代替プロテイン

植物性チーズのStockeld Dreameryが約21億円を調達

 

植物性チーズを開発するスウェーデン企業Stockeld DreameryがシリーズAラウンドで1650万ユーロ(約21億円)を調達した。

ベルギーのベンチャーキャピタルAstanor VenturesとイギリスのベンチャーキャピタルNorthzoneがラウンドを主導し、Trellis RoadEurazeoNorrskenEdastraGullspång Re:foodなどが参加した。今回の調達で、Stockeld Dreameryの調達総額は1980万ユーロ(約25億円)となる。

「世界で最も野心的なチーズ」作りを目指すStockeld Dreameryは、発酵させたえんどう豆・そら豆を原料にフェタチーズを開発している。今年5月には初商品「Stockeld Chunk」を発売した。

シードラウンドで325万ユーロ(約4億2千万円)を調達した2020年6月時点では、プロトタイプをいくつか作った段階で、試食テストもまだ実施していなかった。その後、試食会を重ね、商品発売フェーズまで到達した。

出典:Stockeld Dreamery

同社は2019年に設立されてから1年でチームを4名から22名に増やしている。今回調達した資金はチーム拡充にあて、スタッフを現在の22名から50名まで増やす。

2022年には、スウェーデン、ストックホルムにある本社と実証プラントに移転する。この工場は、50名のスタッフが研究開発するのに十分なスペースを備える。

5月に発売された新商品は、タンパク質を13%含む。フェタチーズのようにサラダや温かい料理に使うことができる。

IPCCが8月に発表したレポートは、今後10年で温度上昇が1.5度を超える可能性があるという新しい推定を発表している。温室効果ガス排出量を即時に、迅速かつ大規模に削減しない限り、温度上昇を1.5度、2度にさえ抑えることは難しいとレポートは指摘。

出典:Stockeld Dreamery

畜産を含む現在の食料システムは、広大な土地、多くの水を必要とし、牛のゲップによる温室効果ガスの排出も問題視される。特にチーズは牛肉、羊肉に次いで温室効果ガスの排出量が3番目に多い動物製品とされ、畜産による環境負荷を減らすため、脱・動物性チーズの動きが進んでいる。

2020年にアメリカの植物ベース市場で最も伸びたカテゴリーは卵(前年比約2.7倍)となり、代替チーズは約1.42倍と3番目に伸びたカテゴリーとなった。2019年には12億ドルだったヴィーガンチーズ市場は2027年には44億ドルに達すると予想されている。

Stockeld Dreameryの商品は現在、ストックホルムの限られたレストラン、チーズ専門店でしか扱われていないが、今後は新商品をリリースし、海外展開もしていくとしている。

 

参考記事

We’ve raised a €16.5M (~$20M) Series A round. It’ll help us do more, sooner

Stockeld Dreamery Raises €16.5 Million for Legume-Based Alternative Cheeses

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Stockeld Dreamery

 

関連記事

  1. ビヨンドミート、菌糸体由来ステーキ肉の発売計画を発表
  2. ベゾス・アース・ファンド、ノースカロライナ州立大学に代替タンパク…
  3. 精密発酵チーズのNew CultureがCJ第一製糖と提携、20…
  4. ビヨンドミート、今年半ばまでに中国事業を停止|コスト削減の一手
  5. Novameatが約7億円を調達、独自3Dプリント技術による代替…
  6. 英Hoxton Farms、2026年に培養脂肪製品を市場投入へ…
  7. イスラエルの精密発酵企業Remilk、アメリカで上市を実現
  8. 精密発酵スタートアップ9社が精密発酵組合を設立

おすすめ記事

精密発酵のImagindairy、シードラウンドの資金調達を約35億円で完了

精密発酵で乳製品を開発するイスラエル企業Imagindairyは18日、シードラ…

Motif FoodWorksが約249億円を調達、植物肉をアップデートさせる成分の市販化に向けて加速

植物ベース食品のアップデートに取り組む米フードテック企業Motif FoodWo…

バイオ3Dプリンターで代替肉を開発するスペイン企業Cocuusが約3.5億円を調達

スペインのスタートアップ企業であるCocuusは、プレシリーズAで250万ユーロ…

Moolec Science、豚タンパク質を作る大豆「Piggy Sooy」で米国農務省の承認を取得

2024年10月18日追記これまでの動きから、YEEAプロジェクトは高い可能性で精密発酵に関…

昆虫で食品廃棄物をアップサイクルするLIVIN Farmsが約8.5億円を調達

代替タンパク質の1つとして昆虫タンパク質生産に取り組むオーストリア企業LIVIN…

Hevo Groupが代替卵製品OUVEGGをスペインのスーパーで発売

スペインの養鶏グループ企業Hevo Groupは代替卵製品OUVEGGの発売を発…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(03/29 14:54時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(03/30 00:40時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(03/30 04:35時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(03/29 20:51時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(03/29 13:01時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(03/29 23:53時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP