代替プロテイン

サケ・マス・コイを開発する欧州初の培養魚Bluu Biosciencesが約9億円を調達

>> <<

 

ドイツの培養魚スタートアップ企業Bluu Biosciencesが700万ユーロ(約9億円)を調達した。

Bluu Biosciencesは細胞培養で鮭、マス、コイを開発するベルリンを拠点とするスタートアップ。

欧州で唯一、培養魚に取り組む企業となる。

細胞の不死化に成功

培養魚に取り組むプレーヤーには、アメリカのBlueNalu、エビやロブスターを開発するシンガポールのShiok Meats、魚の浮き袋とナマコを開発する香港のAvant Meats、サンフランシスコのWild Typeがある。

このグループにBluu Biosciencesが加わったわけだが、同社は細胞の不死化に成功している。

出典:Bluu Biosciences

細胞の不死化とは、長期間(通常、最低でも3ヵ月間)培養可能となることを指す。

通常、細胞は20回~25回ほど増殖を繰り返すと死んでしまう。TechCrunchの報道によると、Bluu Biosciencesは細胞を不死化することで、「最大10万回の細胞分裂が可能」になるという。

つまり、最初の「種」となる細胞を採取するために、動物に生検を毎回実施する必要がなくなる。

Bluu Biosciencesの技術は「毎回の生検」という手間をすでに排除している。

同社は2022年の終わりまでにプロトタイプを発表する予定でおり、アジア市場をターゲットにしている。

培養魚元年となりそうな2021年

今年は細胞ベースの培養肉に投資が集中している。

GFIは2020年に培養肉に集まった投資額は3億6000万ドルだと報告しているが、今年はこれを上回ることが予測される

出典:GFI

直近の例では、昨年、世界で初めて培養肉の販売承認を取得した米イート・ジャストが2億ドル(約219億円)という巨額の資金調達を実施している。

GFIはまた、2020年の代替タンパク質の中でシーフード分野にも注目

細胞培養によりシーフードに取り組む3社がシリーズAへ進んだことをあげていた。

その1社であるBlueNaluは1月に6000万ドル(約62億円)という、培養魚の領域では史上最多の出資を受けている。

培養魚はまだ市販化されていないが、各社が掲げるタイムラインを見る限り、今年は「培養魚が市場へ投入される最初の年」となる可能性が高い。

前述のBlue Naluは今年中に培養魚のテスト販売を実施する予定。

Shiok Meatsは2022年までに商品化を目指しており、Avant Meatsはすでに培養魚の生産コストを90%削減している。

出遅れたことで、必要な「武器」が増えた

細胞培養で代替魚に取り組む企業の中で、Bluu Biosciencesは比較的遅いスタートを切ったが、スタートの遅れにはメリットもあったという。

「5年前は、培地の開発を考えている企業はほとんどなく、また大規模なバイオリアクター技術に注力する企業もほとんどありませんでしたし、細胞培養肉用の足場の代替品を模索する企業はありませんでした」(Sebastian Rakers氏)

今では上記に取り組む企業が増えている。

自社では培養肉を開発せず、成長因子、培地、バイオリアクターなど周辺技術に取り組むFuture FieldsMatrix MeatsCellMEATCellulaREvolutionCore Biogenesisが登場しているだけでなく、過去半年でこれら5社はすべて出資を受けている

共同創業者のSebastian Rakers氏(左)とSimon Fabich氏(右) 出典:Bluu Biosciences

培養肉のハードルである大量生産生産コスト高を解決するのに必要な技術にも投資が集中していることから、『Moo’s Law』の著者であるジム・メロン(Jim Mellon)氏の、5年以内に培養肉は畜産肉・植物肉よりも手ごろな価格になるという予想が当たる可能性は高まっていくだろう。

80年以上前にウインストン・チャーチルは次のように語った。

「胸肉や手羽先を食べるために鶏を丸ごと育てるなんてバカなことはやめて、それぞれの部位をふさわしい培地で別々に培養するようになる」

「すべての変化は、気がつかないほどゆっくりと進行するだろう」と予言したチャーチルの言葉通り、培養肉各社による商品が食卓に並ぶ世界はすぐそこまで来ている。

 

参考記事

Bluu Biosciences raises cash to become Europe’s first purveyor of lab-grown salmon,trout and carp

Cell-Cultured Fish Startup Bluu Biosciences Raises €7 million

 

関連記事

 

アイキャッチ画像の出典:Bluu Biosciences

 

 

***無料レポートプレゼントのご案内***

無料メールマガジンに登録いただいた方限定で、 

国内外の培養肉開発に取り組む企業をまとめたレポートを無料でお配りしております。

●全66社

●全15ページ

の無料レポートです。

登録は1分で終わりますので、ぜひこの機会にご利用ください。

メールマガジンにご登録いただいた方には、 週1~2回フードテックの最新ニュースをお届けしております。

↓↓↓↓↓

メールマガジン登録はこちらから

 

>> <<

関連記事

  1. イート・ジャスト(Eat Just)の培養肉が世界で初めてシンガ…
  2. 蜜蜂を使わずにハチミツを作る米MeliBioがプレシードで約94…
  3. インポッシブルフーズの脅威になるか?スピルリナ由来のヘムを開発し…
  4. スイスの研究チームが研究室で細胞培養によるチョコレートを開発
  5. 他社の発酵製品の市場投入を早めるSolar Biotechが約2…
  6. 培養肉開発用の成長因子を低コストで量産するCore Biogen…
  7. 培養脂肪を開発するMission Barnsが約26億円を調達、…
  8. 培養肉はどんな産業を生み出すのか?|SKSJ2020参加レポート…

おすすめ記事

携帯可能なアレルギーセンサーを開発するAllergy Amuletが約4億5000万円を調達

食品のアレルギー物質を調べるポータブルデバイスを開発するAllergy Amul…

廃棄大麦から代替タンパク質を開発するEverGrain|世界最大の醸造会社の大麦をアップサイクル

世界で1年間に醸造で使用される大麦は900万トンとされる。使用済みの大麦…

ドイツ発のAitmeはキオスク型自律調理ロボットを開発

ベルリンを拠点とするスタートアップ企業Aitmeは完全自律型のロボットレストラン…

中国企業HaoFoodのピーナッツを原料とする代替肉が上海レストランで販売開始

上海を拠点とする代替鶏肉スタートアップHaoFoodが上海のレストランと代替肉の…

インポッシブルフーズが香港・シンガポールの食料品店で販売を開始、アジア進出を加速

インポッシブルフーズの植物性代替肉がアジアのスーパーに登場した。19日、香港とシンガポールの…

ゲノム編集で野菜・果物に新しい命を吹き込む米Pairwiseが約94億円を調達

Pairwiseは収量も栄養もあるのに、匂いなどの理由で人気のない食品を、ゲノム…

▼聞き流しフードテックニュース▼

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業66社をまとめたレポート(全15ページ)を無料でお配りしております。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/30 13:52時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/31 07:38時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
990円(07/30 18:09時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています

Foovoによる【今月のピックアップ本】

ミドリムシ博士の超・起業思考 ユーグレナ最強の研究者が語る世界の変え方

ミドリムシ博士の超・起業思考 ユーグレナ最強の研究者が語る世界の変え方

鈴木健吾
1,650円(07/30 07:55時点)
発売日: 2021/04/16
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP