砂糖の過剰摂取による健康上の不安から、砂糖のイノベーションに取り組むスタートアップが増えている。アメリカ心臓協会によると、アメリカでは成人の1日あたりの砂糖摂取量は平均小さじ17杯と、推奨量の2-3倍となっているという。
砂糖関連ソリューションは大きく2つに分類できる。砂糖の削減と砂糖の代替だ。
しかし、精密発酵による甘味タンパク質開発のように、砂糖の代替・削減を兼ね揃えている技術もある。技術全体を図解すると次のようになる。
今回の記事では、砂糖削減・代替砂糖のソリューションに取り組む企業13社の技術概要、上市の動向などを一挙に紹介する。13社のうちイスラエル企業が7社と、砂糖関連ソリューションはイスラエルに集中しているのが特徴だ。
なお、Plug And Playからも代替砂糖に焦点をあてた記事が出ており、こちらも参照にされたい。
砂糖削減ソリューション【4社】
Better Juice(イスラエル)
Better Juiceは非遺伝子組換え微生物による酵素を使用して、果糖、ブドウ糖、ショ糖をプレバイオティクスな食物繊維やほかの難消化性繊維に変換し、天然のフルーツジュースやピューレなどに含まれる砂糖を最大80%削減している。
非遺伝子組換え微生物を固定化したバイオリアクターの中をジュースが通過すると、微生物の酵素によってジュースの糖類が食物繊維や難消化性糖質などに変換されるという仕組み。具体的には、ショ糖は食物繊維に、ブドウ糖はグルコン酸に、果糖はソルビトールに変換される。
Green queenの報道によると、Better Juiceは17社と概念実証を完了。うち2社は、世界大手のオレンジジュースメーカーCitrosucoと、今年1月に提携が発表された世界的な食品原料メーカーのイングレディオンだ。
Better Juiceは欧州で新規食品承認に向けて申請済みであり、今後はカナダ、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランドへの進出も計画しているという。アメリカでは今年第4四半期の上市を目指している。
2022年11月にイスラエルに商用工場を設置。年間2億5,000万Lのジュースを処理する能力を備える。2022年にはドイツのGEAイノベーションセンターにパイロット施設を設置した。
Better Juiceは今月、アメリカでGRAS自己認証ステータスを宣言したことで、自社技術を使用した製品をアメリカで販売できるようになる。同社は2021年12月のプレスリリースでGRAS自己認証ステータスに言及しており、今回は対象が異なるのかもしれないが詳細は不明だ。
Incredo(旧DouxMatok)(イスラエル)
Incredoは砂糖の量を減らしつつも、甘さを変えない代替砂糖を開発した。砂糖の量は30-50%削減できる。
担体に砂糖を搭載して重くさせ、この重さゆえに味覚受容体にとどまる時間を長くすることで、少ない量でも甘く感じられる仕組みだ。仕組みを図解したのがこちら▼
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アイキャッチ画像の出典:Incredo