ドイツの培養魚企業Bluu Seafood(旧称Bluu Biosciences)が2023年末までにシンガポールでの上市を目指していることを明らかにした。これにあわせ、Bluu Seafoodは魚の細胞を培養して作られた市場向けの培養魚製品を発表した。欧州で培養シーフード製品が発表されたのはこれが初となる。
この製品は市場向けに準備されたもので、まもなく規制当局による承認プロセスが開始されるという。
同社はドイツを拠点とするが、承認プロセスが明確化されているシンガポールを最初のターゲット市場としている。シンガポールでは2020年末にイート・ジャスト(現在は培養肉部門GOOD Meat)の培養肉が世界で初めて販売された。

刺身の試作品 出典:Bluu Seafood
シンガポール以外の国では培養肉の販売はまだ認可されていないため、Bluu Seafoodが最初にシンガポール市場を狙うのは理にかなっていると言える。同社はシンガポールのほかに、アメリカ、イギリス、欧州での申請も計画している。
同社のフィッシュボールとフィッシュフィンガーは培養魚を主原料に、食感の最適化に豊富な植物タンパク質を組み合わせて作られている。生産プロセスでは動物血清を含まない培地を使用しており、マス・鮭の独自の非遺伝子組換え細胞株をもとに作られている。
今回発表した製品のほかに、刺身や切り身の試作品も開発している(上記写真)。
Bluu Seafoodは欧州で最初に設立された培養魚企業であり、以前の報道によると、年内にドイツで生産施設の開設を予定している。

フィッシュフィンガー 出典:Bluu Seafood
共同創業者兼CEOのSebastian Rakers氏は「最初の製品を完成させたことで、創業から2年経たずに目に見える、そして食べられる結果をお示しできました。これによって私たちは正式に、培養魚を生産する欧州初の企業となりました。現在、上市に向けて規制当局と密に交渉をしており、スケールアップにも注力しています」とコメントしている。
共同創業者のSimon Fabich氏はテッククランチの取材に対し、シンガポールとアメリカの規制当局は「交渉にオープンで、必要になる書類の要件について非常にオープンだ」とコメントしている。
同氏は、アメリカでは今後9ヵ月で培養シーフード製品が初めて認可されると見る見方が一般的だとしたうえで、たとえ認可を取得しても、長期間にわたる試験販売が続くと予想している。アメリカで、スーパーマーケットなど一般消費者が手に取れる小売に導入されるのは2025年頃と予想しているようだ。
Bluu Seafoodは4月、中国の培養肉企業CellXと戦略的パートナーシップを締結した。2社の提携は認可取得、原材料調達、スケールアップ、生産施設建設など培養肉製品の商用化にむけたものとなる。
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アイキャッチ画像の出典:Bluu Seafood