(▲左は通常のトマト、右が昆虫の攻撃を受けたInnerTomato。通常のトマトは発光しないが、InnerTomatoは攻撃により発光する。出典:InnerPlant)
カリフォルニアのInnerPlantは、植物がストレスにさらされたときに可視化して伝えるバイオセンサーInnerTomatoを開発した。
InnerTomatoは、異なるストレスにさらされたとき、警告を発するための自然シグナルを増強するよう遺伝子を組み替えられている。
植物は攻撃を受けたときに、近くの植物に危険を知らせるために化学物質を分泌することが知られている。InnerPlantは、植物が警告に用いる化学物質を増強し、蛍光によって「見える化」することで植物自身がタイムリーにSOSを農家に伝えることができる。
植物が弱る前にSOSを発信
InnerTomatoの栄養が不足したり、病原体に攻撃されたりすると、葉の色が変わる。
InnerTomatoは、殺虫剤、微生物、線虫、寄生虫、昆虫、熱、栄養不足、水不足などによる病気やストレスがある環境では発光するように改変されている。色の変化はiPhone、ドローン、衛星などで確認可能だ。

出典:InnerPlant
葉の色の変化は、問題が発生する前に植物が抱える「潜在的な問題」として農家に認知される。これにより、あらかじめ大量の化学肥料や殺虫剤を撒く必要はなくなる。
効果的な防御システムには、約4000㎡の農地あたりInnerTomatoひとかたまり(数十個)でよいという。

出典:InnerPlant
タイムリーに植物の潜在的SOSをキャッチし対応することで、より健康な植物を、より多く収穫できるうえ、使用する肥料・殺虫剤が少なくてすむ。
大量の農薬を使ったとしても、病原体によって作物の2割がダメージを受けるというが、InnerTomatoによる早期検知と早期介入によってこうした被害を事前にコントロールできるわけだ。
InnerPlantは2018年に設立された。バイオテクノロジー、ビッグデータ、IoTを活用して農業に変革をもたらすことを狙う。
InnerTomatoは同社が開発した最初のバイオセンサーとなる。同社はトマトのほかに、大豆、ブドウなどにも応用することを発表しており、手間をかけずに収穫量を増やし、消費者に健康な食品を提供しながら環境保護に貢献したいと考えている。
まさに、農家、消費者、環境にとってwin-win-winな農業が実現しつつある。
InnerPlant共同創始者兼CEPのShely Aronovによるプレゼン▼(英語)
参考文献:
Proprietary tomato plant that alerts farmer via iPhone when it’s sick
InnerPlant launches InnerTomato™ a living plant sensor for early disease detection
Food Tech News: InnerPlant Launches Sensor Plants, $3.5 Million Grant for Cultivated Meat
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