代替プロテイン

タイソンが出資するNew Wave Foodsが代替エビをアメリカの飲食店で発売

 

アメリカのスタートアップ企業New Wave Foodsは、アメリカの飲食店で植物性代替エビを発売することを発表した。

海藻と植物を原料とする代替エビ「New Wave Shrimp」が同社初の商品となる。

プレスリリースによると、今年中に商品ラインナップを増やし、2022年にはロブスター、ホタテの貝柱、カニなどエビ以外の代替シーフードも展開するとしている。

タイソンフーズから出資を受けるNew Wave Foodsは商品発売のアナウンスとともに、Dot Foodsと非独占販売権を締結したことを発表した。

これにより、北アメリカのレストランでNew Wave Shrimpが販売される。

出典:New Wave Foods

New Wave Shrimpは海藻と植物を原料としており、エビのようにグリル、焼く、ソテー、揚げるなどできる。

100%ビーガンなだけでなく、グルテン、大豆、小麦などのアレルギーになる原料は含まず、遺伝子組換え原料も使用していない。エビアレルギーの人でも安心して食べられる

エビはアメリカで最も消費される水産物

New Wave Foodsはエビの80%が消費される外食産業に焦点をあてているが、同社がエビにこだわるのには理由がある。

プレスリリースによると、エビはアメリカで最も消費される水産物とされる。その消費量はサケ、マグロの2倍になるという。

アメリカで高い人気のあるエビだが、その漁獲では、使用される網に対象としていない魚も捕らえられてしまう混獲が問題視されている。

エビ漁におけるエビの漁獲量よりも混獲量の方が多いデータも報告されており、カメや魚類の大量死の原因となる。

出典:New Wave Foods

これに代わる養殖エビはマングローブの伐採を伴う。多様な生物が暮らすマングローブの減少は、地球の生態系に長期的な影響をもたらす。

New Wave Foodsは、生態系に影響をあたえないプラントベースの代替エビを開発することで、エビの養殖や乱獲に伴う環境問題の解決を目指している

高まる代替シーフードへの注目

New Wave Foodsのほかにも代替エビに取り組むプレーヤーはいる。

The Plant Based Seafood Coはコンニャク粉末をベースにしたさまざまな代替エビを開発しており、2020年初頭から小売で販売している。

Sophie’s Kitchenはコンニャクとえんどう豆タンパク質を使って、エビ、サケ、ツナ、カニなどさまざまな代替水産物を販売している。

エビに限定しなければ、細胞ベース・植物ベースで代替シーフードに取り組む企業のニュースは増えている。

出典:New Wave Foods

GFIによると、2020年に代替シーフード企業に集まった投資額は前年の4倍になった。

代替タンパク質の主要分野にはあげられていなかったものの、2020年だけで過去5年分の調達額の66%に達している。

予定どおりにいけば、来年にはアメリカのレストランにアレルギーの心配のないロブスター、ホタテ、カニが登場するだろう。

 

参考記事

New Wave Foods® Launches Its Plant-Based Shrimp to Foodservice Companies throughout the U.S.

New Wave Foods Debuts Plant-Based Shrimp in US Foodservice Companies

Tyson-Backed New Wave Foods Launches Its Seaweed Based Shrimp in the USA

 

関連記事

 

アイキャッチ画像の出典:New Wave Foods

 

関連記事

  1. ADMが精密発酵スタートアップNew Cultureと戦略的パー…
  2. スピルリナ由来の代替肉、スナックバーを開発するインド企業Naka…
  3. シンガポールの培養魚企業Umami Meatsが日本進出を発表
  4. アニマルフリーな乳製品を開発する英Better Dairyが約2…
  5. 『ミート・ザ・フューチャー~培養肉で変わる未来の食卓~』が6月9…
  6. 6つの豆をベースに代替魚を開発する米Good Catchがシンガ…
  7. イスラエルの精密発酵企業Remilk、アメリカで上市を実現
  8. 【世界初】Shiok Meatsが試食会で培養カニ肉料理を発表

おすすめ記事

植物性3Dプリント肉を開発するRedefine Meatが約155億円を調達

3Dプリンターによる代替肉を開発するイスラエル企業Redefine Meatが1…

NewFishが微細藻類由来のタンパク質粉末を開発、米国スポーツ栄養市場進出を目指す

微細藻類を活用した代替タンパク質を開発するニュージーランドのNewFishは今月…

菌糸体ステーキ肉の開発に挑むスペイン企業Libre Foods

日本では大豆ミート、ソイミートという言葉が浸透しているが、海外では代替肉の原料=…

肉屋出身者が立ち上げたIvy Farm|2023年までに英国で培養ソーセージの市販化を目指す

イギリスの培養肉スタートアップIvy Farmは、2023年までにイギリスの小売…

3Dプリンターを活用する上海企業CellXが培養豚肉のサンプルを発表

3Dプリンターを活用して培養肉を開発する中国の培養肉企業CellXが培養豚肉のサ…

チェコのBene Meat Technologies、培養ペットフードで欧州当局に登録

2024年7月18日 修正当初、販売認可と記載していましたが、その後の報道で市販前承認を必要…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(02/21 14:43時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(02/22 00:24時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(02/22 04:19時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(02/21 20:41時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(02/21 12:47時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(02/21 23:38時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP