3Dプリンター

【参加レポート】第34回食品開発展2023年10月@東京

 

「食品開発展2023」が10月4日から3日間、東京ビッグサイトで開催されている。4つのテーマの1つ、ヘルスイングリディエンツジャパン(Hi)ではプラントベース食品に関連した展示も複数見られた。

今回時間が限られていたため、ごく一部となるが、展示されていた内容をご紹介したい。

フード3Dプリンター×介護食の可能性

Foovo佐藤撮影

三菱商事ライフサイエンス十文字学園女子大学のブースでは、フード3Dプリンターの実演が行われた。

武蔵エンジニアリングのフード3Dプリンターで出力しているのは、プラントベースうなぎ。皮、身毎に異なる植物性フードインクを使用して、皮、身から構成される代替ウナギを3Dプリンティングしている。会場で展示されたのは装置ではノズルは1つタイプだが、実際はマルチノズルで出力する。

身のフードインクには、えんどう豆、おから、オートミール、カードラン、植物油など、皮のフードインクにはデンプン、カードランなどを使用。出力されたプラントベースうなぎを電子レンジで加熱すると、インク中のカードランが固まるという。レシピは三菱商事ライフサイエンスが開発した。

出力後 Foovo佐藤撮影

加熱し、タレをかけたもの Foovo佐藤撮影

カードランとは、アグロバクテリウム属菌という微生物がブドウ糖からつくる多糖類で、加熱すると固まる性質をもつ増粘剤だ。濃度によって様々な食感のゲルを作ることができる。

フード3Dプリンターを活用して介護食などを作る際、フードインク中のカードランの濃度を変えることで出力後の仕上がりを調整できるため、利用者に応じた介護食を作れるようになる。

同ブースには、十文字学園女子大学の学生らが開発したフードインクを使用した食品サンプルも展示されていた。これらのフードインクは粉末状で、水に溶かして使用する。

Foovo佐藤撮影

介護現場へのフード3Dプリンターの導入はまだ実現していないという。しかし、プラントベースうなぎのように、形状を本物に近づけたペースト食品は、嚥下機能が低下した高齢者だけでなく、幼児用の食品開発にも応用できる可能性を秘めている。

スペインで歴史ある植物ミルクを日本へ

Foovo佐藤撮影

オーツ麦、えんどう豆、大豆などの植物由来ミルクはよく知られているが、珍しい植物ミルクがあった。製菓原材料を取り扱う前田商店のブースで展示されていた「Chufa Milk(チュファミルク)」だ。

「Chufa Milk」は原材料にじゃがいものように土の中で育つ塊茎植物であるタイガーナッツチュファカヤツリグサともいう)を使用している。「Chufa Milk」を水で5倍に希釈するとミルクのような乳白色になる。

Foovo佐藤撮影

「Chufa Milk」は、スペインで古くから愛されている植物性ミルク、オルチャータ(Horchata)を日本向けにした製品名だ。

原材料にショ糖が含まれているため、飲んでみると甘味がある。コーヒーと混ぜたものを飲んでみると、コーヒー牛乳に近く、こちらの方が初めて飲む人には飲みやすいかもしれない。

Foovo佐藤撮影

前田商店のブースでは、100%植物性のチョコレート製品「NXT」も展示されていた。「NXT」は、粉乳の代わりに前述の「Chufa Milk」を使用している。

「NXT」は販売されているが、「Chufa Milk」はこれから。スペインで人気の植物性ミルク・オルチャータに対し、日本の消費者はどんな反応を示すだろうか。

水処理と醸造技術から生まれた金色のユーグレナ

Foovo佐藤撮影

神鋼環境ソリューションのブースにあったのは、金色のユーグレナ。

ユーグレナといえば「藻」の仲間で緑色のイメージだが、同社のユーグレナは光合成させずにタンクの中で栄養を与えて培養したユーグレナEOD-1株)だ。そのため、緑色ではなく金色をしている。

神鋼環境ソリューションが発見したこのユーグレナには、パラミロンという食物繊維が豊富に含まれている。パラミロンはユーグレナだけが生成する成分といわれるが、従来の緑色のユーグレナは含有率が10%ほどであるのに対し、金色のユーグレナには70%以上含まれているという。

京都府立医科大学などと行った研究によると、パラミロンには風邪症状の発生を抑制する作用が確認されたという。

Foovo佐藤撮影

神鋼環境ソリューションはもともと、水処理事業を展開してきた。なぜ、ユーグレナなのか。

きっかけは、1990年代に始まった水の浄化に微生物を活用しようという試みだった。微生物を使った浄水処理技術を日本で初めて開発した同社は、その後、微生物の可能性をさらに探求する過程で、ユーグレナEOD-1株を発見するにいたる(詳しい開発ヒストリーはこちらから)。

ユーグレナEOD-1株の本格培養には、創業以来続いてきたもう1つの柱、醸造用タンク製造で培った撹拌技術が生かされているという。

金色のユーグレナは、今年7月、みるく饅頭「月化粧」に使用され、機能性表示食品として発売された

 

 

関連記事

 

関連記事

  1. ドイツのInnocent Meatが約11億円を調達、2028年…
  2. 培養肉企業アレフ・ファームズが約116億円を調達、2022年に最…
  3. 精密発酵の米パーフェクトデイ、約130億円の資金調達とともに創業…
  4. 米培養肉Upside Foods、カリフォルニアに培養肉工場を開…
  5. 培養魚を開発するAvant MeatsがシンガポールのA*STA…
  6. 香港の代替肉企業グリーンマンデーが植物ベースの代替魚に参入!
  7. 米コストコがビヨンドミートボールの取り扱いを一部店舗で開始
  8. 代替タンパク質を「ニッチ」から「定番」に:業界リーダーが語る普及…

おすすめ記事

植物性ハチミツの米MeliBioをスイスのFoodYoung Labsが買収──精密発酵技術は買収対象外

2025年5月30日更新ミツバチに依存しないハチミツを開発する米MeliBioが、スイスの食…

The Every Company、アニマルフリーな卵白タンパク質を使ったスムージーを発売

The Every Companyのアニマルフリーな卵白タンパク質粉末を使ったス…

投資は減速、規制は動く―GFIレポートで読む2024年の培養肉業界と日本市場の胎動

シンガポールの小売店で昨年販売された培養肉「GOOD Meat 3」(Foovo佐藤撮影/2024年…

ポルトガルのCell4Food、細胞性タコの開発加速に向けてAlgocellと提携

出典:Cell4Food細胞培養でタコなどのシーフードを開発するポルトガル企業Cell4Food…

菌糸体ステーキ肉の開発に挑むスペイン企業Libre Foods

日本では大豆ミート、ソイミートという言葉が浸透しているが、海外では代替肉の原料=…

米パーフェクトデイ、インドで精密発酵タンパク質の認可を取得、インドの工場を買収

精密発酵によるタンパク質開発で世界をリードする米パーフェクトデイが、インドで認可…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP