海外の自動販売機の中には、これまでの決まったものだけ注文する仕組みではなく、ドリンクやフードの調理・トッピング機能が本体に搭載された自販機が登場している。
2020年に話題になった『フードテック革命』の中で、こうした次世代自販機は自販機3.0と紹介されている。
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義
自販機3.0は、2020年の新型コロナの感染拡大を受けて需要が高まっており、新しいスタートアップが続々と登場している。
その中でも、Rotenderはお酒を含むドリンクに特化した自動販売機を開発している。
コーヒーなどドリンク用自販機ロボットの多くがロボットアームをつけるのに対し、Rotenderは四角いボックス型で、ロボットアームは搭載していない。
その理由として、「スピード」「導入コスト」をあげている。
ナイトクラブなどお酒が提供されるお店では、すべてのドリンクがシェイクするフリップスタイルではない。
お酒をグラスに注ぐという単調だが、大量に発生する作業をロボットに任せようというのがRotenderの狙いとなる。
Rotenderには16本のボトル(1ボトルは1L)と5種類のシロップがあり、15秒で1杯のドリンクを作れる。
在庫をフルに補充すれば、最大350杯を提供できる。
顧客がスマホのQRコードを自販機にスキャンすると、アプリにRotenderのメニューが表示される。顧客はドリンクのメニューを選んで、決済してから、グラスを自販機に置き、再度QRコードをスキャンする。
気になるのは年齢確認だろう。現在、Rotenderは年齢確認を現場で行っているが(おそらく人が確認している)、今後はソフトウェアを導入したいとしている。
Rotenderはロボットだが、飲みすぎ防止にも役立つ。
注文はアプリを通じて行われるため、自販機は個々の顧客の注文履歴を把握している。同じ顧客が1時間にたくさん注文をする場合は、その顧客には提供を停止するようになっている。
他社の中には「ロボットらしさ」を演出するために、ロボットアームを使うロボット型バーテンダーを開発している企業もある。
Rotenderがロボットアームを導入せず、お酒の提供に注力する方向性を選んだ理由は、速さと安さを重視したためだという。
Rotenderは人通りの多い場所でお酒を大量生産することを想定している。
こうした場所で、ジン、ラム、トニックベースの簡単なドリンクをRotenderが担当し、より複雑なドリンクは人間のバーテンダーが担当するイメージとなる。
Rotenderのリース価格は1ヵ月999ドル。ロボットアーム付きにすると、リース価格は何万ドルになるという。
ロボットアームは演出効果としては抜群だが、高価なロボットアームをつけないことで、飲食店にとっては現実的な選択肢となる。装置のリース台のほか、1杯毎の手数料もRotenderの収益となる。
現在、カリフォルニア州とネバダ州の顧客にRotenderをリースしており、今後はロサンゼルスのバーでパイロット運用をする予定だとしている。
参考記事
Rotender is a Drink Making Robot Built for High-Volume Bars