代替プロテイン

スイスの研究チームが研究室で細胞培養によるチョコレートを開発

 

細胞培養による培養肉の開発が世界的に進んでいるが、今後はチョコレートも工場で作られるかもしれない。

スイスの研究チームは、細胞培養によるチョコレートを製造した。

チューリッヒ応用科学大学(ZHAW)の研究チームは、細胞培養により直接チョコレートが製造できることを発表した。チームによると、研究室で細胞から直接チョコレートが製造されたのはこれが初となる。

出典:swissinfo.ch / Christian Raaflaub

研究チームを率いるのは、細胞培養部門の責任者であるRegine Eibl教授。このチームは製薬業界向けの細胞培養の研究に大部分の時間を割いており、チョコレートを作る予定はなかったという。

「このアイデアは同僚であるTilo Hühn氏が思いついたものです。

彼は、カカオ豆から植物ベースの細胞培養物を抽出することを試せるかどうか私に尋ねました。

細胞培養物が、チョコレートと感じる知覚と感覚効果にとって非常に重要なポリフェノールを生成するかどうかを確認したかったのです」(Regine Eibl教授)

チームは、カカオの表面を洗浄し、豆の一部を抽出、4分の1に切断して、完全な暗闇の環境下で29℃の培地で培養した。

約3週間後、豆の切断面に「カルス」と呼ばれるかさぶた状のものが生成された。

出典:swissinfo.ch / Christian Raaflaub

研究者はそれを振とうフラスコにいれ、浮遊培養した後、バイオリアクターで増殖させた。

得られたバイオマスを粉末にし、ココアバター、砂糖、レシチンなどを加えたチョコレートが動画で紹介されている。

出典:swissinfo.ch / Christian Raaflaub

このプロセスにより、好きなだけチョコレートを作ることができるという。ケフィア菌でヨーグルトを作るように、必要な時にだけ食べることが可能となる。

チョコレートの需要は急増している。チョコレートの原料調達には、森林破壊問題が指摘されている。また、児童労働を伴う容認できない状況も指摘されている。

細胞培養によるチョコレートは、原料調達のための土地の使用、農薬が不要となり、輸送をなくしサプライチェーンのコストを下げるほか、児童労働の解決につながる可能性がある。

しかし、研究チームは、カカオ農家から仕事を奪うつもりはないと強調する。

「私たちの主な目標は、農業を飛び越して農家の生活を奪うことではありません。代替案をテストすることです。

カカオ豆の伝統的な生産を時代遅れにすることはありませんし、またそうしたくもありません」 (Tilo Hühn氏)

現在、チームが開発したチョコレートは市販のチョコレートよりはるかに高価なものとなっている。

出典:swissinfo.ch / Christian Raaflaub

Hühn氏は、培養肉の開発と比べて、研究室で作られるチョコレートは「明らかに安い」とし、大量生産できれば価格を下げられると語る。

しかし、チームは当面は、大量生産を計画していない。引き続き、細胞培養によるチョコレートの生産プロセスと、従来の生産プロセスの比較を続ける。

 

参考記事

Lab-developed chocolate passes the taste test

Lab-Grown Chocolate Could Be The Future of Sustainable Confectionery

 

おすすめ記事

アイキャッチ画像の出典:swissinfo.ch / Christian Raaflaub

 

関連記事

  1. マイコプロテイン企業Mycorenaが正式な倒産申請を発表、新た…
  2. Finless Foodsが約40億円を調達、培養マグロの製造と…
  3. プラントベース×精密発酵を手掛けるAll G Foodsにオース…
  4. Fazerがソレインを使用した世界初のチョコレートバーをシンガポ…
  5. Oobli、精密発酵甘味タンパク質市場の拡大へ―Ingredio…
  6. 米Nepra Foods、製パン用の代替卵白粉末の商用生産を開始…
  7. 米培養肉Upside Foods、カリフォルニアに培養肉工場を開…
  8. 二酸化炭素、水素から脂肪を開発する米Savorがバター試作品を開…

おすすめ記事

食品製造で発生する廃糖水で菌糸体粉末を作るHyfé Foodsが約2.6億円を調達

Hyfé Foodsは低炭水化物、高タンパク質の菌糸体粉末の生産を目指す米国イリ…

Yコンビネーターが支援する米培養肉企業Orbillion Bioは高級肉開発で差別化を図る

培養肉スタートアップ企業Orbillion BioがYコンビネーターのWinte…

マクドナルド、ビヨンドミートと開発した植物性マックナゲットをドイツで発売

マクドナルドはビヨンドミートとの提携を通じて、ドイツのマクドナルド1400店舗で…

800DegreesとPiestroが提携し完全自動のピザ自販機製作を開始

自動ピザ製造販売機を製作しているPiestroは昨年8月、大手ピザレストランの8…

培養サーモンの米Wildtype、レストラン・小売との提携を発表

細胞培養による培養サーモンを開発するアメリカのWildtype(ワイルドタイプ)…

ドイツのThe Cultivated B、EFSAに向けた培養ソーセージの承認申請手続きを開始

ドイツの培養肉企業The Cultivated Bは14日、欧州食品安全機関(E…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP