「普段買い物をする消費者は、『動物福祉や持続可能性などについて関心を持っている』と調査で回答することが多いが、少なくとも多くのアメリカ人にとってそれらは購入するときの主要な検討材料にはならない」と、植物性代替鶏肉のスタートアップであるNowadaysの共同創業者はコメントしている。
「フレキシタリアンが動物性ではなく植物性の肉を購入するとき、その動機になるのは圧倒的に、健康という観点である」という。
健康に焦点を当てた植物肉に力を入れるアメリカ企業Nowadaysは、シードラウンドで700万ドル(約9億円)の資金を調達した。新しい植物性鶏肉の商業化や、独自のホールカット肉製造技術のプラットフォームをスケール化していく。
同社は植物肉カテゴリー内の今回の調達ステージにおいて、もっとも高い評価を受けた企業の一つになる。これは、健康的で美味しい植物性食品への需要の増加と、これらの高まる需要に応えられるNowadays独自の優位性を反映している。
7つの材料のみで作られた「最高級の」フライドチキン
Nowadaysは、7つのシンプルかつ持続可能な材料のみで作られた「最高級の」フライドチキンのような味や食感をもった植物性のチキンナゲットを提供している。
現在多くの動物・植物肉は理想の食感を再現するために結合剤や増粘剤、その他添加物に頼る必要がある一方、Nowadaysの技術とレシピは、添加物を加えずにシンプルな原料でホールカット植物肉を作ることを可能としている。
さらに、Nowadaysの植物肉は動物肉と同じように機能するため、既存の製造仕上げラインに簡単に組み込むことができ、迅速かつ安価な量産を可能にするという。今後、Nowadaysの低コスト製造技術と既存の生産ラインへの適合機能により動物肉と同等のコストで提供できるようになり、地球にとってより良い選択肢を探している消費者に向けて栄養価の高い植物肉を届けることができると予想される。
他の植物肉企業では、湿式押出成形技術を採用している企業が多いが、それには温度制御が必要で、費用が高くついてしまう。これに対し、Nowadaysが独自に開発し特許出願中である低水分押出成形プロセスでは、使用する材料も少なく安価で製造できるためスケール化の難易度を下げることができる。
食肉加工会社の支援も受けさらに製造拡大を加速
今回のシードステージでは、健康や持続可能な食の分野へ投資をするベンチャーキャピタルであるStray Dog Capitalが主導し、4世代目となる食肉加工・包装会社のStandard Meat Companyによる戦略的サポートが加わった。Standard Meat Companyは、全国の主要なレストラン、主要なスーパーマーケット、クラブストアに食肉などを提供している。
このような大手のメーカーのサポートにより、既存の生産ラインに組み込み、生産拡大するというNowadaysのホールカット植物肉の生産が確かなものとなる。このパートナーシップによって、Nowadaysのビジョンである、栄養満点な植物肉をアメリカや他の国で多くの消費者に届けるという未来へ着実に近づいていくだろう。
シンプルな材料だけでなく、栄養価も高い植物性鶏肉
Nowadaysのチキンナゲットに含まれている7つの材料とは、遺伝子組み換えでない黄えんどう豆タンパク、全粒粉、コールドプレスのひまわり油、カエデ繊維、濃厚な肉の旨味を出すための酵母ときのこの抽出物、ろ水(純水)である。
Nowadaysのナゲットは1食85g当たり13gものタンパク質とわずか120キロカロリー、脂質は3.5g(飽和脂肪酸は0g)、ナトリウムは250mg(通常のチキンナゲットは300-500mg)である。これは、主要な有機・天然素材のナゲット、また他の植物肉のナゲットに比べ、はるかに栄養価が優れているという。
今までは植物肉を食べる動機として「地球に優しいから」というものが主流だったが、今後は「健康にいいから」「安いから」という理由で植物肉を購入するのが当たり前になる時代がやってくるかもしれない。
参考記事
Nowadays Closes $7 Million Seed Round to Accelerate Health-Focused, Plant-Based Chicken
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アイキャッチ画像の出典:Nowadays