アップサイクル

味の素、CO2由来のソレイン使用の”第2弾”商品をシンガポールで発売

 

味の素は、フィンランド企業ソーラーフーズが開発したソレイン使用のアイスクリームを、3月28日よりシンガポールで発売した

ソレインSolein)は、二酸化炭素、電気、水素細菌という微生物から作られるタンパク質。二酸化炭素を使用し、工場で生産されるソレインは、土地や水の使用量を抑え、持続可能なタンパク質として期待されている。

ソーラーフーズは2022年秋にシンガポールで認可を取得、2024年9月にはアメリカでGRAS自己認証を取得した。EUでは2026年に認可を取得できると見込んでいる

味の素、ソレイン使用の”第2弾”商品をシンガポールで発売

出典:Solar Foods

味の素は2024年8月にシンガポールでソレイン使用の月餅とアイスクリームを期間限定で販売。今回発売されたアイスクリームも、味の素が打ち出す地球に配慮した食材を採用する「Atlr.72アトリエ・セブンツー)」ブランドとして展開される。

新製品は、「餅入りバニラ(Vanilla with mochi)」、「レモンの皮入りチョコレート(Chocolate with lemon peel)」、「ナッツ入り塩キャラメル(Salty caramel with nuts)」の3フレーバーで、アイスクリームにソレインを使用。ソレインの持つ天然カロテノイドにより、黄色を呈したアイスクリームにクッキーが添えられている。

「Atlr.72」のフードトラックで、シンガポール各地での販売が予定されている。

Factory01に続く、3つの工場建設計画

2023年に発売されたソレインを使用したアイスクリーム 出典:Solar Foods

フィンランド技術研究センター(VTT)とラッペーンランタ大学からスピンオフされたソーラーフーズは、昨年4月、ソレインを商用生産する工場Factory 01の稼働を開始した

同社は今年2月、年産12,800トンを見込む第2の工場、Factory 02の建設に向けて、Blue Projectsとの提携を発表。Factory 02は3段階に分けて建設される予定で、工場の第1フェーズは2028年に稼働開始、2030年に全面稼働を予定している。

今月には、年間6,000トンの商用計画について、海外クライアント2社との基本合意書(MOU)を締結した。この合意にはまだ拘束力はないものの、契約締結に至れば、Factory 02の生産能力の約50%に相当し、事業展望の明るい材料となる。

ソーラーフーズはまた今月、Factory 02と同じ敷地内にFactory 03およびFactory 04も建設する可能性を検討していると発表した。工場建設候補地として、フィンランド東部のラッペーンランタを選定しており、投資判断は2026年に下される予定となる

3つの工場が稼働すると、年間5万トンのソレイン生産が可能になる見込み。牛肉をソレインに置き換えた場合の温室効果ガスの削減効果は、フィンランドの2023年の年間排出量の約25%に相当すると試算されている

Fazer、KelpEat、Superb Food、味の素──広がるソレインの試験導入

出典:Fazer

ソーラーフーズはこれまでシンガポール、アメリカで市場投入を実現している。昨年11月には、米レストランでソレイン使用の料理を初提供した

今月にはフィンランドのチョコレートメーカーFazerがサンフランシスコで13・14日に開催されたFuture Food-Techで、ソレインを数%使用したビーガンドリンクとスナックの限定版を発表した。ドリンクには2%、スナックには7%のソレインを含有している。

2月にはイタリアの食品会社KelpEatが、ソレインと海藻を使用したスナックを見本市で発表した

今月20日には80トンのソレイン供給でSuperb Foodとの契約を締結した。Superb Foodは、GLP-1受容体作動薬を使用する人など、健康を気にするユーザー向けにソレインを使用した製品の発売を計画している

FazerやKelpEatの展示会での限定発表は、ソレインの長期導入に向けた消費者の反応を見極める狙いがあると考えられる。Fazerは試食によるフィードバックをもとに製品をさらに開発していくとしており、ソレインを取り入れた商品ラインを継続的に打ち出していく方針を示している

展示会での試験的な導入が続く中、味の素のような企業による実販売は、消費者の反応を直接確認できる貴重な機会となる。今後、ソレインの食品市場への本格的な定着に向けた試金石となるか注目される。

 

参考記事

The Japanese food giant Ajinomoto continues to introduce new Solein®-powered products in Singapore(プレスリリース)

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Solar Foods

 

関連記事

  1. 世界初!米Biomilqが細胞培養でヒトの母乳を体外で作製するこ…
  2. 二酸化炭素からタンパク質を作る英ディープ・ブランチ、アイスランド…
  3. 英Meatlyがイギリスで培養ペットフードの販売認可を取得、年内…
  4. イート・ジャストの培養肉部門GOOD Meatが約110億円を調…
  5. Perfat Technologiesによる「次世代オレオゲル」…
  6. 果物の廃棄物を活用して精密発酵脂肪を開発するZayt Biosc…
  7. 3Dプリンターを活用する上海企業CellXが培養豚肉のサンプルを…
  8. 世界初の培養サーモン、米国で認可──WildtypeがFDAの「…

おすすめ記事

米New Culture、精密発酵カゼイン使用量を50%以上削減しながらレストラン品質のモッツァレラを実現

精密発酵でカゼインを開発する米New Cultureは先月、新たなコスト削減の成…

デンマークの21st.BIO、アメリカで精密発酵ホエイのGRAS自己認証を取得

2024年12月27日:後半のスライドを一部修正・追記デンマークの21s…

スペインNovameatが3Dプリンター製培養肉の試作品を発表

このニュースのポイントスペインNovameatが…

マイクロ流体チップによる農業用栄養分析デバイスを開発したNordetectが約1億6千万円を調達

室内垂直農業用の検査デバイスを開発するデンマーク企業Nordetectが、シード…

かつて年間8,000トンを生産──忘れられたマイコプロテインPEKILO、Eniferがグローバル展開を加速【セミナーレポ】

食品用PEKILO Foovo(佐藤)撮影フィンランドのスタートアップEniferは、かつて同国…

Upside Foodsが業界史上最大の約510億円を調達、年内の培養肉市販化を目指してスケールアップを加速

アメリカの培養肉企業Upside Foods(アップサイド・フーズ)がシリーズC…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP