培養カカオを開発するイスラエル企業Celleste Bioは今月、シードラウンドで450万ドル(約6億8,000万円)を調達した。
Supply Change Capitalが主導するラウンドには、モンデリーズ・インターナショナル(Mondelēz International)のベンチャーキャピタル部門SnackFutures Venturesのほか、Consensus Business Group、The Trendlines Group、Barrel Ventures、Regba Agricultureが参加した。
オレオ、リッツなどの著名ブランドを展開する大手食品メーカー、モンデリーズ・インターナショナルが最初にCelleste Bioに出資したのは2022年11月。前回に続き、2回目の出資となる。
SnackFutures Ventures副社長のRichie Gray氏は、「世界大手のチョコレートメーカーの1社として、カカオサプライチェーンの課題を深刻に受け止めています」とコメント。
さらに、「Celleste はまだ開発の初期段階ですが、従来の農業を補完する技術として大きな可能性を秘めています」と述べ、Cellesteの技術と自社の知見を組み合わせることで、新たなカオサプライチェーン構築につながるとの見方を示している。
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カカオ高騰と環境負荷に直面するチョコレート生産
今年、カカオの高騰が深刻化している。
西アフリカの干ばつなどの天候不順、病害の発生により、収穫量が大幅に減少した。その結果、カカオ豆の先物取引価格は3月には前年の3倍以上に達し、明治、森永製菓、江崎グリコ、ロッテの各社が9月以降、3%~38%の値上げに踏み切るなど、異例の事態となっている。
Celleste Bioは持続可能なカカオの供給を目指して2022年に設立された。AI技術、農業技術、バイオテックを組み合わせて、年間を通じてわずか1~2個の豆から100%天然のカカオを製造できるとしている。
同社によると、従来の方法では年間2トンのココアバターを生産するために、4トンのカカオポッド、1万㎡の土地、約1700本のカカオの木が必要になる。しかし、Celleste Bioの技術を使えば、わずか1~2個の豆と1.5㎡の部屋、そしてバイオリアクター1基で同じ量のココアバターを生産できるという。
チョコレート産業には、もう一つ大きな問題が存在する。森林破壊、温室効果ガスの排出だ。チョコレートは、森林伐採を引き起こす食品リストで5位にランクインしており、食品サプライチェーンにおいて温室効果ガスを排出する食品・飲料の中で5位に位置していることはあまり知られていない。
カカオの高騰と、チョコレート製造による環境負荷を無視できない状況の中、代替チョコレートを開発する企業が登場してきている。
米California Culturedが明治ホールディングスに続き、今年10月にベルギーの食品メーカーPuratosから出資を受けた背景には、こうしたチョコレート問題が関係しているだろう。
培養カカオ開発に取り組む6社の今
Celleste Bioのように、培養技術による効率的かつ持続可能なカカオ供給に取り組む企業への注目が集まっている。下記からわかる通り、培養チョコレートの開発では多くのケースで大手メーカーが関与しており、世界的なメーカーがサプライチェーンの変動を受けない持続可能なチョコレートへの関心を強めていることがうかがえる。
参考記事(プレスリリース)
Cocoa-Tech Company Celleste Bio Closes $4.5M Seed Round to Scale Production of Cell Cultured Cocoa
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