レストランテック

未来のバーテンダーはロボット?Rotenderはドリンクを大量に作る自販機ロボットを開発

 

海外の自動販売機の中には、これまでの決まったものだけ注文する仕組みではなく、ドリンクやフードの調理・トッピング機能が本体に搭載された自販機が登場している。

2020年に話題になった『フードテック革命』の中で、こうした次世代自販機は自販機3.0と紹介されている。

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/20 04:45時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています

 

自販機3.0は、2020年の新型コロナの感染拡大を受けて需要が高まっており、新しいスタートアップが続々と登場している。

その中でも、Rotenderはお酒を含むドリンクに特化した自動販売機を開発している。

出典:Rotender

コーヒーなどドリンク用自販機ロボットの多くがロボットアームをつけるのに対し、Rotenderは四角いボックス型で、ロボットアームは搭載していない。

その理由として、「スピード」「導入コスト」をあげている。

ナイトクラブなどお酒が提供されるお店では、すべてのドリンクがシェイクするフリップスタイルではない。

お酒をグラスに注ぐという単調だが、大量に発生する作業をロボットに任せようというのがRotenderの狙いとなる。

Rotenderには16本のボトル(1ボトルは1L)と5種類のシロップがあり、15秒で1杯のドリンクを作れる

在庫をフルに補充すれば、最大350杯を提供できる

顧客がスマホのQRコードを自販機にスキャンすると、アプリにRotenderのメニューが表示される。顧客はドリンクのメニューを選んで、決済してから、グラスを自販機に置き、再度QRコードをスキャンする。

気になるのは年齢確認だろう。現在、Rotenderは年齢確認を現場で行っているが(おそらく人が確認している)、今後はソフトウェアを導入したいとしている。

出典:Rotender

Rotenderはロボットだが、飲みすぎ防止にも役立つ

注文はアプリを通じて行われるため、自販機は個々の顧客の注文履歴を把握している。同じ顧客が1時間にたくさん注文をする場合は、その顧客には提供を停止するようになっている。

他社の中には「ロボットらしさ」を演出するために、ロボットアームを使うロボット型バーテンダーを開発している企業もある。

Rotenderがロボットアームを導入せず、お酒の提供に注力する方向性を選んだ理由は、速さと安さを重視したためだという。

Rotenderは人通りの多い場所でお酒を大量生産することを想定している。

こうした場所で、ジン、ラム、トニックベースの簡単なドリンクをRotenderが担当し、より複雑なドリンクは人間のバーテンダーが担当するイメージとなる。

Rotenderのリース価格は1ヵ月999ドルロボットアーム付きにすると、リース価格は何万ドルになるという。

ロボットアームは演出効果としては抜群だが、高価なロボットアームをつけないことで、飲食店にとっては現実的な選択肢となる。装置のリース台のほか、1杯毎の手数料もRotenderの収益となる。

現在、カリフォルニア州とネバダ州の顧客にRotenderをリースしており、今後はロサンゼルスのバーでパイロット運用をする予定だとしている。

 

参考記事

Rotender is a Drink Making Robot Built for High-Volume Bars

 

 

関連記事

  1. Chipotleがトルティーヤチップス製造ロボット「Chippy…
  2. フランス・パリにPazziによるピザロボットレストランがオープン…
  3. 3分でサクサクのピザを焼くBasil Streetのピザ自販機
  4. Hyphenが世界初のロボットメイクラインを発売、レストラン作業…
  5. テックマジック、炒め調理ロボット「I-Robo2」を駅構内に初導…
  6. インドNymbleの料理ロボットJulia(ジュリア)がSKS2…
  7. Numilkが家庭用植物ミルクメーカーを発表、クラファンの累計支…
  8. 機械学習でフードロス削減に取り組むFloWasteが約1億240…

おすすめ記事

ロティ、ピザなどのフラットブレッドを90秒で作る家庭用フードロボットRotimatic

コロナウイルスの影響によりレストランの閉鎖を経験した今、デリバリー、家庭用フード…

オーストラリアのCauldron Fermが約9.3億円を調達、「より小さく、よりスマートな」アジア最大の精密発酵施設ネットワーク構築へ

オーストラリアに新たに設立された精密発酵スタートアップのCauldron Fer…

Believer Meats、培養肉の生産拡大に向けてGEAと戦略的パートナーシップを締結

イスラエルの培養肉企業Believer Meatsは先月26日、効率的かつ持続可…

米AQUA Cultured Foodsがギンコバイオワークスと提携、発酵由来シーフードの上市に向けて加速

バイオマス発酵で代替シーフードを開発する米AQUA Cultured Foods…

ユニリーバ傘下の代替肉ブランドThe Vegetarian Butcherが、精密発酵由来の卵白タンパク質の使用で米The EVERY Companyと提携

グローバルな代替肉ブランドであり、ユニリーバが2018年に買収したThe Veg…

二酸化炭素、水素から脂肪を開発する米Savorがバター試作品を開発

カリフォルニア州サンノゼに拠点を置くSavorはこれまでと異なるアプローチで代替…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(04/20 15:00時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/20 00:47時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/20 04:45時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/19 21:02時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/20 13:06時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/20 00:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP