3Dプリンター

Novameatがスペイン政府から約3100万円を調達、世界トップ10のレストランと提携

 

3Dプリンターを活用してステーキ肉を作るスペイン企業Novameat(ノバミート)が25万ユーロ(約3100万円)の出資を受けた。

今回の資金調達はスペイン政府によるもので、スペイン産業技術開発センター(CDTI)のNEOTECプログラムが出資した。

Novameatは今回の資金で、3Dプリント肉の生産強化に乗り出す。

資金調達のニュースと共に、同社の植物ベース代替肉がミシュラン二つ星レストランで提供されることも発表された。

躍進が続いた2020年

Novameatは独自の微細押出成形技術を持ち、微細なレベルで植物ベースのタンパク質を3Dプリントする。

これは、NovameatのCEOであるGiuseppe Scionti氏がカタルーニャ工科大学でバイオエンジニアリングの助教授だった時に開発したもの。

CEOのGiuseppe Scionti氏 出典:Novameat

2020年はNovameatにとって躍進続きの1年となった。

昨年開催されたスマートキッチンサミット2020では、植物ベースの足場と培養肉のハイブリッドタイプの代替肉試作品を開発していることを発表した。

2020年1月には、3Dプリント肉となるSteak2.0を発表。歯ごたえ、外観いずれも本物の牛肉ステーキそっくりに仕上げた製品で、製造コストは50gあたり1.5ドル(約155円)だという。

NovameatのSteak2.0 出典:Novameat

6月には3Dプリンター製ポークを発表した。エンドウ豆、米、オリーブオイル、海藻、ビートの絞り汁を材料に使い、同社の微細押出成形技術を用いて肉の歯ごたえを再現している。

昨年の報道で、2~3年以内に自社の微細押出成形技術で植物肉企業とライセンス契約したいとし、これ先立ち、年内に欧州レストランへの小規模販売をしたいとしていた。 

コロナウイルスの感染拡大により時期は若干遅れたものの、この計画は着実に進行していたようだ 

ミシュラン二つ星レストラン「Disfrutar」との提携を発表

Novameatはこのほど、Disfrutarというミシュラン二つ星レストランとの提携を発表した。

ミシュラン二つ星レストランとは、極めておいしく、

遠回りをしてでも訪れる価値がある料理を提供するレストランをさす。

 

Disfrutarは世界のトップレストラン50で、9位にランクインしている。

このレストランの3名のシェフは、分子ガストロノミーに熟練しているという。

NovameatのチームとDisfrutarのシェフたち 出典:Novameat

Disfrutarの料理ラボにはNovameatの3Dプリンターが設置されており、同社の特許技術である微細押出成形技術をいつでも使用できる状態にある。 

Novameatのイノベーション研究所以外に同社3Dプリンターが導入されたのはDisfrutarが初めてだという。 

ミシュラン二つ星レストランとの提携について、Scionti氏は次のように語っている。

「代替タンパク質業界のベンチマークを定めるため、トップクラスのシェフをコラボすることを決めました。バルセロナには最高級のレストランがあります。

植物ベースの代替肉企業がミシュランの星付きレストランとコラボする事例はありますが、世界トップ10にランクインするレストランと提携した会社はまだありません。当社が初めてです」

2021年に追加の資金調達を予定

Novameatのチーム 出典:Novameat

Novameatは今年、さらに資金調達を実施するとしている。

レストランでの販売、培養肉業界へのサービス開始を予定しており、「2021年は最も重要な1年になる」としている。そのなかで最も重視するのが、生産のスケールアップだ。

「微細押出成形技術を用いた産業用3Dプリンターを使い、スケールアップを進めていけば、1時間に植物ベースの代替ブロック肉を数トン生産できるようになるでしょう」と開発担当のAlexandre Campos氏が語っており、今回の資金を使って量産化に乗り出すようだ。

スペイン政府が代替肉企業に出資するのは今回が2回目となる。

Novameatに出資したスペイン産業技術開発センター(CDTI)のNEOTECプログラムは、昨年の1月にHeura Foodsという代替肉企業にも出資している。

 

参考記事

Novameat Gets €250,000 From Spanish Govt, Partners With Culinary Gastronomy All-Star Team From Disfrutar

NOVAMEAT Gets Funding From Spanish Government, Launches Whole-Cuts into No.9 World’s Best Restaurant

 

関連記事

 

関連記事

  1. 培養魚のB2B製造ソリューションの提供を目指すUmami Bio…
  2. 全卵タイプの植物性代替卵を開発するYo Egg、アメリカで小売進…
  3. GOOD Meat、シンガポールでアジア最大の培養肉工場を着工
  4. 【連絡】精密発酵レポートの購入特典・ミニレポートのご提供時期につ…
  5. GOOD Meat、Upside Foodsの2社がUSDAの表…
  6. スピルリナ由来の代替肉、スナックバーを開発するインド企業Naka…
  7. 米パーフェクトデイ、精密発酵による甘味タンパク質開発で市場参入か…
  8. 杏子の種から植物ミルクを開発するKern Tecが約19億円を調…

おすすめ記事

まだ食べられる食品を定期宅配するImperfect Foodsが約99億円を調達

アメリカ農務省(USDA)によると、アメリカでは供給される食料の30-40%が廃…

培養魚を開発するBlueNaluが史上最大の約62億円を調達、パイロット工場の完成・年内にテスト販売へ

細胞を培養して水産物を開発するBlueNaluが6000万ドル(約62億円)を調…

材料毎に投入タイミングを制御するスマート調理ロボットOliver

ほかの料理の準備で焼きすぎてしまったり、ゆですぎてしまったり、料理には失敗がつき…

精密発酵でカゼインを開発するタイのMuu、来年の商用生産を目指す

精密発酵によるタンパク質開発が世界的に進んでいる。精密発酵は、微生物に目的成分の…

Novameatが約7億円を調達、独自3Dプリント技術による代替ステーキ肉製造の更なるスケール化へ

独自の3Dプリント技術を使い植物性の代替ステーキ肉を製造するバルセロナのスタート…

オランダ政府が細胞農業に約82億円の出資を発表、国の成長計画として培養肉産業を支援

オランダ政府は、国家成長基金(National Growth Fund)の一環と…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(09/02 15:49時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/03 02:04時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(09/03 05:47時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(09/02 21:49時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(09/02 13:44時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(09/03 01:04時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP