コロナ後に誕生した中国発の代替肉スタートアップ企業Hey Maetが再び資金調達に成功した。
プレシリーズAラウンドで数百万ドルを調達(調達額は非公開)。これは過去4ヶ月でHey Maet の2回目の資金調達となる。
シリコンバレーの国際的なアクセラレータープラットフォームOnePiece Workのバックアップを受け、Hey Maetは2020年に上海に設立された。
Hey Maetの植物ベースの代替肉は、わずか8ヵ月で、北京、上海、広州など主要都市のレストランのメニューに導入されている。
目次
調達した資金で研究開発に注力

出典:Hey Maet
中国のほとんどの代替肉企業と異なり、Hey Maetは独立した研究施設を持つ中国初の植物肉企業。
Hey Maetの研究チームには、カリフォルニア大学バークレー校、ウィンスコンシン大学、MTI、ヘルシンキ大学出身の植物肉専門家が結集している。
創業者Chichi Hong自身も10年以上にわたりベジタリアンで、代替肉市場の視察のためアメリカ、カナダ、欧州、イスラエルの培養肉、3Dプリント肉の企業などを訪問している。

Hey Maetの創業者Chichi Hong 出典:Hey Maet
Chichiは今回の資金調達について次のように語り、調達した資金でさらに研究開発に力をいれる姿勢を示している。
「食品開発には良心が必要です。アメリカなど多くの植物ベースで代替肉開発に取り組む企業を見てきましたが、こうした企業は莫大な時間を研究開発に投入しています。マーケティングに資金をあてるのは開発の後、つまり、投資する価値のある製品ができてからということです。
マーケティング費用が足りないことはまずありません。足りないのは、マーケティングする価値のある優れた製品なのです」
世界水準の開発技術を獲得
Hey Maetによると、植物ベースの代替肉開発で難しいのは、植物タンパク質を伸ばして動物タンパク質の形状や構造に形作ることだという。
欧米の植物肉企業の多くは湿式押出成形(High-moisture exculsion)を採用しており、この技術は、長きにわたり欧米の植物肉企業によって独占されていた。

出典:Hey Maet
同社は最近、植物ベースの研究で世界的に著名な中国研究者らをチームに招き、湿式押出成形を使った代替肉の開発にあたっている。この研究チームは、中国で唯一、湿式押出成形の技術を有する。さらに、中国食品科学技術学会が公布した団体標準「植物肉製品」の中核となる作成者・発起人でもあるという。
団体標準とは、中国の法律に基づき制定された規格の1つ。
国家標準、業界標準、地方標準、団体標準、企業標準がある。
Hey Maetは湿式押出成形技術を活用し、植物ベースの代替肉で課題となる肉汁、構造、色、食感の改善に取り組んでいく構えだ。強化された研究チームによって、Hey Maetは世界水準の代替肉技術にさらに近づくことになる。
本物の肉に近いのに低カロリー

出典:Hey Maet
Hey Maetの代替肉は大豆、えんどう豆、米を主要原料とする。
「Meet」のスペルを「Maet」と一字変え、より健康的で環境に優しい社会をつくることを目指している。
Hey Maetの代替肉は、通常の豚肉と比較すると、脂肪を45%カット、カロリーを40%カット、タンパク質を50%増量しているという。

出典:Hey Maet
現在、バーガー用牛肉パテ、牛ミートボール、豚ひき肉、ソーセージ、フライドチキンなどのラインナップがある。Hey Maetは飲食店だけでなく、企業向けにカスタマイズした植物肉も提供している。
第一世代の製品に対するフィードバックを受けて、研究チームは第二世代となる植物肉を作り出した。新しい製品は、火鍋用肉団子(火鍋は中国のしゃぶしゃぶ)、小酥肉(豚肉の衣揚げ料理)、小籠包など、さまざまなタイプの水餃子となる。
腾讯新闻によると、新しく開発された小酥肉は、食感・味は本物とそっくりでありながら、カロリーが34%少ないという。
4ヶ月で2回目の資金調達

出典:Hey Maet
Hey Maetは2020年8月にも1000万元(約1億6千万円)の出資を受けていた。
前回のラウンドには、Shuangta Food(双塔食品)、天図資本(Tiantu Capital)、UpHonset Capitalが参加。
出資者に米国の代表的なフードテック企業ビヨンドミートにえんどう豆を提供しているShuangta Food(双塔食品)がいたことが注目された。Shuangta Foodは世界の約4割のえんどう豆を生産する企業として知られる。
今回のラウンドには、微光創投(Welight Capital)、君盛投資(Junsheng Investment)など、中国のファンドも参加した。
競争が激化する中国の代替肉市場
独立した研究施設を持ち、湿式押出成形の技術を手にしたHey Maetは優位に見えるが、中国の代替肉市場の競争は激しさを増している。
中国にはZhenmeat、Starfield、Hero Protein、TN Meat、HaoFoodなどの植物性代替肉企業がいる。これらのほとんどが2020年に誕生していることは注目に値する。
北京発のZhenmeatは、植物性のザリガニと豚ひれ肉を開発。
Starfieldは深圳発のスタートアップで、これまでの総調達額は1010万ドルと資金調達額では中国最大を誇る。昨年11月には、中国KFCのライバルとなるDicosが中国本土2500を超える店舗でチキンバーガーメニューにStarfieldの代替肉追加を発表した。

出典:Hey Maet
Hey Maetと同じく上海発のHero Proteinは、2020年の誕生まもなく9月に資金調達に成功。研究チームには、ビヨンドミート、インポッシブルフーズなど植物性代替食企業の元研究開発管理職がメンバーとして参画している。
香港発のTN Meatも2020年に誕生した植物肉スタートアップで、香港大手のECサイトですでに商品を販売している。今年には中国本土への進出を狙っている。
ピーナッツを原料に代替肉を開発するHaoFoodも上海発。今年中にレストランに導入し、資金調達を実施する予定だ。
中国市場を巡っては、米ビヨンドミートが昨年冬に期間限定で新作となる代替豚ひき肉を上海でリリースした。中国現地に建設されるビヨンドの工場の本格稼働が迫っており、今年の中国代替肉市場は昨年に増して注目される。
参考記事
36氪首发|植物肉品牌「Hey Maet」完成数千万元Pre-A轮融资,引入世界级高湿挤压技术团队
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