包装

Impact Snacksが世界初のカーボンポジティブな植物性スナックバーを開発、包装材料も分解可能

アメリカのスタートアップImpact Snacksは、排出する二酸化炭素量を100%相殺できるスナックバーを開発した。

世界初となるカーボンポジティブな植物性スナックバーの登場だ。

スナックバーの成分だけでなく、包装材料までヴィーガンフレンドリーになっている。

今月、キックスターターのキャンペーンが始まるとわずか1日で目標の約210万円(2万ドル)を超え、現時点で424万円に達している。

Impack Snacksの創始者:Corey Nobile(左)とNick Oliveri(右) (出典:Impack Snacks)

このスナックバーは同社初の商品となり、今月リリースされる。

100%植物由来でヴィーガン向けであるほか、包装材料は分解されて堆肥になる素材で作られているので、製造に伴う二酸化炭素排出量を上回る量の二酸化炭素を相殺できる。

(出典:Impack Snacks)

スナックバーが排出する二酸化炭素は、収穫から製造、包装、出荷まで含めたライフサイクル全体のフットプリントを追跡して算出される。排出される二酸化炭素は100%相殺される。

フットプリントとは、商品の生産から流通、廃棄・リサイクルにいたるまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を二酸化炭素に換算した量のことをいう。

つまり、環境への影響を「見える化」する指標だ。

Impact Snacksによると、1本のスナックバーが排出する二酸化炭素は0.38ポンド(約172g)であるのに対し、スナックバー1本あたり1ポンド(約453g)の二酸化炭素が相殺される。つまり、250%以上の相殺効果だ。

相殺方法はシンプルで、太陽光発電所または森林再生を利用する。

具体的には、スナックバーを1本購入すると、1ポンド(約453g)のカーボンクレジットが付与される。

購入者は獲得したカーボンクレジットを熱帯地域や乾燥地域における植林プロジェクトに使ってもよいし、太陽光発電所といった再生エネルギープロジェクトに使ってもよい。1カーボンクレジットは太陽エネルギー30Wに相当する。

アプリが自分の社会・環境へのプラスの影響度を計算、表示してくれる。シェアすることで見た人がやる気になる仕組み。(出典:Impack Snacks)

購入者には、自分が生み出したプラスの効果を知らせる「Impact Story」がアプリを通じて届けられる。自分の履歴は、SNSに手軽にシェア可能な状態で届く。こうした情報を他人とシェアすることが、プラスの変化を連鎖させるうえ最も影響力のある方法だと研究でわかっているという。

スナックバーの味は、ダークチョコレートとアイスキャラメルラテの2種類。

(出典:Impack Snacks)

不安や気分の落ち込み解消、脳機能改善に役立つとされるヤマブシタケ、バランスのとれた三大栄養素、善玉菌を増やすのに役立つ食品成分といった成分で作られている。

Impact Snacksによって、誰もが自分の経済状況に応じて環境改善に取り組めるようになる。変化の連鎖が世界中に広がることを期待したい。

 

参考記事:

Impact Snacks: making everyday snacking sustainable

Impact Snacks: World’s First Carbon Positive Plant-Based Superfood Bars With Compostable Packaging

 

関連記事

  1. 堆肥化できるコーヒーボールを使うCoffeeB、20万世帯に導入…
  2. Fooditive、リンゴと梨をアップサイクルした植物性甘味料を…
  3. 豆を使わずに細胞培養コーヒーを開発するフランス企業STEM
  4. 国内最大級のフードテックイベントSKS JAPAN 2024が1…
  5. 米MeliBioが欧州進出を拡大、植物性ハチミツをスイスとオース…
  6. 米Ayana Bio、植物細胞培養でカカオなどの生理活性物質の開…
  7. フードテックの祭典Smart Kitchen Summit 20…
  8. 携帯可能なアレルギーセンサーを開発するAllergy Amule…

おすすめ記事

精密発酵カゼイン、シンガポールで初の新規食品申請|オーストリアのFermifyが提出

精密発酵でカゼインを開発するオーストリアのFermifyは、先月シンガポール食品…

歴史ある伊食肉メーカーGruppo Tonazzo、食肉事業から完全撤退、植物性タンパク質への移行を発表

イタリアの食肉メーカーGruppo Tonazzoは、年内を持って食肉事業から完…

おがくずから代替油脂を開発するÄIOが約9.9億円を調達、デモプラントの建設へ

当初の記事では「実証プラント」としていましたが、「デモプラント」に表現を修正しました(2025年3月…

培養肉の法整備を目指す議員連盟が発足、年内に試食実現のための提言へ

自民党の有志議員による「細胞農業によるサステナブル社会推進議員連盟」が13日、発…

味の素、おいしい減塩に向けた「電気調味料」技術を開発

味の素は今月、皮膚を通じた微弱な電気刺激で味覚をコントロールする「電気調味料」技…

Nowadaysが約9億円を調達、健康的な植物性チキンナゲットの展開を加速

「普段買い物をする消費者は、『動物福祉や持続可能性などについて関心を持っている』…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

リアルセミナー@東京のお知らせ【2025/6/18】

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(06/07 15:15時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(06/08 01:09時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(06/08 05:08時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(06/07 21:16時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(06/07 13:20時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(06/08 00:23時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP