Foovo Deep

培養シーフードのShiok Meatsが生産コスト50ドル/kgを実現、2023年に培養エビ上市へ

 

アジアにおける培養シーフードの先駆けであるシンガポール企業Shiok Meatsは、2023年に培養エビの上市を計画している。

昨年シンガポールにミニ工場を開設し、同国にパイロット工場を建設中の同社は、2023年にシンガポールの高級レストランで世界初の培養エビを提供する予定だ

同社はまた、生産コストを1キログラムあたり50ドルまで削減したことを発表した。

Shiok Meats、2023年にシンガポールで培養エビ上市へ

出典:Shiok Meats

ロブスター、エビ、カニなど甲殻類を細胞培養により開発する同社は、2020年に世界で初めて培養ロブスターの試作品を発表した。2021年には同じく世界に先駆けて培養カニ肉の試食会を実施した。

Shiok Meatsは培養シーフードを開発する背景について、甲殻類を1キログラム生産するのに約188キログラムの二酸化炭素が排出されること、エビ養殖場増加がもたらすマングローブ減少による炭素吸収源の減少、マイクロプラスチックの懸念、エビ1キログラムの漁獲に約20キログラムの混獲を伴うことなど、甲殻類漁業がもたらす直接的・間接的な環境負荷を挙げている

Shiok Meatsは2020年、当時7000ドル/キログラムだった生産コストを、50ドル/キログラムに削減したいとしていた。Foodnavigatorの報道によると、目標だった1キログラム50ドルへの生産コスト削減は成功している。つまり、2年で生産コストの1/140削減を実現した

出典:Shiok Meats

同社共同創業者兼CEOのSandhya Sriram氏はFoodnavigatorのインタビューに対し、「50ドル/キログラムは非常に大きなマイルストーンで、以前の10,000ドルや5,000ドルと比べると大きな勝利です」とコメントしている。

今回達成された1キログラム50ドルはラボスケールとなるが、Sriram氏は来年までに生産スケールでも同じ価格を達成できると見ている。

同社が最初に上市する製品は培養エビになる。現在、スケールアップに取り組んでおり、プロセスを最適化するために、昨年11月、シンガポールのアクセラレーターInnovate 360に「ミニ工場」を設置した。同工場の落成式にはシンガポールのグレース・フー環境・水資源大臣が参加した

ベトナムに培養エビの研究開発施設設置で大手と連携

ミニ工場の落成式に参加したグレース・フー環境・水資源大臣(右) 出典:Shiok Meats

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Shiok Meats

 

関連記事

  1. Juicy Marblesが植物由来の骨付きリブ肉の開発に成功、…
  2. インドNymbleの料理ロボットJulia(ジュリア)がSKS2…
  3. モサミート、スイス当局に培養牛脂の新規食品申請を提出|世界の申請…
  4. 【10/16】現地レポート会:フィンランド&シンガポールにおける…
  5. インポッシブルフーズが香港・シンガポールの食料品店で販売を開始、…
  6. タイソンフーズが出資するFuture Meatが培養鶏肉のコスト…
  7. 黄身・白身・殻を再現した植物性代替卵を開発するNeggstが約6…
  8. 米New Cultureが精密発酵カゼインのスケールアップに成功…

おすすめ記事

イスラエル政府が培養肉コンソーシアムに約23億円の助成金を提供

イスラエル経済産業省傘下のイスラエル・イノベーション庁(Israel Innov…

ソーラーフーズが約13億円を調達、来年前半に商用工場Factory 01を稼働

二酸化炭素と微生物を活用して代替タンパク質ソレインを開発するソーラーフーズ(So…

酵母由来の代替パーム油を開発するオランダのNoPalm Ingredientsが植物性ヨーグルトを生成

精密発酵で代替パーム油を開発するオランダ企業NoPalm Ingredients…

デンマークの21st.BIO、アメリカで精密発酵ホエイのGRAS自己認証を取得

2024年12月27日:後半のスライドを一部修正・追記デンマークの21s…

トマトで代替マグロを開発するスペイン企業Mimic Seafoodとは

スペインのフードテック企業Mimic Seafoodはユニークな原料を使って代替…

オーストラリアの代替肉企業v2foodが微細藻類由来のヘム様成分を発表

オーストラリアの植物肉企業v2foodは今月、シドニーで開催されたイベントSXS…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(08/04 15:32時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(08/05 01:39時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(08/05 05:31時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(08/04 21:36時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(08/05 13:35時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(08/05 00:44時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP