に…
  5. ホームメイド料理をデリバリーするShefが約22億円を調達
  6. 米スーパー大手クローガーがドローンによる食料品配達を正式に実施
  7. ニューヨーク発・シェフと消費者をつなぐCookUnity|パーソ…
  8. 食料品ドローン配送を展開するMannaが約27億円を調達、今年第…

おすすめ記事

牛を使わずにモッツアレラチーズを開発する米New Cultureが約28億円を調達

アニマルフリーなモッツアレラチーズを開発する米New CultureはシリーズA…

2020年の代替タンパク質投資額は31億ドルとGFIが報告、過去10年の投資額の半分が2020年に集中

GFIは、2020年は植物ベースの肉、卵、乳製品など動物性食品に代わる代替品を開…

ビヨンドミートが代替ミルクにも参入か?ビヨンドミルクの商標を出願

アメリカの代表的な代替肉企業ビヨンドミートが、代替ミルクへの参入を進めている可能…

ドイツの培養脂肪Cultimate Foodsが約1億円を調達、植物肉用の脂肪提供を目指す

ドイツを拠点とする培養脂肪スタートアップのCultimate Foodsがプレシ…

インドネシア企業Mycotech Labが開発した動物を犠牲にしないキノコ由来の皮革Myleaとは

インドネシアにはテンペという伝統食品がある。テンペは日本の納豆のように大…

フィンランドの研究チームが細胞培養によるコーヒー生産に成功

フィンランド技術研究センター(VTT)の研究チームは、細胞農業によりコーヒー豆を…

次回Foovoセミナーのご案内

精密発酵レポート好評販売中

培養魚企業レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(03/28 17:27時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(03/28 21:10時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(03/28 14:42時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(03/29 07:37時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(03/28 17:17時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP