アメリカ国防総省(DoD)は、バイオエコノミーと防衛産業基盤の強化を目的に、Air Protein、Onego Bio、The Better Meat Co.などのフードテック企業に対し、助成金を交付すると発表した。
これはアメリカ国防総省が、大統領令14081号「持続可能で安全・確実な、米国のバイオ経済のための、バイオテクノロジーとバイオ製造の技術革新の推進」の一環として実施する「分散型バイオ産業製造プログラム(Distributed Bioindustrial Manufacturing Program:DBIMP)」を通じ、バイオテック企業を対象に助成金を交付するもの。
アメリカのバイオエコノミーを強化する狙いがあり、これまでの提供総額は4,200万ドル(約60億円)となる。
8月には最初のフードテック企業として、マイコプロテインを開発するThe Better Meat Co.が148万ドル(約2.1億円)の助成金を獲得した。
9月に新たに4社を選出。二酸化炭素からタンパク質を開発するAir Protein、精密発酵で卵白を開発するOnego Bio、代替脂肪のC16 Biosciences、Savor Foodsが対象に選ばれた。
いずれの企業もアメリカ国内に生産施設を建設する事業計画・技術計画を作成するために資金を交付される。その後、選定プロセスで選ばれたプロジェクトには、最大1億ドルの資金が提供される予定となる。
二酸化炭素を原料にタンパク質粉末を開発するカリフォルニア州に拠点を置くAir Proteinは昨年、研究開発・商用プラントの建設に向けて米ADMと提携した。Air Protein は今年、サン・レアンドロの新しいパイロット工場でオペレーターを募集していた(募集は終了している)。複数回にわたって募集しており、パイロット工場稼働に向けて取り組んでいることがうかがえる。
同社は170万ドル(約2.4億円)を獲得した。今回のプログラムに向けた施設の場所はまだ決定していない。
フィンランドで設立され、最近サンディエゴに4,500平方フィート(約418㎡)の本社を構えたOnego Bioは、精密発酵によるオボアルブミンを生産する施設をアメリカ中西部に建設することを検討している。同社は200万ドル(約2.8億円)を調達。国防総省からの資金提供はアメリカ進出を計画する同社にとって大きな後押しとなる。
精密発酵により代替パーム油を開発するC16 Biosciencesは145万ドル(約2億円)獲得した。これまでに消費者向けの美容オイル、石鹸を発売しており、今年最初に食品業界への参入計画を発表した。
Savor Foodsは二酸化炭素、熱、水素、酸素を使用した熱化学プロセスで代替脂肪を開発しており、バターの試作品を開発している。150万ドル(約2.1億円)を調達した。
The Better Meat Co.も助成金を活用してマイコプロテインの生産施設計画を進めるが、場所はまだ決まっていない。同社は7月にGRAS認証を取得した。
同社のマイコプロテイン「Rhiza」はカリフォルニア州のレストランBuddha Belly Burgerで代替ステーキとして提供される他、Oshiが「Rhiza」を使用した代替サーモンを作成している。提供はまだ限定的だが、今回の調達によりさらに生産を拡大していくと予想される。
7月には、精密発酵のスケールアップを支援するSynonymも選ばれているが、助成金は高性能航空機に向けた潤滑油、溶剤を製造するための施設の再生計画にあてられる。
参考記事
DoD Releases 12 Awards for Distributed Bioindustrial Manufacturing Program(プレスリリース)
DoD Releases Seven Awards for Distributed Bioindustrial Manufacturing Program(プレスリリース)
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アイキャッチ画像の出典:The Better Meat Co.