代替プロテイン

菌糸体から代替肉を作るMeati Foodsが約29億円を資金調達、年内に発売予定

 

このニュースのポイント

 

●Meati Foodsが約29億円を資金調達

菌糸体から代替肉を開発

●Meati Foodsの代替肉は18時間で製造可能

年内に発売予定

 

 

コロラド発の代替肉スタートアップMeati FoodsがシリーズAラウンドで2800万ドル(約29億円)の資金調達に成功した。

調達した資金は製品の改良に使い、年内にD2Cで商品をリリースする予定

Meati Foodsは代替タンパク質でステーキ肉の切り身やチキンブリスケットになる代替肉を作るスタートアップ。

コロラド大学で出会った2人の青年が考え出した代替肉は他社とは違う。

出典:Meati Foods

細胞を培養するのでも、大豆を使うのでもない。

キノコの菌糸体を使うのだ。

しかも、プロセス全体にかかるのは1日だというから驚きだ。

菌糸体というのは、キノコの地中にある「根」に相当するもの。

糸状の形をしていることから菌糸体と呼ばれる。

この部分に有用な成分がたっぷりつまっている。

創業メンバーの2人 Tyler HugginsとJustin Whiteley 出典:Meati Foods

同社共同創業者のTyler Hugginsによると、現在は菌糸体から代替肉を製造するまでにかかる時間はわずか18時間。製パン、チーズ作りなどで使う100年前からある技術を用いる。

Meati Foodsの代替肉が作られるプロセスは次のとおり。

 

天然の菌糸体を屋内で栽培する。
室内栽培のため、汚染物質、農薬など外部の環境さらされず、純正の菌糸体を得られる。

 

ステンレスタンクで成長させる。増殖過程で与えるのは水、糖質、栄養のみ。

 

菌糸体が完全に成長したら採取する。完全に成長するまでは一晩。

 

菌糸体ができたら最終製品に応じた形状にする。菌糸体を天然素材が豊富な漬け汁に浸すと、菌糸体由来のおいしいタンパク質になる。プロセス全体にかかる時間は18時間。

 

 

植物性タンパク質を活用して、代替ブロック肉を製造する会社は多くない。

Meati Foodsの代替肉は、ステーキ肉の切り身チキンブリスケットにもできるうえ、タンパク質、繊維、必須ミネラル、ビタミンなど十分な栄養を有する。何より、製造にかかる時間が短いことが特徴だ。

出典:Meati Foods

今回の資金調達の先立ち、Meati Foodsは非公開でレストランでのトライアルを実施していた。調達した資金は、トライアルに参加したレストランからのフィードバックをもとに、製品の改良に使う予定。今年後半にはD2Cで商品をリリースしたいと考えている。

今回のラウンドには、Acre Venture Partners、Prelude Ventures、Congruent Venturesなどが参加した。クランチベースによると、今回の資金調達は今年になってから4回目。8月には2500万ドル(約26億円)を調達している。

 

参考記事

Mushroom Steak: Meati Foods Raises US$28M Series A Round For Its Fungi-Based Whole-Cut Meats

How is Meati made?

Crunchbase.com/organization/emergy-food

アイキャッチ画像の出典:Meati Foods

 

関連記事

  1. オランダの培養肉企業Meatableが培地の共同開発でDSMと提…
  2. 中国の培養肉企業CellXが培養肉のパイロット工場建設を発表
  3. 培養肉など“培養食料”に特化した日本初の学会が開催──8月末、4…
  4. 英Ivy Farm、欧州最大の培養肉パイロット工場をオープン
  5. 植物性3Dプリント肉を開発するRedefine Meatが約15…
  6. 培養肉スーパーミートと欧州大手養鶏企業PHW、培養肉の欧州導入で…
  7. MycorenaとRevo Foodsが3Dプリント用マイコプロ…
  8. 培養魚企業ブルーナル、回転ずしチェーン「スシロー」を展開するフー…

おすすめ記事

イスラエルのMarineXcell、独自の核初期化技術で細胞培養によるエビ、ロブスター、カニ開発に挑む【創業者インタビュー】

左からYosef Buganim教授、Leonardo Berezowsky氏、Gadi Lipin…

ドイツのBluu Seafoodと中国のCellXが「細胞農業を現実のものとする」ために協業

ドイツの培養魚企業Bluu Seafoodと中国の培養肉企業CellXは今月、持…

食肉大手JBSが培養肉に参入、培養肉企業BioTech Foodsの買収で合意

ブラジルの食肉加工世界最大手JBSは18日、スペインの培養肉企業BioTech …

Marsapet、Calystaの単細胞タンパク質「FeedKind Pet」を使用したドッグフードを欧州で発売

動物飼料の製造販売で30年以上の歴史を持つドイツのMarsapetは、米Caly…

ドイツのFormo、欧州投資銀行から約56億円を調達-麹菌由来チーズと精密発酵カゼインの強化へ

微生物発酵による代替チーズを開発するドイツ企業Formoは、欧州投資銀行(Eur…

培養肉でメキシコ初のスタートアップMicro Meatは量産化段階にはいる

細胞農業の進歩により培養肉がスーパーの棚に並ぶ日も近いのかもしれない。M…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/08 16:04時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/08 02:29時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/08 06:06時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/08 22:04時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(10/08 14:03時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/08 01:21時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP