培養肉

テキサスのBioBQ、世界初となる培養肉ブリスケット開発に挑戦

 

テキサスを拠点とするBioBQはこれまでと違う培養肉に挑戦している。

培養肉といえば、ハンバーガー用バーガーのモサミート、ミートボールやチキンのメンフィス・ミーツ、ベーコンのMission Barnsなどがあるが、BioBQが提供したい「肉」は他社にはまだない。

ブリスケットとジャーキーだ。

2018年に設立されたBioBQは、2023年までの試作品開発を目指している。

同社の培養肉は他社と同じく、足場を用いて細胞を脂肪、筋肉、コラーゲンに成長させる。他社にはない難しさは、ブリスケットの「サシ」を再現することだという。BioBQは特許技術を使って細胞シートを積層させ、サシとなる層を作り出している。

もう1つの課題は、FBS(ウシ胎児血清)を含有しない安価な培地を見つけることだ。

FBSは出生前の子牛を使うため、高価なのはもちろん、倫理的に問題がある。自身がヴィーガンでもあるKatie Kamは、FBSは使わず、ほかの代替手段を見つけたいと考えている。

共同創業者のKatie KamとJanet Zoldan 出典:BioBQ

培地コストの高さは培養肉開発の課題の1つで、他社のなかには独自の手法でコスト削減に成功している事例がある。

モサミートは9月に約58億円を調達したばかり。すでに培地からFBSを除去し、大幅なコスト削減に成功している。

日本発の培養肉スタートアップとして注目されるインテグリカルチャーは、高コストな血清成分と成長因子を外部からもってくるのではなく、内部で生産するバイオリアクタ「CulNet System」を開発することで、コストダウンを図っている。

アイスランドのORF Geneticsはネックとなる高額な成長因子を大麦から安価に開発することに成功。大量生産を視野に、2021年に試験を開始予定だ。

BioBQの最優先課題は、開発を加速させるために資金を調達することだ。

すでにアメリカ国立科学財団(NSF)のプログラムに申請しており、年末までに結果がわかる。NSFから資金調達できれば2021年に研究施設を持つ予定。それより早く資金を調達できれば、今年中に研究施設開設に踏み切るという。

 

参考記事

In Texas, BioBQ is Betting on Brisket as the Next Big Thing for Cell-Based Meat

Lab-grown Texas BBQ? Austin startup BioBQ is working on it

アイキャッチ画像はイメージ

 

関連記事

  1. 培養魚を開発するAvant MeatsがシンガポールのA*STA…
  2. 米国IPOを目指すMeat-Techが3Dプリンターで10mmの…
  3. 培養肉はどんな産業を生み出すのか?|SKSJ2020参加レポート…
  4. 培養サーモンの米WildTypeが培養シーフード業界史上最大の約…
  5. アレフ・ファームズ、シンガポール・イスラエルでの合意で培養肉の生…
  6. 培養肉用の安価な食用足場を開発するエストニア企業Gelatex|…
  7. Profuse TechnologyとGelatexが成果を発表…
  8. イスラエルのSteakholder Foods、3Dプリンターで…

おすすめ記事

細胞培養でチョコレートを開発するCalifornia Culturedが約4億5000万円を調達

細胞培養によりチョコレートを開発するCalifornia Culturedがシー…

AIエンジンで代替タンパク質を開発するThe Live Green Coが精密発酵に参入

独自のAIレコメンドエンジン「Charaka」を活用し、動物由来原料や高度に加工…

Evo Foodsとギンコ・バイオワークス、アニマルフリーな卵タンパク質の開発で提携

海外では動物に頼らずに食品成分を作る手法として、精密発酵が人気の手法になりつつあ…

ショウジョウバエで成長因子を開発し、培養肉のコスト削減に挑むFuture Fields

安価な成長因子を開発するカナダのFuture Fieldsは、これまで技術の詳細…

パーフェクトデイの精密発酵由来の乳タンパク質を使った牛乳が今夏、ついに市販化

今夏、精密発酵で作られたアニマルフリーな牛乳がアメリカで発売される。世界…

MISOLA FOODS、日本初のオーツミルク専門メーカーとして『塚越さんがつくったおいしいオーツミルク』を発売

スウェーデンのOATLY、シンガポールのOATSIDEなど海外のオーツミルク製品…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoセミナー開催のお知らせ

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(01/20 14:29時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(01/20 00:11時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(01/20 04:00時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(01/20 20:27時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(01/20 12:40時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(01/19 23:25時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP